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メキシコの冬季育リーグ、リガ・インベルナル・メヒカーナの概要発表

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 メキシカン・リーグ(リガ・メヒカーナ・デ。ベイスボル)は、11月開幕のリガ・インベルナル・メヒカーナ(Liga Invernal Mexicana, LIM)の概要を発表した。今年で3シーズン目を迎えるこのリーグは、南東部のリガ・ペニスラールとともに行われるメキシカンリーグが行う6チームからなる育成リーグだ。 オーナーを同じくするディアブロスロッホス・デル・メヒコ(Diablos Rojos del México)とゲレーロス・デ・オアハカ(Guerreros de Oaxaca)の両球団は、チーム名もそのままで、本拠地球場を使用するが、他の4チームは、アメリカのマイナーリーグ同様、地方都市を本拠とする球団にメキシカンリーグの球団が選手を貸し出すというかたちでリーグ戦を行う。アメリカと違うのは、複数の球団が共同でLIM球団に選手を供出することだ。 チームの多くはグアナファト州を本拠とし、ぺトロレロス・デ・サラマンカ(Petroleros de Salamanca)には、スルタネス・デ・モンテレー、とティグレス・デ・キンタナローが、トロス‐ブラボス・デ・モロレオン(Toros Bravos de Moroleón)はその名の通り、トロス・デ・ティファナとブラボス・デ・レオンが、カヘテロス・デ・セラヤ(Cajeteros de Celaya)にはアセレロス・デ・モンクローバとペリーコス・デ・プエブラが選手を送り出す。また、ミチョアカン州には、プレペチャス・デ・モラバティオ(Purépechas de Maravatío)がレオーネス・デ・ユカタンとバキュエロス・デ・ラグナからの選手を受け入れる。 リーグは12月3日に開幕、レギュラーシーズン上位4チームが12月5日開幕の5戦3勝制の1次プレーオフに進出、その勝者が12月12日開幕の7戦4勝制の決勝シリーズを争い、年内で閉幕する予定だ。 かつては、冬季シーズンの若手選手の育成は、ヌエボレオン州にあるアカデミーで開催される秋開幕、12月閉幕のルーキー級リーグ以外では、メキシカンリーグ直属のリーグではなく、独自運営のリガ・ノロエステなどのリーグに選手を預けて行われていたが、近年メキシカンリーグは自ら冬季のファームリーグを運営する路線に切り替えている。その一方、いったん引退した選手や冬季の「メジャーリーグ」であるリガ・メヒカーナ・デ・パシフィコ(メキシカン・パシフィック・リーグ)入りできなかった選手にプロ志望の若い選手を集めて行われる独立リーグが各地で起こっており、リガ・ノリエステも、州の名をとってリガ・ナジャリ・デ・ベイスボル(Liga Nyarit de Beisbol)と名を変え、かつての6球団制から12球団に拡大して今年も実施される。

2017アジア選手権 雑感 -アジア第二グループの現在地の最新版を考える‐

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大会直前に中国が辞退を発表した時は、ズッコけると共に不安を感じずにはいられませんでしたが、始まってみればやはり面白い大会であることを再確認し、無事に大会自体も終えることが出来ました。そして、新しい発見や情報も手に入った。私のメモ帳は今パンパンです。中国が欠場し7カ国になると分かった時、私は10年前の北京五輪予選として開催されたアジア選手権を思いだしました。あの時も参加は7カ国。システムは今回と違っていて、まずアジアの第二グループ勢だけで1次ラウンドを戦い、1位になったチームだけが3強の待つ二次ラウンドに進出するという形。もちろん、システムだけでなく各国を取り巻く状況も変わっていたりもするし、変わってない部分もあったりします。あれがもう10年も前の話なんですね・・。そういったものを思いだし、以前からの変化したもの、逆に変わっていない部分との比較なども交えながら、まずは今大会で奮闘を見せた第二グループ勢について振り返ってみたいと思います。(※「アジア第二グループ」がどういうものなのか、さらに中国代表との距離感といった前提知識として必要な解説を大会前の展望に書いているので、理解できていない人は併せてそちらもごらんください)アジア野球選手権という素晴らしい大会を楽しむための展望・概要 | 世界の野球 | スポーツナビ+ https://t.co/bwcmGnwf8P ブログ更新しました pic.twitter.com/t7ABOv5pLA— 世界の野球 (@sekainoyakyu) 2017年9月29日・7位 スリランカ代表● 0-18韓国● 5-8 フィリピン● 0-13 台湾● 2-10 パキスタン○ 2-0 香港西アジアカップでこの地域最強と言われてきたパキスタンを決勝で下し、満を持して初めてのアジア選手権に乗り込んできたスリランカ代表。香港、パキスタンと勝敗が並び、TQB(得失点率)の関係でこの順位になってしまったものの、結果を見ての通りこの大会の出場に相応しい戦いを見せたと思います。ただ、西アジアカップ決勝でパキスタンを下したとはいえ、全体的にまだアジア第二グループのトップ層であるフィリピンやパキスタンと同じレベルに達したわけではないな・・という印象でしょうか。判明した範囲でのピッチャーの球速はこんな感じ Jayarathne 127 Madumal 132 Karunarathne 129 Yasas 120 Ruwan 132 Wijisinghe 130 基本的にどの投手も130キロ前後くらいは出るイメージでしょうか。ここはまあ、以前のスリランカ代表のイメージとそんなに変わらないかも。でも枚数は増えているんじゃなかろうか。ある種、スリランカとの対比で最も分かりやすい相手が最終戦で勝利を飾った相手である香港。香港の方が練習を見てても基本的に動きがスムーズなのですが、試合では多少動きが不細工でもがむしゃらなスリランカが勝ってしまうことが多い。15年の東アジアカップに続いての勝利であり、僕が横浜で見た2011年のU18の試合もそんな感じでした。日本の影響が強いスリランカの野球ですが、日本人が代表監督を務めていた時代からあまり日本の野球の型にハメようとしすぎてないのが功を奏してるのかも。ピッチャーなんか日本というよりキューバの軟投派みたいな感じの投手が多い。他の国も同様ですが、この大会に初出場となったスリランカは特にこの大会の経験値を持ち帰ってからの伸びしろが一番大きいはず。西アジアカップよりレベルが上になる大会を戦ったことによって、今後どういう成長を見せてくれるのか楽しみです。・6位 パキスタン代表●1-13 日本●1-4 香港○10-2 スリランカ「打倒中国」という目標を掲げ始めて3年。第二グループではほぼ敵なし状態だったのですが、3月の西アジアカップの決勝スリランカ戦に続いて香港に敗戦。ただ、野手の戦力に多少の入れ替わりはあるものの、ピッチャーはほぼいつも通りの面々だし、試合の映像を見てもそれほど力が落ちている印象はなかった。香港やスリランカとは3-4試合をすれば1回は負けるような力関係が元からあって、それが今年一気に噴き出たように思います。香港戦は中国戦がなくなったことにより、イーサン・ウラーやイナヤット・ウラーといった二枚看板をつぎ込みながら敗戦。逆にスリランカ戦では、西アジアカップ決勝と同じ必勝リレーをしてきたスリランカ投手陣を打ち崩して快勝。リベンジに成功しています。「元から負けてもおかしくなかった」というのはそれが起こってからだからこそそのように思えてくる部分もあります。今年の第二グループ勢に対する二つの敗戦によって、メンタル的な部分でパキスタンと対峙するうえで他の国にも変化が起こってくるかもしれませんね。個人的には、2012年以来のフィリピンとのアジア第二グループ頂上決戦が見たかったなあ。フィリピンの方が少し上だと思いますが、フィリピンが国際大会をさぼっている間にパキスタンは強くなっているので、今のパキスタンとの戦いを見てみたかった。日本戦で先発したムハンマド・ワリは16歳ながら189センチの長身で、投げ方もクセが少なく制球もまとまっている(途中16歳らしく突然乱れる場面もありましたが)。最速は132キロで、MLBのスカウトも調査し始めたというほどのタレントでした。体が出来上がったら凄い球を投げそう。彼が順当に成長すれば、パキスタン野球をもう1ランク上げてくれる存在になるかもしれない。打倒中国という目標は変えないままに、もうちょっと足元も見てみるのも大事なんじゃなかろうかと思う大会だったはず。・5位 香港代表● 0-30 日本○ 4-1 パキスタン● 0-10 フィリピン(ワイルドカード決定戦)● 0-2 スリランカ宿敵であるパキスタンをついに撃破するも、最終戦でスリランカに敗戦しその勝利は薄まってしまった。それでも、得失点率にも助けられて大会を5位で終える。個人のポテンシャルはある一方、それを常に発揮できるわけではないという香港を象徴するような大会だったように思います。パキスタンとはアジアカップが東西統一だった時代から凌ぎを削っていた相手の一つで、特に2010年の広州アジア大会では、香港代表の大エースだった梁宇聰とその試合で150キロを計測した若きエース、イーサン・ウラーによる壮絶な投げ合いが印象的。どうやら香港からすれば相当入れ込んでいた相手だった模様。チェコのセミプロリーグで修行を積んだ趙嗣淦はアンダースローからスリークウォーターに上がっており、130キロ台の荒れ球がフリースインガー打線のパキスタンにどうやらハマったようです。07年のアジア選手権兼北京五輪予選以来のパキスタン戦勝利となりました。逆にいえばその後のフィリピン戦でコールドの完敗、スリランカ戦で5失策と崩れて落としてしまったのは、入れ込み過ぎた反動といった部分もあるのかもしれませんね。特定の相手を意識しすぎるデメリットが出たのでしょうか。フィリピンとはさすがにコールドで負けるほどの差はないし、スリランカ戦は互角の戦いだったのですが、またしても競り負けてしまった。パキスタンに勝ったことを上手く自信に変えて、さらなる安定した結果を今後の大会では目指したいところ。・4位 フィリピン代表● 2-12 台湾○ 8-5 スリランカ● 3-18 韓国○ 10-0 香港(ワイルドカード決定戦)● 0-14 台湾● 0-11 韓国● 0-15 韓国(3位決定戦)フィリピン野球協会の体制の不安定さや資金不足の問題もあって国際大会から遠ざかっていたフィリピン。その間にパキスタンはさらに力を付け、ついにアジア第5のチームの座から陥落するのか?と思いきや、むしろ第二グループでのフィリピンの強さを改めて証明するような結果になりました。というか、陥落するどころか以前よりも強くなってしまっている。「随分と小粒になったなあ」これは07年のアジア選手権兼北京五輪予選で戦うことになった日本代表の田淵幸一コーチがフィリピンの練習を見てふと漏らした言葉。田淵コーチは大学時代に全盛時に近いころのフィリピンと対戦しており、その時のイメージから出てきた言葉だそうです。実は03年のアテネ五輪予選を兼ねたアジア選手権のときも、同様に大学時代にアジア選手権でフィリピンと対戦した経験を持つ長嶋茂雄監督が、決勝リーグに中国が勝ち上がってきたのを聞き「中国はフィリピンより強くなったのですか?」と驚いていたらしい。当時のフィリピン野球はパワーもあって力強く、その印象が強かったようで。手元にある09年のアジア選手権のフィリピン代表のプログラムから平均身長を割り出してみると、169.75センチ。フィリピン国民の平均身長は日本より9センチ小さい162センチだとはいえ、170センチ未満の選手がラインナップに並ぶ打線は迫力不足で、テレビ中継のあった北京予選のフィリピン戦を見た人も体の小ささは目に付いたものだと思われる。しかしその後少しずつ大型化が進み、今大会の平均身長を計算してみると174.25センチ。なんと10年前より5センチもアップしてます。平均身長が5センチアップってかなりの変化ですよね。凡庸な公立高校から、甲子園に出場した私立高校くらいに体格がグレードアップしている。180センチを超える人も6人。フィリピン国民の平均身長を考えるとかなりのアスリート集団。体格に関しては往年のものに戻りつつあるのかもしれない。この体格の変化は打力に最も変化をもたらしているように思います。以前から投手力はBグループでも随一だったものの、打力ではあまりねじ伏せられないケースが多かった。今大会は台湾戦でロサーノが、スリランカ戦ではポンセが柵越え本塁打を放ち、それ以外にも外野に力強い打球が飛んでいくことが目立っていましたね。以前は打球が外野の頭を超えることすらなかなかイメージできなかったのに・・。スリランカ戦を打力でねじ伏せ、香港をコールドで一蹴しています。一方、フィリピンの第二グループ最強の地位を守り続けてきた原動力である投手力。ここで今大会のフィリピンの投手の最高球速をまとめておきますね。ロブレス(左) 136 デラクルス(左)134 ディラオ(左サイド) 128 ハスミン(右アンダー)110台マカセート 137 ベンチュラ(左)129 ゲスムンド 137 ロサーノ(左)134 イエンソン 135 ムニョス 129 今大会は長年フィリピン代表を支えてきた左右のエースであるデラカルサダとラブラドールが代表から引退していて、さらにフィリピン最速左腕のエギアも不出場。それでも、フィリピンからは次から次へと130キロ級のピッチャーが湧いてくる恐ろしさ。他のアジア第二グループの国はのどから手が出るほど欲しいのに。フィリピンの野球はマイナー競技ながらも歴史が長いせいかすそ野が広いことに加えて、名門の大学に野球推薦で行くことが出来るのが大きい。この投手層の厚さは第二グループではなかなか真似できないし、中国とも張り合えると思えるくらい。ただそれでも、中国には接戦にまで待ちこむことは出来ても、勝つことはやっぱり難しい。それは、再三指摘しているように守備力に大きな問題を抱えているから。相変わらず持って生まれた身体能力だけで守っているような選手が多い。高校野球県大会上位レベルの投手力と、1回戦レベルの守備力。端的に言うとフィリピンの野球はこんな感じ。外野手は頭上を越える打球が来ると文字通りお手上げだし、内野手は地を這う打球はバウンドに合わせられないので体で止めるように捕球する。元々フィリピンの野球が衰退した原因の一つに気温の高さや雨季があることが挙げられていて、そこにフィリピンの人の気質、プロがないこと、フィリピン野球の空気感、などもあって、日本の学生野球みたいに守備の地味な反復練習を継続的にやれてないのが根源的な原因だと思われる。日本の野球選手はレベルに関係なく、取り方や投げ方を反復的な練習で「型」を習得出来ているのとは対照的に、フィリピンの守備は全く「型」がなくて、統一性がない感じ。長年指摘され続けてますが、ここを乗り越えない限りいつまでも「ピッチャーだけは中国レベル」と言われるままですね。一方、こういった技術的な部分以外でもフィリピンの野球の特徴と見られる部分が垣間見えました。フィリピンと対戦したチームの関係者からは「フィリピンの選手は野球を良く知っている」という声があったとか。確かにここもうなずける部分であります。バントなど小技や機動力を上手く使ったり、意外とピックオフプレーなどトリッキーなプレーで相手をハメるプレーもよくやってます。北京五輪の予選でサブローが捕手からのけん制で刺されたのを覚えている人もいるでしょう。ファーストがベースについてないふりをして、そのあとスッと入ってくるやつ。ここが「新興国」ではなく歴史の長い「古豪」であるという違いなんでしょうね。それともう一つ理由があるとすれば、フィリピンの選手はMLBをよくチェックしているイメージ。もちろん、他の国も研究は熱心にやっているんでしょうけどね。元々アメリカの影響が強くて、英語も使いこなせるのがフィリピンの人たち。今はかつての野球にとって代わってバスケがメジャーなフィリピンですが、NBAがよく流れているようですし、MLBもケーブルテレビで見られるようです。選手のFacebookを見ていても、MLBの動画をよくシェアしています。まだ国際的にはスターになっていなかったダルビッシュに北京五輪の予選で記念撮影とサインをもらいに行って、FBのアイコンにしている人もいました笑どうしても野球の情報量が限られがちな野球の後進国の選手たちですが、フィリピンの選手はメジャーリーグの動画などから得ているイメージが豊富だからこそ、創造的なプレーも出来るのではないかと思います。改めて第二グループではフィリピンの野球の強さを証明することになった今大会ですが、だからこそここで立ち止まらずにパキスタンにつづいて打倒中国を意識してもらいたいところです。国際大会にも復帰することができましたし、来年のアジア競技大会に出場することが決まれば、目標をもう一つ上に置いて底上げを図ってもらいたいですね。●まとめ韓国がフィリピンを3位決定戦で下して3位。決勝では日本が台湾を下して2大会ぶりの優勝を果たしました。 3強にも少し触れておくと、見た感じ個人の能力では3カ国とも大きな違いはないように思いました。田嶋と投げ合った台湾の呂彦青はアマチュアながらプレミア12にも選ばれた経験もある左腕。でも当時よりさらにグレードアップしていて、制球力、球威、さらにあの小さく速いスライダーはキム・グァンヒョンを彷彿とするようなボールで切れ味抜群でしたね。日米のスカウトもおそらく声をかけるようなレベルの投手なのは間違いないですが、個人的にはCPBLに行って欲しいな~ プロのファームの選手で構成された韓国も含め、良い選手は本当に多かったです。でも、個人の能力に力がないからこそ、社会人選手で構成される日本代表の勝負強さが最終的に際立ったのではないかと思います。やはり短期決戦における集中力が高いし、選手が入れ替わっても社会人代表は国際大会を良く知った戦い方が継承されている印象です。個人的には石井監督の「日本らしい守りの野球をベースにしながら、得点を取れるときには取れるようにする」という言葉にかなり共感しました。国際大会は思うように点が取れないのは確かで、だいたいの国際大会を日本人監督は「ピッチャーを中心にロースコアで守り勝つ」と掲げるケースが多いですよね。ただ、なかなか点が取れないからこそ、逆に点が取れたほうが勝てる、という考え方も必要なんじゃないかと。点が取れないと開き直るのも思考停止してる感じがしてよくない。打撃もやっぱり重要ですよ国際大会は。勝ち方が1パターンしかないチームは一発勝負では難しいし、ロースコアに持ち込んで最後に崩れてしまうのも日本の負けパターンの一つです。守りや投手力も絶対的なものとは限らいないですから。試合を見てた人は分かると思いますが、国際大会がよく行われる台湾の球場は土が硬く、打球が跳ねやすい。守備力の高い日本の社会人の選手ですら、苦労している場面が多かった。決勝戦もロースコアのまま進行していたら、日本が「守り負けてた」可能性もあるかもしれない。攻守のバランスが取れたチームこそ、やはり野球は強いのだと思います。日本の社会人代表の強さが一番現れている試合は、香港戦の「30-0」なんじゃないかと。香港と日本の実力差がかなり大きいのは間違いないのですが、香港も打ち取った打球をそれなりにアウトに出来る技量はあります。他の強豪国と対戦してもここまでの点差は付けられません。コールド条件の15点差が付けば、集中力が切れて無意識に手を緩めることがほとんど。そこをしっかり攻め続けられる社会人代表の集中力こそが、決勝戦で一つのプレーから一気に崩れてしまった台湾との違いなんじゃないかと思います。さて、アジア選手権は終わってしまいましたがこれからもアジアの戦いは続いていきます。 11月には今度はプロ選手が戦うアジアプロ野球チャンピオンシップがあり、来年はアジア競技大会がジャカルタで開催されます。東アジアカップも来年開催すると言われています。もちろん、その先には次のアジア選手権があり、次回大会は東京五輪予選も兼ねて開催されるはずです。今回のアジア選手権を通じて、アジアの野球の面白さに目覚めてくれる人が一人でも増えてたらいいなー、という私の願望を書いたところで、アジア選手権の総括を締めさせてもらいたいと思います

なぞのリーグ、リガ・メリダーナ

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 メキシコでは、冬のトップリーグ、メキシカン・パシフィック・リーグも開幕し、第2の野球シーズンが本格的に始まっている。このリーグに先立って、すでにルーキー級リーグも始まっているが、このほか、メキシカンリーグの強豪・レオーネスの本拠、ユカタン半島のメリダでは「リガ・メリダーナ・デ。インビエルノ(メリダ冬季リーグ, LMI)」が9月末から開幕している。 近年メキシコではウィンターリーグの再編が行われているようで、かつては、ナジャリ州で行われたリガ・ノロエステにメキシカンリーグが傘下のファーム選手を送り込み、冬のマイナーリーグとしていたが、3年前からは、メキシコシティ周辺で南部で自前のリーグを開催際し、従来から行われていた北部ヌエボレオン州の施設を使用するルーキーリーグと併用するようになったが、このほか、従来、「第2のウィンターリーグ」としてその優勝チームが中米のウィンターリーグチャンピオンと決勝シリーズであるラテンアメリカシリーズを開催していたリガ・ベラクルサナが改組され、セミプロ化しているようである。 このベラクルサナについては、またご紹介したいと思うが、メキシコウィンターリーグではセミプロ化が進んでいる。メキシカンパシフィックリーグやメキシカンリーグが行うウィンターリーグから漏れた選手が、プロを目指す選手をはじめとするローカルリーグの選手とともにリーグ戦を行っているのだ。試合が週末に限られているのは、多くの選手が別に職をもっているからなのだろう。12月初めまで各チーム20試合のレギュラーシーズンを戦い、その後プレーオフを経て12月20日くらいにはシーズンを終える。リガ・メリダーナは、その名の通りメリダ市内、周辺の球場を本拠とする6-チームにより構成される。メリダ市のホームページからスケジュールなどのインフォメーションを得ることができるので、自治体のバックアップがあるのだろう。メリダでは、メキシカンリーグが行う教育リーグ、リガ・ペニスラールにレオーネス・デ・ユカタンのファームが参加し、ホーム球場のパルケ・ククルカンを使用するので、メリダの野球ファンは年内は週末は野球三昧ということになる。 観客の入りは、そこそこのようで、おそらくは1000人くらいしか収容できないスタンドはおおむね大入りのようだ。ここにも二刀流の選手があるようで、投打にわたってタイトル争いを演じているという。 6チームのうち、ディアブロスはメキシコシティの同名球団と同じロゴを使っているので、メキシカンリーグのこの球団と提携しているのか、ファームチームという位置づけなのだろう。また、アズレッホス(ブルージェイズ)、ロッキーズもメジャー球団と同じロゴを使っていることから提携を結んでいると思われる。メジャー球団は、しばしば、契約を結びながらも米国内のファームチームに空きがない、あるいは国籍の関係でビザの枠がなくロースター入りできない選手をメキシコのクラブチームに預けることがあるが、ここにもそういう選手が送られているのかもしれない。 (LMI試合の様子。FBページより) LMI2017傘下チーム ディアブロス・デ・ラ・ボホルケス(Diablos de la Bojorquez) セロス・デ・パカブトゥン(Zerros de Pacabtun) アズレッホス・デ・ドロレスオテロ(Azulejos Dorores Otero) セナドレス・デ・モレロス(Senadores de Morelos) コンストラクトレス・デ・コルデメックス(Constructres de Cordemex) ロッキーズ・デ・コミサリアス(Rockies de Comisarias )

拡大するベースボールのネットワーク―2015年世界プロ野球の国別ロースターから7.冬季リーグにみる野球選手の国際移動:ドミニカ・ベネズエラ編

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 NPB球団のいくつかが、育成目的でオフシーズンの若手選手の選手派遣先とするなど、近年、メキシコや南半球のプロリーグ、いわゆる「ウィンターリーグ」は日本の野球ファンの間でも認知度の高いものになっている。かつては、北米でプレーするマイナーリーガーのオフシーズンの稼ぎどころという色彩の強かったこれらのリーグも、MLBだけでなく、東アジアのプロリーグにとって選手の育成、スカウティングの場という性格をより強めている。 前回調査した2008-09年当時冬季リーグとして活動していたリーグのうち、ハワイ・ウィンターリーグが姿を消し、今回調査対象とした2014-15年シーズンには、前回調査時はシーズンをキャンセルしていたニカラグアリーグが復活したのに加え、パナマ、オーストラリアでもウィンターリーグも復活していた。 以下では、これら冬季諸リーグを取り上げ、その選手の国際移動を分析していく。・中南米カリブ各地の冬季リーグ 2014-15年シーズンにおいて、中南米カリブ地域で冬季プロ野球リーグが展開されていたのは、米国自治領プエルトリコ、ドミニカ、メキシコ、ベネズエラ、コロンビア、ニカラグア、パナマの計7か国・地域であった。このほか、台湾ではプロリーグCPBLが日本(NPB)、韓国(KBO)、ドミニカからの選抜チームを招いてアジア・ウィンター・ベースボールという冬季リーグを開催していたが、このリーグは、各国の地元球団が選手を雇用し、リーグ戦を行う先述のリーグとは違い、各国のリーグが選抜した選手からなるチームを参加する(つまりは、選手は現地で雇用されるわけでない)方式をとっているので、野球選手の国際労働移動を扱う本稿では扱わないことにした。 これら冬季リーグはいづれもMLBの事実上のファームリーグの役割を果たしている。また、中南米カリブ各地の諸リーグは年々相互の連関を強めており、プエルトリコ、ドミニカ、メキシコ(メキシカン・パシフィック・リーグ)、ベネズエラが参加する国際チャンピオンシップである1949年開始のカリビアン・シリーズに、2014年大会からはキューバが復帰、コロンビア、ニカラグア、パナマにメキシコのベラクルス・リーグが参加したラテンアメリカン・シリーズが2013年から開始されている。ドミニカリザーブ(ベンチ入り外)も含めた全ロースター342人のうち、外国人選手は24.3%にあたる83人だった。このうちMLBのドラフト対象である米国、カナダ、プエルトリコからの選手が83.1%(69人)を占めていることは、このリーグの現在の立ち位置を端的に示している。つまり現在のドミニカ・リーグは、MLBの事実上のファームと言える。 実際、このリーグに所属している選手の前年夏の所属をみてみると、全選手の81.9%にあたる実に280人がMLB球団と契約を結んでいた。このうち55人いたメジャーリーガーたちは、基本的にレギュラーシーズンはほとんどプレーせず、年明けのプレーオフからメジャーのスプリングトレーニング(春季キャンプ)の準備がてら参加する。その一方、ドミニカ人、北米人問わず、マイナーリーガーにとっては、このリーグは北米での翌シーズンの足掛かりをつかむべくスカウトへアピールする場であるとともに、オフシーズンの収入を得る場である。 また、MLBが外国籍の有望選手育成の場としてもこのリーグを活用していることは、キューバ、ニカラグア、パナマ、コロンビア、ブラジル、オーストラリアという自国に長期にわたるプロリーグのない国々からの選手の参加があることから理解できる。先に挙げたMLBドラフト対象地域とプロリーグのあるアジア諸国以外からの選手の出身国数は、2008年の3か国から7か国に激増しており、このことは、MLBが世界各地からスカウトした選手のうち、メジャー予備軍となる有望株を育てる場としてこのリーグを利用していることがうかがえる。 また、オーガナイズドベースボール(MLBとその傘下のマイナーリーグ)所属の全選手280人のうち、202人が3A以上でプレーしていたというほどのレベルの高さは、アジアのプロリーグの一軍レベルの選手にとってもレベルアップの場となり、このシーズンはNPBから中日の又吉克樹投手が参加していた。但し日本人選手の参加は、2008年の11人からは激減しており、このあたりは現地の治安状況などを憂慮したNPB球団が選手の派遣に消極的になってきた表れと解釈することができる。ベネズエラ 現在、米国以外ではドミニカに次ぐメジャーリーガー輩出国となっているベネズエラにも冬季プロリーグがある。このシーズンは、調査時点で483人の選手登録が確認でき、うち23.6%にあたる114人が外国人選手であった。また、71.4%にあたる345人が、夏季はオーガナイズドベースボールでプレーし、そのうち3A以上でプレーしていたのは158人であった。このあたりの数字からは、ドミニカと比べると、外国人選手の割合は変わらないが、メジャーリーガーの数からは若干レベルが落ちるとも考えられるが、そもそもメジャーリーガーの参加はプレーオフからが多いことを考えると、そのあたりもなかなか断定はできないと言える。オーガナイズドベースボール所属の選手の割合がドミニカ比して低いのは、イタリアリーグ(IBL)でプレーする選手が10人もいることによるところが大きい。 選手の国際移動の傾向は、米国人が8割を占め、中南米カリブ諸国のほか、ヨーロッパからの選手も少数ではあるが参加するなど、ドミニカ同様である。ただし、このリーグと日本球界との関係は薄く、NPB球団からの選手の派遣は行われていなかった。2人いた日本人選手(村田透/インディアンズマイナー、渡辺俊介/独立系アトランティックリーグ・ランカスター)はいづれも夏は米国の球団でプレーしており、彼らの国際移動の要因は、他国からの選手同様、北米プロ球界でのステップアップにあった。 

【お知らせ】トライアウト支援の実施他について

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 皆さんどうもご無沙汰しております。5月頃から諸事情によりしばらく野球関連の活動から離れていましたが、最近再び戻ってまいりました。しばらく野球関係は全く追えていなかった状況ではありますが、これからまたどんどん軌道に乗せていければと思います。 今回のエントリでは、最近欧州球界の現場から協力を要請されたプロジェクトについて、アナウンスしたいと思います。いずれも既にTwitterの方では投降済ではありますが、追加の告知事項などもありますのでこちらを改めてご確認いただければ幸いです。よろしくお願いします。 (1)アンドレス・メナ内野手に対するトライアウト参加支援の実施について 来る11月4日と5日、千葉県柏市のJR東日本柏野球場にて開催予定となっている、BCリーグトライアウトへの参加を予定しているフィンランド代表のアンドレス・メナ内野手(30)に対する、来日中の各種支援を実施します。アンドレス・メナ内野手プロフィール・本名:アンドレス・メナ=ゲラ(Andres Mena Guerra) ・生年月日:1987年1月11日(30歳) ・身長:175cm 体重:86kg ・ポジション:内野手(遊撃手) 投打:右投両打・出身地:キューバ共和国ビジャクララ州・居住地:フィンランド共和国ウーシマー県ヘルシンキ・国籍:キューバ/フィンランド(二重国籍) ・代表国:フィンランド・所属:ヘルシンキ・ピューマ メナは2011年からフィンランドに移住し、国籍を取得して同国代表として国際大会にも参加しています。キューバ時代には世代別代表チームに選ばれ、ユース世代の国内リーグでもプレーしていました。母国キューバとフィンランドの他、エストニアのクラブでもプレーした経験の持ち主です。これまで過去に日本プロ野球及びMLB傘下において、フィンランド国籍を有する者がプレーした記録はなく、仮に合格すれば同国初のプロ野球選手ということになります。 現在は航空券および国内での宿泊・練習拠点を既に確保済みで、今月31日から来月6日朝まで滞在予定となっています。なお、1日から3日までは神奈川県内にて自主練習を行う予定ですが、1日と2日に関しては現時点で残念ながら練習パートナーがまだ手配できておりません。そこで、下記の通り自主練習にご協力いただける方を募集したいと思います。・日程:11月1日及び2日・時間:8時から17時までを予定(状況により終了が早まる場合があります) ・会場:相鉄緑園都市グラウンド(神奈川県横浜市泉区緑園1-7) ・最寄駅:相模鉄道いずみ野線緑園都市駅・対象:概ね高校レベル以上の硬式野球経験者・練習内容:キャッチボール、ティーバッティングなど この機会に、現役国家代表選手と是非一緒に練習してみませんか?練習パートナーとしてはもちろん、球拾いなどでの参加や見学だけでも大歓迎です。ご興味ありましたら、globalbaseball532@gmail.comまで是非ご連絡ください。お待ちしております。 (2)ヘント・ナイツからの選手募集について 今季ベルギー2部で優勝を果たし、来季から同国1部に昇格するヘント・ナイツ(Gent Knights)が、新戦力として日本人の若手野手を内外野問わず募集しています。 今回クラブが求めているのは、概ね20歳前後の大学生程度の選手です(それよりも少し年上の選手も相談に応じます)。待遇としては現地での住居や食事、往復の航空券については球団負担、それ以外は実費負担となります。条件は(1)英語もしくはフランス語で意思疎通ができること(2)ユースチームへの指導など、選手として以外のクラブへの貢献が可能であることが挙げられています。 本件は、クラブ全体のクオリティをさらに向上させていく為のプロジェクトの一環として考慮されています。球団では来季から、ベルギー国内を代表する野球指導者を雇う予定となっており、日本人選手の獲得はこれと並ぶ目玉企画となっています。その為、上記(2)で記したグラウンド内外を問わないクラブへの貢献は、特に重視される事項となりますのでご承知おき頂ければと思います。ご興味のある方は、フランシスコ・フィデル・ガルヴァン球団代表(info@gentknights.be)まで直接ご連絡ください。よろしくお願いいたします。

オーストラリア野球リーグ、初の女性コーチ誕生へ

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オーストラリアのウィンターリーグ、オーストラリアン・ベースボール・リーグ(ABL)の昨シーズンの優勝チーム、ブリスベン・バンディッツにリーグ史上初の女性コーチが誕生することになった。バンディッツのアシスタント・コーチに就任することになったのは、リサ・ノリエ。2001年から野球をはじめた彼女はこれまで州、ナショナルチームレベルでプレーし、指導者としてもクイーンズランド州、ナショナルチームで経験を積んできた。その彼女を今回監督として迎え入れることになったデービッド・ニルソン(ディンゴ・元中日)は、興奮を隠しきれない。「彼女の経験と情熱は、バンディッツの連覇に大いに助けになるね」また、ブリスベン球団のCEO、マーク・レーディーも彼女のコーチングスタッフ入りに太鼓判を押す。「バンディッツに入るのにジェンダーは関係ないよ。なにしろ、バンディッツは、最初に女性ゼネラル・マネージャーを採用したくらいだから。それに我々は彼女がこれまでに女子野球界で成し遂げてきたことを分かっている」ブリスベン・バンディッツは、シーズン前のトレーニングには新コーチのノリエだけでなく、女子野球の有望株も参加させる方針もまた発表した。昨年、取材したアメリカのマイナーリーグではすでに女性が主審を務めていた。ジェンダーフリーが進む中、ウィンターリーグにも女性の進出が始まっているようだ。――ABLメディアリリースより情報提供

拡大するベースボールのネットワーク―2015年世界プロ野球の国別ロースターから8.冬季リーグにみる野球選手の国際移動:プエルトリコ・メキシコ編

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プエルトリコ 2013年WBCで準優勝に輝いた米国自治領のこの島の住民は米国籍を持っている。したがって、この島生まれの選手はMLBのドラフト対象、つまり米国プロ野球では「国内選手」扱いである。2015-16年シーズンにこの島のプロリーグに在籍した全選手257人のうち、プエルトリコ以外の出身者の40.9%(105人)という高い割合は、そのうちの実に8割強(81人)を占める米国人の多さゆえである。また、中南米カリブ地域からの参加者の多さ、欧州からの参加者の存在は、ドミニカ、ベネズエラ同様のこのリーグのMLBのファーム的性格を示している。 この島同様に冬季リーグのあるドミニカ、ベネズエラからの移動の存在は、冬季リーグ間においても上昇下降移動の連関関係が形成されていることがわかる。つまり、プレーレベル、報酬ともより高い両国の冬季リーグでの契約にこぎつくことのできなかった選手が、自国リーグではなく、プエルトリコに移動する流れができているのだ。そのことは3A以上でプレーする選手が全体の23.7%と両国に比して低いこと、このシーズン以前10シーズンでのカリビアン・シリーズでの優勝回数ゼロというプエルトリコの弱体化から十分に推測することができる。 また、米国領であることによるドミニカ、ベネズエラに比しての治安の良さ、経済の安定度は、NPBにとって若手選手育成の場としてのこのリーグの魅力を高めている。このリーグには、2010-11年シーズンから複数のNPB球団が選手を派遣しているが、このシーズンも、ソフトバンク球団が3人の選手を派遣していた(同球団は実際にはこのシーズン5人をプエルトリコ・リーグに派遣していたが、調査時点ではロースターには3人しか入っていなかった)。メキシコ メキシコでは、この冬季シーズン、確認できるだけで4リーグが実施されていた。垣のトップリーグ、メキシカンリーグ(LMB)が運営するアカデミーで実施されるルーキーリーグ(9月中旬~12月)、メキシカンリーグ傘下の若手選手を預かる球団によって行われるリガ・ノロエステ(10月中旬~1月)、LMBとは別組織により運営されるメキシカンパシフィックリーグ(LMP)、ベラクルス冬季リーグ(リガ・インビエナル・ベラクルサナ, LIV)(ともに10月中旬~1月)である。このうち、ロースターから出身国の確認がとれたのは、ルーキー級(おそらくはこのリーグ所属の選手は全員メキシコ人だと思われる)以外の3リーグである。このうち、アメリカのマイナーリーグと同じく、「メジャー」たるメキシカンリーグ球団とアフィリエート契約を結んだ(ただしメキシコのマイナーリーグ場合、マイナー球団はアフィリエート契約を複数のメキシカンリーグ球団と結ぶことができる)6球団からなるリガ・ノロエステにはメキシコ人以外の選手は在籍していなかったが、他の2リーグでは多くの外国人選手が見られた。 この国に数ある冬季リーグの中でも、最高峰と言われているのが冬季リーグの雄を決めるカリビアン・シリーズに優勝チームを送るLMPであるが、北米の3A以上でプレーする選手の割合は13.9%(43人)とすでに挙げた3国・地域と比べて著しく低い。これは、自国にサマーリーグが存在するためで、LMPに参加している64%にあたる64人が、夏期はオーガナイズド・ベースボールでは3Aにランキングされるメキシカンリーグでプレーしていた。 しかしながら、外国人選手の割合は28.9%(89人)と4リーグの中では最高で、これは、リーグのレベル維持のため大量のアメリカ人を迎えていること、あるいは、プエルトリコ同様、ドミニカ、ベネズエラに比して治安状況、経済が格段に安定しているため、米国人に代表される外国人選手にとって、移動しやすいプレー先であることによるものだろう。そのことは、同じように冬季リーグをもつドミニカから7人もが「出稼ぎ」に来ていることに端的に表れている。実際、ドミニカリーグ(LIDOM)、LMPの双方でプレーした経験をもつ選手は、近年、LMPの選手報酬が上昇し、他国よりもメキシコでプレーした方が待遇がいいとしている。 日本の独立リーグ、ルートインBCリーグに在籍していたふたりの選手、ドミニカ人の  サンディー・マデラと、2013年にはNPBオリックス・バファローズに「昇格」したスティーブ・ハモンドはともに、4大冬季リーグでプレーした経験を持つ。 北米でプロキャリアを始めたのち、2006-07年シーズンに母国の冬季リーグデビューを飾ったマデラは冬の3シーズンをドミニカで送ったが、2009-10年シーズン以降はLMPに移籍、その後は母国のリーグに帰ることなく、2011年シーズン以降は夏のシーズンもその最初のシーズンの一部を米国独立リーグの最高峰と言われるアトランティック・リーグで過ごしたのと、NPB球団との契約を目論んで2012年シーズンをBCリーグでプレーした以外はメキシカンリーグでプレーしている。メキシコでは夏冬問わずタイトル争いを演じるなど、彼はメキシコ球界になくてはならない存在となったが、本来「里帰り」するはずの冬のシーズンを母国でなくメキシコで過ごす理由を、「その方がギャラが高いため」だとしていた。 一方のハモンドも、2008-09年シーズンをドミニカとLMPで送ったのち、2010-11年シーズンをプエルトリコ、オリックスを解雇された後の2013-14年シーズンを再度LMPで送ったあと、翌冬のシーズンをベネズエラで送り、2015年シーズンにBCリーグに舞い戻っている。この際、彼にドミニカでなく、ベネズエラ、LMPを選んだわけを尋ねると、その方が報酬が高かったからという答えが返ってきた。 MLBによってルーキー級ドミニカン・サマーリーグが開始された1985年以降の28大会で15回の優勝と、2012年のカリビアンシリーズまで圧倒的な強さを見せつけてきたドミニカだったが、それ以降の5大会は優勝から遠ざかっている。2013年以降、メキシコが3度の優勝していることは、2回総当たりのラウンドロビン(リーグ戦)から1回総当たりの後、上位4チームによる(2013年大会以降キューバがこの大会に復帰している)トーナメントという大会形式の変化もその要因として挙げることもできるだろうが、富裕で安全なメキシコへの選手の国際移動フローを考えると、これもまたある意味必然であると言えるだろう。 この国には、さらにもうひとつ、大西洋岸ベラクルス州周辺にLIVが展開されていた。8球団に所属する214人の選手のうち、外国人選手は35人であった。14.5%というLMPに比して半分の「傭兵」の割合は、このリーグでの報酬が、「出稼ぎ」に値しないと考える選手が多いことを暗示している(このリーグに参加した選手の夏シーズンの所属は確認ができなかった)。このリーグの優勝チームが参加する国際シリーズ、ラテンアメリカ・シリーズには、そのプレーレベルの低さからカリビアンシリーズ加入を断られたコロンビア、ニカラグア、パナマの冬季リーグが参加することからも、このリーグがLMPの事実上の下位リーグにあたり、そのプレーレベルに比例して報酬も少ないことがうかがえる。野球後進国と言える隣国、グアテマラからの選手移動はそのプレーレベルの低さゆえのことであろう。

2017年 ドラフトを考える(廖任磊に続くさらなる隠し玉はあるか?)

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さていよいよドラフトまで一週間を切ってきました。前回、隠し玉の選手と言うことで独立リーグや社会人野球でも全国の大会に出ていない選手を中心に名前を挙げて行きました。高校生や大学生は志望届を出していないと指名できませんし、社会人野球の選手も基本試合に出ていないような選手は指名されることは非常に少ないです。では、当日になって驚くような指名は無いのでしょうか…。昨年でいうと、巨人が7位指名した廖任磊がいました。開南大学という台湾の大学生ですが、高校は日本の岡山共生高校を出ている為、ドラフトの指名条件を満たし指名となりました。今年も同様なパターンを考えてみたいと思います。 **廖乙忠投手<開南大>** その廖任磊の弟です。日本の日南学園から履正社医専で野球をやっていました。日南学園の時、2013プロ志望届を提出した経緯があります。現在開南大学に所属していて、昨年一昨年とアジアウインターリーグ(以下AWL)に台湾アマチュア選抜として選出されていますし、何度かアマ代表として世界大会にも出場しています。今年のユニバには選ばれませんでしたが、ちょうど現在行われているニカラグアとの親善試合に出場しています。真っすぐが140キロ超でカーブ、スライダー、チェンジアップなどのボールを持っています。お兄さんと比べると技巧派と言うところでしょうか。関谷の様なフォームで真上から腕を振ります。少し上下動が大きいので細かな制球は持ってませんが、打ちにくいフォームではあるかなと。黃紹熙選手<愛媛マンダリンパイレーツ>岡山共生高校→京都成美大學→臺灣體育運動大學を経て愛媛MPに現在所属。2015年に台湾アマチュアリーグで0.417。右投げ両打ちの外野手で、基本的にシュアなバッティングながらパンチ力を併せ持つ。俊足で守備範囲が広く身体能力が高い。父親は黃忠義、元プロ野球選手。プロアマ含めたチームでの指導経験も豊富。楊鑄真投手<福井ミラクルエレファンツ>福岡第一高校→日本経済大を経て福井MEへ。今季は11試合に登板し防御率3.50。2012年と2016年にプロ志望届を提出。やや上体で投げるフォームながら腕の振りが、所謂、後ろが小さくフォローが大きいタイプでタイミングが取にくい。同チームの徒手コーチに荘勝雄氏が所属している。楊成源選手<和歌山ファイティングバーズ>福岡第一高校→日本経済大を経て和歌山FBに。投手登録なものの身体能力の高さから野手として期待される。右投げ両打ちの選手。内野もこなすが、適性はおそらく外野手。昨年プロ志望届を提出している。林桀晨選手<開南大>岡山共生高校→奈良産業大。現在開南大。昨年もU23の代表チームに選ばれ、巨人の台湾遠征の試合に出場。主にファーストの守備位置。左打ちのパワーヒッターでツボに入った時の長打力がある。許柏彦投手<台灣啤酒>岡山共生→體育大學棒球隊。182センチ90キロの恵まれた体格から繰り出されるパワーで長打を狙うスラッガー。フルスイングで豪快なバッティングと共に手首の返しが上手く広角にも打球が放てます。左投げ左打ちでチーム事情から高校最終学年で背番号「1」をつけ、球威のあるストレート、落差の大きいカーブを軸にチームのエースとなった経緯があります。高校生では珍しく得意球はナックルボールと言う器用な一面もある投手です。今年は、ユニバーシアードが台北であったり、同じく台北でアジア選手権があったりと、日本のスカウトが台湾の選手を観る機会が多かったと思います。日本の高校を出ている選手で、統一ライオンズに陳傑憲がいます。今季王柏融に次ぐ打率0.387を残しリーディング2位の選手なのですが、この成績、108試合ショートの守備についての成績なんですよね。この選手、2012年にプロ志望届を出しているんですがNPBから指名が無くその後台湾電力を経て昨年CPBLに入団しています。もちろんNPBが仮に指名していたからと言って活躍できたかはわかりません。ですが、スカウト的には獲得した選手が活躍出来なかったよりもスル―した選手が活躍することを悔いると言いますから、視野を以前よりも広げて多くの原石を見つけ出して貰いたいところです。

新国立球場でニカラグアリーグ開幕

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 各地のウィンターリーグが次々と開幕する中、ニカラグアのリーグ、「リガ・デ・ベイスボル・プロフェシオナル・ニカラグエンセ(LBPN)」が現地時間23日開幕した。ラテンアメリカでは、全チーム一斉に開幕せず、開幕戦は1試合だけというパターンが多いが、今季のLBPNも首都マナグアの名門、インディオス・デ・ボエルと隣国ホンジュラスとの国境近くの町、ティグレス・デ・チナンデガとの一戦が、3万人収容の旧球場に代わり、新造されら新しい国立競技場、新エスタディオ・デニス・マルチネスで行われた。デニス・マルチネスは、「エル・プレジデンテ(大統領)」とあだ名されるメジャー245勝のこの国出身の英雄である。1984年には、ボルチモア・オリオールズの一員として来日している。 今季のLBPNは、1月初めまで各チーム42試合のレギュラーシーズンを戦い、上位3チームがポストシーズンに進出、まず1月5日から5戦3勝制のプレーオフを2位3位チームで争い、その勝者とレギュラーシーズン1位チームと7戦4勝制の決勝シリーズを1月12日から争う。そして、ニカラグアチャンピオンは、1月24日から2月1日までここマナグアで行われる、ラテンアメリカシリーズで「カリブ第2チャンピオン」を決定する。 なお、このリーグでは、各チーム8人までの外国人選手の登録が認められている。各チームのロースターを見てみると、今年のWBCでオランダ代表のメンバーとしてプレーしたカート・スミス(チナンデガ)や2005年から2007年に阪神でプレーし、現在は夏はイタリアでプレーしているダーウィン・クビアン(レオン、ちなみに45歳!)などが名を連ねている。日本からは今シーズンのルートインBCリーグの首位打者、井野口祐介がボエルに合流し、ロースター入りを狙っている。 なお、この新球場は、台湾の援助でつくられたこともあり、こけら落としには、アマチュアで構成された台湾代表とニカラグア代表の3連戦が行われた。結果は、台湾の2勝1敗。ニカラグアは数少ない「中華民国」の承認国で、台湾当局は、かつての中国による「ピンポン外交」ならぬ、「野球外交」で中国の外交攻勢に対抗しているようだ。 (新球場でのニカラグア対台湾戦の模様)ニカラグアリーグ2017-18 インディオス・デ・ボエル(マナグア、エスタディオ・デニス・マルチネス) 優勝8回、昨季3位レオーネス・デ・レオン(エスタディオ・エロス・イ・マルティレス)優勝4回、復帰(昨季はオリエンタレス・デ・グレナダとして4位)ティグレス・デ・チナンデガ(エスタディオ・エフレイン・ティヘリーノ) 優勝2回、レギュラーシーズン1位ヒガンテス・デ・リバス(エスタディオ・ヤミル・リオス・ウガルテ・リバス) 優勝2回、昨季優勝(レギュラーシーズン2位)

拡大するベースボールのネットワーク―2015年世界プロ野球の国別ロースターから9.冬季リーグにみる野球選手の国際移動:ラテンアメリカシリーズ諸国編

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コロンビア、ニカラグア、パナマ:中米における新興勢力現在、中南米カリブ地域の冬季リーグは、カリビアン・シリーズに代表を送る4か国以外にコロンビア、ニカラグア、パナマの3か国において行われている。この3か国のリーグと、先述したメキシコのベラクルス冬季リーグ(LIV)は、カリビアンシリーズに倣って、各々優勝チームがラテンアメリカシリーズを行っている(LIVは、2016年冬季シーズよりベラクルス州リーグ(リガ・デ・ベースボール・エスタータル・デ・ベラクルス, 2017年冬季シーズンよりベラクルス州冬季リーグ=リガ・ベラクルサナ・エスタータル・デ・ベイスボル, LVEBに名称変更)に改組された。新リーグは、旧リーグよりシーズンを縮小、試合は週末、土・日曜の3試合とし、プレーオフを含め、年内にシーズンを終えるフォーマットに縮小した。ロースターは、各チーム上限8名のメキシカンリーグ所属の若手選手のほか、最低5人のプロ未経験者である「ルーキー」のほか、外国人選手やフリーエージェント選手で占められるという)。 かつてこの3か国にもプロリーグは存在した。 パナマには1946年、コロンビアには1948年にプロリーグが発足、ニカラグアには遅れて1956年にサマーリーグとして発足している。しかしながら、もともと北米プロ野球から独立した存在であったこれらのリーグも、やがて、MLB傘下のマイナーリーグの統括組織であるナショナル・アソシエーションに組み入れられ、事実上のファーム組織となるに及んで、トップ選手を奪われることによって人気を失い、一旦は休止に追いやられている。現在のリーグは、コロンビアが1999年、パナマが2001年、ニカラグアが2004年シーズンから中断期間がありながらもリーグ戦を行っている。・コロンビア 2015-16年シーズンに関しては、4球団計107人の選手登録であった。うち72%にあたる77人が自国出身者で、30人(28%)の外国人選手のうちドミニカ(11人)、ベネズエラ(3人)、キューバ、メキシコ(各1人)のカリビアンシリーズ出場国からの選手が過半数を占めた。先述したようなカリビアンシリーズ、ラテンアメリカシリーズの上下関係からドミニカ、ベネズエラ、メキシコからの選手移動がより高いレベルでのプレー、高報酬を求めた上昇移動であることは考えにくく、これらの国々からの選手の移動は、母国で満足のいく契約が得られなかったことにによる下降移動であると考えられる。キューバ人については、基本的には北米プロ野球を目指して亡命しながらも、北米では成功を収められなかった者であり、10人の北米からの移動を考えあわせても、やはりこのリーグも北米プロ野球の事実上のファームとなっていると言える。 また、日本人選手が3人(2.8%)在籍しているが、これは、日本の独立リーグ、ルートインBCリーグとコロンビアリーグとの提携のもと、派遣されたもので、現在、トップリーグであるNPBだけでなく、独立リーグにおいてもオフシーズンの選手育成の場としてウィンターリーグを活用する潮流が生まれていることを示している。・ニカラグア確認できたのは各球団25名、全4球団で計100人のアクティブロースターである。このうち現地、ニカラグア人は72人。各球団7人の「助っ人」外国人が在籍していた。比較的競技レベルが低い中米各国のプロリーグは、その選手層の薄さを補うべく、外国人選手の枠は日本などと比べ広く設定されている。 その外国人選手の9割近くをドミニカ(12人,42.9%)、ベネズエラ(10人,35.7%)に代表される中米・カリブ地域出身者で占められているのは、そのプレーレベルの低さに比例した報酬の少なさに起因していることは間違いない。このリーグのプレーレベルがプロリーグとしては決して高くないことは、このリーグに所属している全選手のうち、メジャーリーグ球団とマイナー契約を結んでいる選手は4分の1にあたる25人しかおらず、そのうち7人は、ドミニカ、ベネズエラのルーキーリーグ所属でアメリカ本土にすらわたっていないこと(この他、北米独立リーグでプレーした選手が3人いた)からうかがうことができる。パナマアクティブ(118人)、リザーブ(37人)あわせて145人のロースターが確認された。このうちMLB傘下のマイナーリーガーは約半数の73人であった。パナマ運河一帯が、1979年までその主権下に置かれていたなど、コロンビアや反米政権下のニカラグアに比べアメリカの影響が強いこともあり、MLBでは、このリーグをカリビアンシリーズ4リーグの下位のファームリーグと位置付けているようで、2010-11年シーズンに日本人として最初にこのリーグでプレーした村田透(現日本ハム)は、当時在籍していたクリーブランド・インディアンズのマイナーコーチからパナマリーグを紹介されたが、その翌シーズンは、球団の勧めもあり、ベネズエラにオフの修行の場を移している。彼の話では、冬季リーグ参加については球団の了承が必要で、本人のレベルに合わねば、認められないらしい。 そのような他のラテンアメリカシリーズ参加リーグに比べアメリカ野球のファーム的性格の強さは、全選手の18.6%(27人) にあたる外国人選手のうち、アメリカ人がドミニカ人(15人)に次ぐ7人在籍していたことにもあらわれている。ドミニカ人とあわせ、ベネズエラ人(3人)の存在は、両国の選手にとって、この国が、コロンビア、ニカラグア同様の下降移籍先であることを示していると言えよう。また、コロンビア、ニカラグアに比しての外国人選手の少なさは、自国内のタレントの豊富さによるものと考えることができる。

メキシコには夏冬併せて12個リーグがあるというお話

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9月にU18のワールドカップが開催されたとき、日本が初戦で対戦するメキシコ代表について調べていたのですが、情報がまるんでないんですよね。ただ、調べていくと一応彼らはメキシカンリーグのチームがそれぞれ囲っているらしい。なのに、メキシカンリーグのアクティブロースターには名を連ねているわけではない。じゃあこの人たちいったいなんなんだろうと思ったのですが、どうやらメキシカンリーグでには各球団に下部組織があり16歳からプロ契約が可能。そこで囲ったプロ契約の選手はメキシカンリーグ直営のアカデミーに預けられて冬と夏にアカデミーのリーグ戦を戦っているとか。ただ、そこで仕上げられた選手でもすぐにレベルの高いメキシカンリーグの公式戦に出場できるようになるのは難しいらしい。じゃあどうするのかというと、他の「独立リーグ」に貸し出される。で、メキシコって一体冬も含めると何個リーグがあるんだろうと思って調べてみたのですが、これがまたたくさんあってこんがらがってくる。まあ、ここまで調べてみたのならいっちょ全部整理してみるか、と思ってまとめたのが図の通りになります。全部で12個。他にもあるかもしれない。略称も似ていて紛らわしいのですが、表にしてみるとそんなに難しい話でもない。ざっくり分かりやすく言うと、いわゆるメキシカンリーグ(LMB)と、冬に行われる一番大きなリーグであるメキシコWL(LMP)の2大リーグがあって、そこから漏れた選手がプレーする独立リーグがたくさんあるっていう認識で十分だと思います。特に冬のLMPはチーム数がメキシカンリーグの半分に絞られる分、そこから漏れた選手の受け皿がたくさんある。メキシコと言えばサッカーが育成大国として有名ですが、野球もは主要な二つのリーグから漏れた選手、所属しながらも出場機会を得られない選手が実践を積める場がたくさんあってなかなか合理的です。夏のLiga Norte de Méxicoというのは名前の通り北部の独立リーグなのですが、メキシカンリーグの若手の選手をたくさん受け入れていてLMBのファームとして公式に位置付けられています。といっても元ソフトバンクのバルバロ・カニザレスのような大ベテランも普通にプレーしてるようですが。冬にもLMBの「教育リーグ」と書いているリーグが二つあります。LMBの2球団で1球団を持っているところもあれば、LMBと全く同じチーム名のチームもあります。アメリカの独立リーグは「米独立リーグ」という一つの表記で同じようにくくれないほどリーグごとにレベルや環境、待遇の違いがあります。 AAAに近いレベルがあるとされるアトランティックから、アマチュア同然の最底辺のリーグまで。おそらく、ここに書いたメキシコのリーグもそれぞれ序列があるのでしょうねきっと。こういった受け皿の多さやシステムが、15球団もありながらそれなりのレベルをメキシカンリーグが維持できる理由だと思われる。冬のLMPでプレーできているメキシコ人選手なんて、かなりの競争を勝ち残ってきた選手なのでしょう。こうやって掘り下げてみると、メキシコの野球も結構奥が深い。

欧州を拠点に野球選手のエージェント業をやっている人に話を聞いてみた

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はい、久々のインタビュー企画になります。インタビューと言っても、ただ単にメールで質問を送ってメールで回答していただいたものを掲載するにすぎませんけどね。これまでブログに登場していただいた方は、ほぼほぼアジアの野球に関わっている人だったのですが、今回はヨーロッパの野球に関わっている方になります。知っての通り、僕はほとんどネットで拾い集めたような情報をベースに伝えているにすぎませんが、たまには現地に住んで現地の野球の空気に触れている人の話を聞いてバランスを取るのも大事なんじゃないかなとふと思って、この話をお願いすることになりました。今回登場していただくフットランスさんは、ヨーロッパに拠点を構えられているように元々は野球をメインでやるつもりではなかったようなのですが、気が付けば野球選手の顧客も多く抱えているようになったとか。詳しくはインタビューの中で語られていると思います。欧州の野球に関わっている日本人はそれなりにいると思うのですが、代理人として欧州野球全体を俯瞰的にある程度見知っているのは希少なように思います。直接関わっているのでやはり説得力が違いますね。血の通ったヨーロッパの野球の話を是非お楽しみください。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― Q1 まず自己紹介をお願いしますはじめまして、Footrans(フットランス)代表の長田康太郎と申します。弊社はヨーロッパ(オランダ)を中心に、スポーツに関係する個人及び法人のサポートをしています。選手向けには主に海外移籍の仲介、法務、財務のアドバイスをパートナーの弁護士、会計士、企業と共に行っています。法人向けにはスポーツチームの共同経営、新プロジェクトの企画立案やマーケティング、スポンサー営業等を一緒に行っています。またスポーツチームの海外遠征の手配を行ったり、海外でスポーツビジネスを勉強する方への語学学校や大学、大学院の紹介なども行っています。現時点で野球とサッカー、ヨーロッパを主なフィールドとしていますが、その他バスケットボールやハンドボール、アメリカ、カナダ、オーストラリアに関する問い合わせも受け、可能な限り対応しております。基本的に「スポーツ」に関するサポートが弊社の業務です。Q2 欧州を拠点に野球選手のエージェント業をするようになった経緯を教えてください私はもともとサッカーのエージェント業を、サッカーの本場ヨーロッパで行う為、2012年にオランダに来ました。最初の3年間は現地でスポーツ関係の仕事をしたり、スポーツビジネスの学校に通ったり、人間関係を作るなど準備に費やし、2015年から本格的にサッカーでの仲介業務を始めようと考えていました。しかし私自身がサッカーではなく、野球経験者だっため、現地でも野球の知り合いが徐々に増え始めました。それと同時にヨーロッパ野球の面白さを知った事が最初のきっかけです。これまで日本人のヨーロッパ移籍は、過去に現地でプレーしていた元選手の紹介で入るのが一般的なパターンでした。しかし仲介を行った人間もまだ現役の選手だったり、もしくは日本に帰国しているため、選手がチームに入った後はほったらかしです。チームに入った選手は現地の事情もわからず、ビザや契約に関しての知識も説明も特に受けていません。英語も話せません。また仲介を行った元選手自身にも、そういった知識がなく仲介している事もあります。そして選手同様に言葉がサッパリ、片言の英語で仲介という最悪のケースもあります。最終的に何か問題があっても、チームと選手はコミュニケーションが図れず、そこには解決策もありません。ヨーロッパのチームからも「日本人を獲得してみたい。でも言葉が…。」という話をよく伺いました。また日本の選手からも「ヨーロッパでもいいから、野球だけで生活をしてみたい。」という声も聞きました。中には仲介だけを個人レベルで行っている方もいらっしゃるようです。しかし大事なのはチームに入ることではなく、その選手がチームに入ってから何をするか、です。私自身、大学を卒業してからカナダに渡り、1シーズンだけですがプロ野球チームで働かせてもらいました。オランダは2カ国目の海外居住ですが、今思えばオランダ生活のスタートよりも、カナダ時代の方が圧倒的に大変だった覚えがあります。スポーツ選手はその上で成績を残す必要があります。特に野球選手はパフォーマンスが細かく数字で出るため、ごまかしが効きません。そういった状況を目の当たりにしたときに、「誰か現地に住んでいて、選手をサポートを出来る環境があれば。選手がもっと野球に集中できる環境があれば、それが日欧野球界にとってプラスになるのにもったいない。」と思いました。そして周りを見渡した時に、それを出来るのが私くらいでしたので、野球選手の仲介人を始めました。Q3 自分の目で見た欧州野球の印象は?上手な選手は本当に上手、下手な選手は本当に下手、というのがその印象です。それは単純に競技人口が少なく、選手層が薄いことが原因です。今からどう頑張っても、競技人口がサッカーを抜くことはないと思いますし、爆発的に増えることもないと思います。また財政的にヨーロッパ野球が豊かになることもないでしょう。またヨーロッパの中で野球は(どちらかというと)お金持ちのスポーツという印象です。選手、観客、ユースの子どもと、同じエリアのサッカーチームとはまた違う雰囲気が野球場では見て取れます。その点では、この辺りの各国協会が運営しているエリートアカデミーのような、ある程度お金があるチームと家庭が一極集中で選手を育成することは選手強化には理にかなっているのかもしれません。その半面、ヨーロッパ野球の殆どはレクリエーションとしての野球なので、その相反する考えが発展のひとつの障害でもあります。Q4 主にエージェント業をやっているのだと思いますが、他には何かやってるんですか?話したように様々なサポートを含む仲介業務が主たる部分で、その他は日本からの遠征の手配、スポーツ団体の経営、コンサルティングです。スポーツに関係していないことは一切行っておりません。 2017年の野球選手の仲介に関して言えば、移籍の入り口となる問い合わせは40-50名ほど受けました。そして実際に30名ほどチームを探すプロセスに入りまして、うち20名ほどが移籍を果たしました。移籍は日本からヨーロッパが割合は多いですが、日本人以外のヨーロッパ移籍、アジア移籍など色々とあります。今は少しずつ北中南米やオーストラリアへも拡大しているところです。またサッカー選手も数名扱っていて、仲介業務自体の割合も増やしています。 Q5 日本の野球選手がヨーロッパでプレーする意味にはどのようなものがあると思いますか?年齢や日本での経験によってそれぞれだと思います。野球選手というのは、あくまで自らの人生を形成する一要素でしかないと思っています。その意味で、選手としての競技面の向上だけでなく、人間としての幅を広げること、そして人生をより豊かにすることにもっと意味を見出してもらいたいです。野球をするだけであれば、日本でした方が環境は良いと思います。そしてアルバイトをすれば、金銭的にも恵まれた生活が出来るかもしれません。しかしわざわざヨーロッパに来るのであれば、ヨーロッパでしか得ることが出来ないものを求めないと、来る意味が無いのではないでしょうか。それは何でも良いと思います。例えば、言語でも良いかもしれません。昨年ヨーロッパでプレーした日本人選手は、こちらにいる間に一生懸命英語を勉強していました。結果、現地でのコミュニケーションも上手くなり、英語の試験でも良いスコアを取ったようです。また日本では果たせなかった、「野球で給料をもらって生活する」プロ契約の選手もいます。野球と並行していたアルバイト先で、今では社員となり会社からビザと給料をもらって生活している選手もいます。どのような仕事であれ、それは海外での就労経験です。そして人生経験の一つとして、今後に繋がってきます。ドイツに数年住んで、英語とドイツ語と少しずつでも出来るようになれば、日本に帰った時でも生きるのではないでしょうか。日本でアマチュア経験しかない選手にとっては、これもプレーする意味なのかもしれません。日本でプロ経験があれば、野球だけでどこまで生活出来るかを目指しても良いと思いますし、将来の指導者を見越して海外の野球を見る、海外にネットワークを作るというのも一つです。いずれも日本では出来ない経験です。そこに意味を見いだせない選手は、来ても何も残らないと思っています。 Q6 日本人選手にはどういったものが求められていますか?広く言うと、環境適応能力ではないでしょうか。一つにはやはり言語(英語)です。チームから選手への一番多い評価は、「プレーは問題ない。真面目でハードワークで、人間性も問題ない。でも英語が通じず、いつもYESと言ってニコニコしているだけ。本当は何を考えているかわからない。」というものです。YESと言って、全然指示と違う行動をしていた時。そしてプレー面で調子が上がらない時。その時に自分の気持ちを伝えることが出来ないと、チームも選手も共にストレスが溜まり、悪循環に陥り始めます。その他では、日本とは違うこと、彼らは日本人ではないことを、認識するだけてはなく、真の意味で受け入れることです。日本人選手から野球面でよく聞くのが、ヨーロッパ人は「練習しない」「野球が下手」「すぐキレる」などです。生活面では、「(キッチンなどの)家の使い方が汚い」「食事が単調、不味い」「騒音がうるさい」「全てにおいてルーズ」が多いです。それに対して文句を言ったり、愚痴をこぼすのは、彼らのその事実を単純に認識しているだけです。そこにイライラして、自分のパフォーマンスを落とすことほど馬鹿らしいものはないと思います。出来ればもう一歩上の段階、そういった事を全て受け入れ、「他人は他人、自分は自分。」と、マイペースかつ鈍感になって欲しいです。違いの原因を探したり、相手に同意を求めるくらいなら、もっと自分の事に注力して欲しいと思います。そしてそれが、海外でも自分を崩さずにパフォーマンスを発揮するための、重要な要素だと考えています。Q7 オランダやドイツを拠点にしていると伺ってますが、両国の野球の印象についてオランダは小国なので、昔から海外を向いてきました。そのため、海外でも通用する考え方、海外でも注目する突飛なアイデア、異なる文化と交わる力に長けていると思います。一方のドイツは人口も多い工業国です。基本的に内向きで、寡黙で着々と、がより得意な印象です。日本に近いのかもしれません。それが野球でもあてはまる事があります。オランダに関して言えば、よく知られている所では、キュラソーなど「カリブ海のオランダ人」の存在です。歴史的にオランダが海外進出をしてきた結果、今のオランダ代表にも、本国生まれとカリブ生まれが混在しています。ごくまれにオランダ系アメリカ人も見られます。時にはオランダ語で、時にはカリブの言葉で、時には英語で話す。全体的にカリブ色が濃いですが、その個人の持つ多様性と柔軟さがオランダ野球の印象です。ドイツはオランダよりもっと集団で戦う印象です。ドイツ野球を支えているのは、多くのドイツ系アメリカ人であったり、アメリカでのプレー経験があるドイツ人、アメリカからの助っ人外国人です。基本的にアメリカ野球が色濃く、全員の共通認識があり、何かが飛び抜けて目立つような野球ではない事自体がドイツ野球の印象です。Q8 私はイタリア野球贔屓なのですが、イタリアの野球はどのように映ってますか?ヨーロッパで一番野球熱が高いのはイタリアだと思います。人口あたりのファンの多さは一番ではないでしょうか。国際大会にも選手団だけでなく、しっかりとメディアが来たりと、野球コミュニティだけではなく、ある程度国として野球をしている印象です。その結果がオランダと共に、長くヨーロッパの二強を形成しているという事実だと思います。ただ、国自体が経済的に元気なわけではないので、ここからの成長はどれだけアメリカでプレーをしているイタリア人選手が、国に還元するかにかかっていると思います。ご存知のように国内リーグは、ベネズエラ人もしくは帰化組が主力を担っています。彼らはベネズエラよりイタリアの方が環境が良いため、今はイタリアにいますが、将来的にはわかりません。より給料が良い国に移る可能性もありますし、イタリア野球の縮小があれば国を離れるかもしれません。そこでアメリカで最先端の野球を吸収してきた、イタリア生まれイタリア育ちの選手が担う役割は大きいと思います。イタリアがどうであれ、彼らにとっては母国です。今はイタリア人マイナーリーガーも増えてきているので、彼らがしっかりとイタリア球界に還元すれば、イタリア野球のレベルはもう一段階上がると思います。先のキュラソーとオランダの話も似た状況に見えますが、キュラソー人はオランダ人です。彼らはヨーロッパ人という認識はあまりないですが、オランダ王国人としてのアイデンティティはあります。生まれながらにオランダ国籍者なので、本国オランダには数多くのキュラソー人が定住しています。野球を離れても本国オランダに残る人も多くおり、それが国内リーグのレベルを保っている要因だと思います。 Q9 WBCでも常連になっている、イタリアやオランダ。さらに予選ラウンドに出場しているドイツやチェコといった国にプロ契約の選手がいるのは分かるのですが、外国人選手にプロ契約だったり、野球で生活できる待遇を用意できるヨーロッパの国はさらに幅広いような印象があります。チェコ以外の東欧でプレーしている日本人選手も結構多いですよね?チェコより東の国でプレーしている日本人選手もいます。弊社からはポーランド、セルビア、ブルガリアリーグへ移籍した選手がおります。基本的に家と最低限の生活が出来るだけの給料、もしくは食事付きのホームステイみたいな形で、贅沢は出来ませんが生活出来ています。他に関係がある国では、クロアチア、スロバキア、ハンガリーなどもあります。マイナー国になればなるほど、選手に加えてコーチ役も求められます。つまり、より英語が求められます。ただそこをクリアすれば「選手兼コーチ」になるので、飛行機代もカバーされたりと待遇が変わってきます。求められる英語力も、本当に義務教育レベルで大丈夫なケースがほとんどです。ただ、それでも日本人が進出していないということは、言い換えれば義務教育レベルの英語も難しいということかもしれません。結果、ほぼアメリカ人かオーストラリア人が外国人枠を独占しています。どのような国でも、一定数の外国人選手は存在しています。またアメリカはマイナーリーグも独立リーグも多く、元プロ選手が本当に多いです。実力的には日本のトップアマチュアの方が上でも、肩書としてはやはり「元プロ」が強いです。結果ヨーロッパのチームが好むのは、「英語ができる元プロ」となり、日本人よりアメリカ人選手になります。それでも日本野球の知名度は高いので、日本人選手に興味を示してくれるチームもあります。また弊社のデータベースには約200チーム、外国人を獲得する可能性があるヨーロッパのチームが登録されています。彼らと上手に連携して、選手を仲介するのが、ある意味我々の腕の見せどころなのかもしれませんね。 Q10 今後野球に置いて伸びしろあがある、個人的に注目している、という国はありますか?競技力の面で一番注目しているのはチェコで、その次にグレートブリテン(イギリス)です。違う意味ではスペインに注目しています。チェコはアメリカに渡る選手が増えています。アメリカの大学に進学したり、MLB球団と契約したりする選手もいます。人口は決して多くないですが、国内野球もレベルが高く、野球関係のお金周りも良い国だと思います。グレートブリテンはアメリカやバハマにルーツを持つ選手も多く、代表チームはしっかりしています。またヨーロッパではロシア、ドイツに次ぐ人口を誇る国なので、本当に2019年にMLBがロンドンで開催されたら、国内人気も少しは火がつくのかなと期待しています。国内リーグも整備されてきていますし、都市部には野球を知っている人、アメリカ在住経験者も多いので、密かに期待しています。スペインは代表のほとんどがベネズエラなど、国外にルーツを持つ選手です。そこに本国の選手がどう入っていくかが楽しみの一つ。もう一つは、今独立問題が起きているカタルーニャはスペイン野球の中心地です。そこが抜ける可能性があるのかどうか、今あるカタルーニャ選抜がスペイン代表と共に国際大会にも出てくるのか、そういったところで注目しています。Q11 欧州野球界で注目している選手あまり個人名を挙げることはないのですが、オランダ人の何人かは注目しています。全てに共通して言えることは、とりあえず大きいことと球が速いこと。15歳で140キロ近くを投げる選手もいます。コントロールや変化球はサッパリですが、全体的に身長が高く球が速い選手が多いのはオランダ人の魅力です。Q12 欧州野球界に今必要なことはなんだと思いますか?元も子もない話ですがお金だと思います。鶏が先か卵が先かになりますが、お金が無いと野球の普及活動も出来ません。逆を言えば、お金さえあれば国策で、一人のトップを育てる事も不可能ではないと思います。欧州でもオランダ近辺に限って言えば、ある程度の先進国ばかりですし、経済力と人口が今後劇的に増えることはないと思います。またサッカーやその他スポーツがこれだけ市民権を得ている以上、野球人口が増える余地も少ないです。お金を産むための大きいPRはMLBが担ってくれていると思っていますので、私は一人でも多くの日本人選手をヨーロッパに輩出して、小さい小さいレベルですが日本野球界として、欧州野球界に貢献出来ればと考えています。Q12 最後に何かPRとかあればお願いします。今、2018年シーズンの日本人選手獲得の打診が、ヨーロッパの各チームから来ています。例年、依頼を頂くチームは多いのですが、なかなか海外に行きたい日本人選手が見つからない状態が続いています。ヨーロッパといってもレベルも待遇も本当に様々なので、選手個々人にあてはまる国や生活があります。我こそはと思う選手は遠慮なくご連絡下さい!また日本人選手の海外進出の一環で、「台湾ウィンタートライアウト」というプロジェクトを立ち上げました。 https://tomafootrans.wixsite.com/tftt-taiwan/twtt2018 来年1月に台湾で日本人を中心としたチームを結成し、MLBやCPBL(台湾プロ)のスカウトを招待して試合を行います。トッププロ球団以外にも、アメリカの独立やヨーロッパの球団へも道が開かれる機会となっています。まだまだ参加者を募集していますので、こちらも宜しくお願い致します。共に海外を目指しましょう!今後は野球だけでなく、一般社会でも海外とは切っても切り離せない時代が来ると思います。野球をツールとして、海外に進出して、世界で戦える人材が出てくることを願っています Footrans(フットランス) Email:contact@footrans.com HP:http://footrans.com/ Facebook:https://www.facebook.com/Footrans/ Twitter:https://twitter.com/FootransHolland?lang=ja Follow @FootransHolland ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――冒頭に書いたように「血が通った情報」であるのは当然として、趣味としてヨーロッパの野球を始めとした世界の野球を追っかけている私のようなタイプの人間とは、視点も違っているのでそこも面白いような気がします。阪神タイガースで新人王を獲得した上園啓史投手が昨年オランダでプレーするのを仲介したのもこちらの会社なのですが、上園投手のようにNPBでのキャリアが十分なほどあり、国内の独立リーグでもプレーできる力量のある選手が現役の最後に欧州でプレーする意味は具体的にどのようなところにあるのだろう?と思ったことがあり、そういった疑問も質問に含まさせていただきました。海外でのプレーに興味がある野球選手はもちろんのことですが、時おりヨーロッパの野球の情報なども発信されているので、興味のある人はホームページやSNSをフォローしてみてはいかがでしょうか(終)

ヨーロッパ出身マイナーリーガーの成績を振り返る2017(野手編)

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マイナーリーガーと書いていますが、独立リーグやメキシカンリーグでプレーしている選手も含まれています。まずは野手から見ていきましょう。今の時点で、メジャー昇格がイメージできる成績を残せている選手はいない。 MLBにはドイツ出身のマックス・ケプラー(ツインズ)がメジャーでレギュラー格に成長。欧州野球にとってかなりエポックメイキングな出来事だったのですが、彼に続くような選手を輩出するのはやはり簡単ではなさそう。潜在能力的には、そのケプラーを上回る欧州史上最高額でロイヤルズと契約したイタリアのマルテン・ガスパリーニが最も評価が高い。ジャマイカの血も入ったスピードが最大の持ち味で、目指すところはメジャー屈指の韋駄天ビリー・ハミルトン(レッズ)のようなイメージだと思われる。守備率が8割を切ってしまうほどの壊滅的な遊撃守備がネックの一つでしたが、今季からは外野にコンバート。守備の不安がなくなり、スピードの生かせるポジションに移ることに。ただ、外野に移る以上は打撃で求められるハードルが上がることも意味します。私は2015年に大阪で行われたU18ワールドカップで彼のプレーを見たことがあったのですが、1打席目からひたすらセーフティーを狙っていくスタイルが印象に残りました。打撃におけるパワーレスさが課題と思われていましたが、昨年あたりから強い打球を打つことを重視したアプローチが垣間見えていますね。三振数は去年が134、今季が121。それと引き換えに去年が7本塁打、今年が9本塁打を記録。まあ下の階級で足を生かした方向性に行くのは先がないってのもあるでしょうし、今年メジャー昇格を果たしたギフト・ンゴペ(パイレーツ)もそうでしたが、打力(パワー)に欠ける選手ほど三振を増やしてでも、強い打球を打つ方向性に行く印象があります。そこは、コンタクト重視で右方向への打撃にシフトしがちな日本とは逆のアプローチですよね。ンゴペは遊撃守備はメジャークラスだったので昇格することが出来ましたが、外野手になったガスパリーニはマイナーでしっかりとした成績を残すことが求められると思います。イタリア人捕手のアルベルト・ミネオは捕手としては及第点の打撃成績を残しています。ただ、2年前のプレミア12を見る限りはスローイングやキャッチングといった守備面では課題が多い。生き残っていくためには捕手であり続ける必要があるので、ディフェンス面の向上が必要不可欠。ファーストとしての出場試合も多いのはちょっと気になるものの、阻止率は36%を記録しています。多くの欧州出身マイナーリーガーは高校出の年齢の選手がプレーするルーキーリーグで2年ほどプレーして切られるのですが、Rk級を卒業してもマイナーに何年もしがみ付いているのは結構凄い。来期以降もアメリカでプレーすることが決まっています。今季の成績で最も期待できそうなのはチェコのマルティン・セルベンカ。ミネオのところでも触れましたが、やはり捕手は求められる打撃成績のハードルが下がる点が、マイナーで生き残っていく上では大きい。外野手の欧州出身のマイナー選手あたりはよほどの成績を残さないとあっという間にリリースされますからね。 1Aのアドバンスドという壁に直面しやすい階級で及第点以上の打撃成績。そして守備面での向上も著しく、40%の阻止率に加えて、パスボールの数も去年の13→2に激減してます。彼自身がチェコ出身マイナー選手の最高位であり続けているのですが、それをもっと引き上げることが期待されます。元ドイツ代表のカイ・グロナウアーが欧州出身捕手の最高位となるメッツのAAAまでたどり着きましたが、彼は守備面の評価の方が高い選手でした。残りの3人は毎年欧州出身の選手が入れ替わっていくルーキー級の選手。野球後進地域の選手はアメリカ本土の高校を出たばかりの選手がプレーするこの階級くらいしか置いてもらう場所が基本的にありません。ここで同世代の選手に交じって1、2年で何かしらの存在感を見せない限りは、次の階級に進むことは出来ない。ドイツ出身パスカル・アモンはドイツの名門クラブ・レーゲンスブルクで17歳からレギュラーとして活躍していた外野手。そんな彼でも昨年は打率が1割台になってしまうのが、ルーキーリーグと言えど欧州野球とマイナーリーグの間にある壁なんでしょうね。欧州野球もトップレベルの選手はルーキーリーグより全然格上の選手がたくさんいるのですが、選手のレベルが均質化してなくて実力差が大きいので、そこで稼げば成績は残しやすい。今季は.230台に打率も上昇しポテンシャルは感じられたのですが、基本的には打たないと評価されないタイプの選手なので、まだまだマイナーで生き残っていくには物足りない。ナディール・ルジャティフィはドイツ人マイナーリーガーでは珍しいショートストップの選手。ドイツはしっかり守れる国産の内野手が不足しているので、彼にかかる期待は大きい。実際ルジャティフィが18歳でWBC予選でショートを務めているあたりからも人材不足が伺えると思います。昨年は守備率が9割を切りましたが、セカンドに回った今季は18試合で1失策と成績上は安定。とにかくアメリカにいる間に守りだけでもしっかりプロと言えるレベルに到達して欲しい。オランダはカリブのオランダ領出身の選手も多いチームとして知られていますが、捕手に関してはオランダ本国出身のシドニー・デヨングというオランダ野球のレジェンドの幻影を追い掛けています。キュラソーやアルバは内野手はわんさかとメジャーのスター選手が誕生していますが、捕手に関してはマイナーの下の階級の選手しかいません。とりあえず肩が強いからやっているというタイプが多く、WBCで正捕手を務めたダシェンコ・リカルドはミットが流れまくってフレーミングもレシービングもボロボロ。そもそも構えからして投手が投げにくそうというか・・。捕手に人材が集まらない状況はヤディアー・モリーナのようなスーパースターが出てこない限り変わらないと思うので、デヨングのように本国から補いたいポジションでもあると思います。というわけで、このポール・ブランズもデヨング二世として期待を受けている選手になります。番外編として最後の二人は、MLB傘下のマイナーリーガーではありませんが、かつて欧州出身メジャーリーガーとして活躍し、今季はメキシコでプレーしたアレックス・リディとドナルド・ルッツの二人の成績も併記しました。 AAやAAAでレギュラーくらいの成績を残していても、伸びしろがない20代後半になるとカットされてしまう厳しい世界ですが、メジャーに昇格できるほどマイナーでしっかりとした実績を残しているからこそ、メキシコのようなハイレベルなプロリーグで助っ人として需要がわるわけです。多くの欧州出身選手が数年で戻っていく中で、長年北米でプレーできているこの二人も若い欧州出身マイナーリーガーの目指す先の一つのように思います。(後日投手編をやります)(※来年からブログがhttp://blog.livedoor.jp/sekainoyakyu/に引越しすることになりました)

ヨーロッパ出身マイナーリーガーの成績を振り返る2017(投手編)

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昨日に続いて今日は投手編になります。今年のヨーロッパ野球最大のトピックと言っていいのがリトアニア出身ドビダス・ネブラウスカス(パイレーツ)のメジャーデビュー。欧州野球の中でも強豪とは言えない野球マイナー国リトアニアからのメジャーリーガー誕生。父親がリトアニア代表の監督を務めたリトアニア野球の第一人者(wikipediaにはリトアニアで最初に野球チームを作ったという記述も)、母親はバスケの元プロ選手(リトアニアはバスケが国技)という最強の家庭環境とDNAが組み合わさって最高峰の舞台にたどり着いた、といったところでしょうか。マイナーリーガーくらいなら過去にも出たことがありますが、彼の活躍が今後母国にどう影響を与えていくかにも注視したい。MLBでもAAAでも好成績を残していますが、このAAAとメジャーにまたがって残している成績や平均で97マイルを出す剛腕リリーバーというスペック、日本のプロ野球に最近来るタイプでもありますよね。まだ24歳なのでしばらくはメジャー定着を目指してほしいですが、数年後には日本で見れる可能性も無きにしも非ず。彼を除けば、まだまだみんなメジャーへの道のりは遠い選手ばかりという印象です。ヨーロッパからMLBと契約してやってくる投手の多くは、「野球経験が浅かろうがノーコンだろうが90マイル(145キロ)をガンで計測した選手をルーキー級に放り込んで様子を見る」というイメージになります。多くの選手がそれほど登板機会も与えられず、イニング数と同じくらいの四死球を出したスタッツを残して2年くらいで帰っていきます。 MLBと契約するヨーロッパ選手は若さと素材最優先なので、欧州に戻った選手も必ずしも母国リーグで活躍したり、代表で活躍しているというわけでもありません。ドイツ出身のスヴェン・シュラーも完全にマイナーデビュー当初は完全にその類だったのですが、年を追うごとに与四球の数は減少。ルーキー級を無事卒業しています。表には1Aアドバンスドの成績しか載せていませんが、23試合に投げている1Aでは防御率1.49の好成績。BB9はデビュー当初は8.5だったのに対して1Aでは3.4と半分以下になっています。 Aアドに上がってからは打者の精度も上がって四死球はまた増えてしまっていますが、最速で95マイルを計測するなど球のボリュームは十分あるので、今後もチェックしていきたい投手の一人と言えますね。 WBCで名前を覚えた人も多いであろうオランダ代表のトム・デブロック。彼もコンスタントに140キロ後半を計測した剛腕なのですが、当時に内外にある程度の投げ分けが出来る制球力も印象的でした。ストライク取るのに四苦八苦するというレベルは裕に超えていことがスタッツにも出ています。K/BBにして5.6という高い数値は彼のコマンド力を証明しているかと思います。それほど精度の高い変化球がある印象がないので、さらに上を目指すならそこが課題になってくるでしょうか。リトアニア同様に欧州球界の中でもマイナー国であるモルドバ出身のペトル・バランとヴァディム・バランのバラン兄弟は共に今季欧州出身選手の獲得に熱心なツインズ傘下でプレー。元々は中欧・東欧の選手が集まってくるチェコリーグでプレーしていました。 15年からプレーしている兄のヴァディムはモルドバ初のプロ野球選手なのですが、兄弟ともども年齢的にも成績的にも首元が涼しい。それでも奪三振数を見るとポテンシャルは示していますが、兄貴の方はルーキーリーグでプレーする選手の年齢をとっくに超過しているのが気になる・・。オランダ代表は右のパワーリリーバーが揃っている一方で、左のリリーフ投手が駒不足。昨年のアジアWLで欧州選抜の一員だった左腕のタイラー・クレメンシアはそういう意味で期待して見ていたのですが、かなりボールのバラツキが多く不安定なピッチングを見せていました。スタッツを切る限りは今年も変わっていない。おそらく、オランダに戻っても今のままでは厳しいでしょう。ルドビコ・コベリはアレックス・マエストリ以来の国際レベルに到達したイタリア人投手になることが期待されています。2015年はU18代表とプレミア12の両方に選出されている投手。長身からコンスタントに140キロ以上を計測する球威があります。ドミニカンサマーリーグというドミニカのアカデミー上がりの選手がアメリカ本土に行く前にプレーするリーグで今季はプレーしました。本土のリーグよりもレベルは落ちるのですが、成績は上々。彼もまた制球面で不安を見せていないのが大きい。ロシア代表は代表チームは欧州選手権本大会(12チーム)に出られるか出られないかという立ち位置の国なのですが、マイナーには時折好投手を輩出しています。アンダー世代から活躍していた左腕のアントン・クズネトソフはマイナーデビューの今季ルーキー級にあたるガルフコーストリーグで防御率0.36の好成績。リーグのオールスターゲームにも選出されていました。コベリと同じ15年のU18ワールドカップメンバーであるクラウディオ・スコッティは歩幅の狭いフォームから球威のあるボールとシンカー系の組み合わせに特徴を持つ投手ですが、登板機会も少なく今後も厳しいか。オランダのマッツ・スフーテもおそらく来期はオランダでプレーすることになると思うのですが、戻ってからも厳しいと思われる。最後に独立リーグとメキシコでプレーした伊独の両エース。マーカス・ソルバッハはレベルの高いキャンアムリーグで11勝と別格。90マイル以上の球威と多彩な球種、安定した制球力を兼ね備えており、今後の国際大会も重要な試合を任せられることになりそう。オリックスを退団した昨年は韓国のハンファとBCリーグ群馬でプレーしたアレックス・マエストリはWBC後メキシカンリーグのベラクルスと契約。今年は結婚に加えてグラブのメーカーを立ち上げたという話も入ってきており、先月はイタリア代表としてオランダとのインターナショナルマッチに先発。副業しながら母国リーグでプレーする感じになるんでしょうかね。※お知らせ 来年からブログがhttp://blog.livedoor.jp/sekainoyakyu/に引越しすることになっているのでよろしくお願いします。

アンドレス・メナ内野手のトライアウトのお知らせ&スペシャルインタビュー

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 去る10月31日から11月6日まで、グローバルベースボールでは野球フィンランド代表のアンドレス・メナ=ゲラ選手(30)に対する、BCリーグ合同トライアウト受験の支援活動を行いました。残念ながら、本トライアウトでは奮闘むなしく一次試験にてあえなく不合格となってしまいましたが、初めての来日と日本でプロ野球選手になる為の挑戦をするという夢を叶えることが出来、本人は結果を悔しがりながらも納得している様子でした。 今回は日本滞在中、そんなメナ選手と交わした会話の数々を本人了解の上、一本のインタビューとしてまとめてお届けしたいと思います。日本にやってきてから感じたことはもちろん、これまで生きてきた人生の中で見聞きしたことなどもお届けしたいと思っていますので、楽しんでいただければ嬉しいです。―:まずは自己紹介をお願いします。メナ(以下メ):ヘルシンキ・ピューマに所属するアンドレス・メナ=ゲラです。1987年1月11日生まれの30歳で、ポジションは内野手。基本はショートだけど、内野ならどこでもやるよ。元々はキューバ生まれだけど、元カノがフィンランド人だった縁で2011年からフィンランドに移住していて、今はジェルリン・マリアという3歳の娘とともにヘルシンキに住んでます。―:今まではどんなチームでプレーしていたの? メ:僕はビジャクララ州の出身で、キューバ時代には世代別の国内リーグで地元のチームに入っていたよ。キューバの世代別代表にも選ばれたことがあるんだ。ヨーロッパではフィンランドで3チームを渡り歩いた。2ヶ月だけだけど、エストニアのクラブにいたこともあるよ。―:ビジャクララ出身の選手と言うと、日本ではダヤン・ビシエド(中日)が有名なんだ。彼のことは知ってる? メ:もちろん知っているよ、同郷だからね!!年齢的にも近かったんじゃないかな(筆者注・ビシエドの方が2歳年下です)。日本でプレーしているキューバ人といえば、やっぱりアルフレド・デスパイネ(ソフトバンク)だよね。彼はまさに英雄だと思うよ。―:そんな君が、日本でプレーしたいという思いを持ったのはどういう経緯があってのことなのかな? メ:キューバにいた時から日本野球のことはよく知っていて、いつかは自分もプレーしたいという思いをずっと持っていたんだ。日本はとても野球が強い国、そこでプレーするのは僕のあこがれだった。僕にとっては、MLB以上にNPBでプレーするのが夢だったんだよ。少し現実的な話をすると、フィンランド国内の野球環境にも自分は満足していない。まず、SMサージャ(フィンランド国内リーグ)は試合数が少なくて、年間に1チーム当たり16試合(計5チームが所属し、4試合総当たりで戦う)しかプレーできない。それに、そもそも野球自体がアイスホッケーやペサパッロ(野球をフィンランド式に改良した競技で、同国の国技)と比べて小さなスポーツで、あまりコンペティティブな環境とは言えないんだ。試合に対する取り組みもそう。勝てばもちろん皆ハッピーなのはいいけど、逆に負けてもそんなに悔しがらないんだ。実際、そういう環境に不満があって辞めてしまったアメリカ人選手もいるよ。凄く上手い奴だったから残念だけど、その気持ちはよく分かるんだ。自分のやっているスポーツに対する愛情は、どんなアスリートも常に忘れてはいけないと思う。もちろんSMサージャの選手たちもその点では決して負けていないと思うし、中にはいい選手もいるよ。でも同時に、さらに高いレベルを目指したいというハングリー精神も忘れてはいけないんだ。自分はより高いレベルに行けないと思った時点で、自分自身の成長は止まってしまうからね。―:僕ら日本人の野球ファンにとって、フィンランドの野球はまさに未知の領域なんだ。例えば、SMサージャでプレーしている投手はどれくらいの速球を投げるのかな? メ:球速で言うと大体87~88マイル(約140~141キロ)ってところかな。それと国内リーグには参加していないけど、フィンランド代表には1人だけ90マイル(145キロ)を投げる奴もいるよ。―:実は君が来日する前にSMサージャの所属選手を調べてみたんだけど、外国人選手の出身国が凄く面白いなと思ったんだ。アメリカやベネズエラ、キューバやオーストラリアといった国々は日本でも馴染みがある。でも、フィンランドではエストニアやラトビアのような、あまり他ではお目にかかれない国の選手もいるよね。インド代表の選手(クマール・ナレンデル外野手/テンペレ・タイガース)がいると知った時は、流石に驚いたよ!! メナ:あぁ、面白いだろ?彼はペサパッロをたまたま母国で見たらしくて、それをやってみたいと思ってフィンランドに来たんだ。それで、こっちでは野球のリーグでもプレーしているのさ。インドの野球選手が遥々フィンランドまでプレーしに来るって、なかなか興味深いよね。―:君もキューバ出身で、フィンランド移住というのはなかなか簡単な決断ではなかったと思うけど。メ:そうだね。実は他のキューバ人選手と同じように、僕もフィンランド移住に際しては亡命という形を採っているんだ。だから、今母国に戻っても僕がキューバでプレーしていた頃の公式記録は抹消されている。非常に大変な決断ではあったけど、キューバという国の体制にも正直言って不満は色々とあったしね。―:キューバとフィンランドでは言葉も全く違うよね。適応するのは大変だったんじゃないの? メ:めちゃくちゃ大変だったよ(笑)。フィンランドには移民向けの語学学校があるんだ。国籍を取る為には、やっぱりフィンランド語が話せないといけないからね。最初はチンプンカンプンだったけど、2年目以降は少しずつ話せるようになった。今はキューバとフィンランドの二重国籍なんだ。もう何だかんだで6年いるから、現地の人たちとはもちろんフィンランド語で会話しているよ。たまに向こうからは英語で話しかけられることもあるけどね。―:娘さんとは何語で話してるの? メ:スペイン語とフィンランド語を織り交ぜている。彼女はスペイン語は話せないけど知識はあって、僕の言っていることは分かるんだ。だから、僕からはスペイン語で話しかけて彼女からはフィンランド語で答えが返ってくるのさ(笑)。―:娘さんも二重国籍なの? メ:いや、ジェルリンはフィンランド国籍だけだよ。その気になればキューバ国籍を取らせることもできるけど…、僕にはその意思はないね。―:話を野球の話題に戻そうか。今回、君が日本に来るにあたって自分を選んでくれたのはどういう経緯だったの?(筆者注・今回のプロジェクトはメナからのアタックにより実現しました) メ:日本でプロリーグのトライアウトがあるという情報を聞きつけて、それに是非自分も参加したいと思った。でも自分は日本語が分からないから、手伝ってくれる人を探そうとFacebookで助けてくれそうな日本人を探った。そうしたら君(筆者)を見つけたんだ。実は君と活動を始めた後になって、在欧の日本人エージェントから声がかかった。でも、先に協力者を見つけていたからそのルートは断ったんだよ。―:実際、今回トライアウトや自主練習に参加してみてどう思った? メ:今回こういう経験が出来て、とてもよかったよ。やはり日本の野球はレベルが高い。それに、助けてくれた皆の働きも素晴らしかった。結果は残念だけど感謝しているし、自分の最善を尽くしたからハッピーだよ。―:フィールドの内外を問わず、日本を楽しむことは出来たと思う? メ:あぁ、本当にそう思うよ。でも、日本での挑戦をこれで終わりにはしたくない。チャンスがあれば、社会人のクラブチームでプレーさせてほしいと思っているんだ。自分が日本のクラブでプレーを続けていれば、フィンランドの仲間たちにも「俺たちにももっと高いレベルにチャレンジできる可能性があるんだ」と感じてもらえるからね。もし少しでも可能性があるなら、それを掴むために努力は惜しまないよ!!是非よろしくお願いします。―:日本の野球ファンにメッセージをどうぞ。メ:今回の来日は、とても素晴らしい経験になった。皆が助けてくれたおかげだよ。本当に心から感謝したい。また近い将来、再び日本に戻ってこれる日が来ることを願っています。ありがとうございました。 今回自分たちが支援したアンドレ・メナ内野手は、「BCリーグトライアウトに合格しフィンランド初のプロ野球選手になる」という意味では残念ながら夢破れてしまいましたが、引き続き日本でのプレーを希望しています。もしクラブチームのセレクションの情報などありましたら、globalbaseball532@gmail.comまでお寄せいただきましたら大変ありがたいです(もちろん自分たちの方からも探しに行きます)。外国人選手ということで色々苦労はあるかと思いますが、今後とも同選手に対する温かいご支援のほどよろしくお願いいたします。

もうひとつのメキシコウィンターリーグ、リガ・ベラクルサナ

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 先日、日本シリーズを戦ったDeNAの乙坂がメキシコウィンターリーグ挑戦というニュースが流れた。彼が参加するのは、カリビアンシリーズ出場権をもつ、メキシカン・パシフィック・リーグ(リガ・メヒカーナ・デ・パシフィコ, LMP)で、その名の通り太平洋岸の8チームから構成される。運営するのは、夏のメキシカンリーグとは全くの別団体で、メキシカンリーガーのほか、アメリカでプレーしているマイナーリーガーやメジャーリーガーも参加して、レベルは非常に高い。 メキシコにはこのほか、冬季シーズンにも複数のリーグがあることはすでに紹介したが、このLMPに次ぐリーグだったのが、ベラクルス冬季リーグ(リガ・インベルナル・ベラクルサナ, LIV)である。「だった」というのは、このリーグは現在消滅してしまっているからだ。 2005年オフに州知事フィデル・エレーラ・ベルトランの尽力により復活(以前にもこの地域にはウィンターリーグがあった)した11月から1月まで開催のこのリーグは、太平洋岸に位置するベラクルス州の4チームと内陸部チアパス州の2チームから構成されていた。2005-06年シーズンから2011-12年シーズンは2地区制を採用、この後フォーマットを変えて2015~16年シーズンまで実施された。2012-13年シーズンから優勝チームは、このシーズン後に始まったコロンビア、ニカラグア、パナマ各国のリーグの優勝チームが覇を競うラテンアメリカシリーズにコマを進めていた。 メキシカンパシフィックリーグから漏れたメキシコ人や外国人選手の受け皿として年々レベルを上げ、人気も向上していたというが、財政的には苦しかったようで、2016年に休止、この年の冬からは、新リーグ、リガ・デ・ベイスボル・エスタータル・デ・ベラクルス(ベラクルス州立野球リーグ)として再出発した。そして今季、リガ・ベラクルサナ・エスタータル・デ・ベイスボルと名を改めて開幕している。 前リーグとの違いは端的に言うと、「セミプロ化」したということだろう。各チームのロースターにはプロ選手(夏期シーズンもプロリーグでプレーしていた者)が8人まで認められ、ここには主に、LMPで契約を結べなかったメキシカンリーガーが登録される。その一方でこれまでプロ経験のないルーキーは5人登録する必要があり、その残りは、過去にプロ経験のある「元プロ」となる。メキシコではいったん夏季リーグを「引退」した選手がウィンターリーグでのみプレーを継続することは珍しいことではないが、このリーグは、そういう「マスターズ・リーグ」に育成的要素が加わってできたと考えられる。そのため、試合開催は週末にのみに限定、このあたりが前リーグとの大きな違いだ。土曜1試合、日曜はダブルヘッダーと週3試合を約2か月で消化、上位4チームがプレーオフを経てチャンピオンを決定している。 前年から1チーム減らし5球団制となった今季は、開幕を前にして、中米の隣国グアテマラの代表チームを招聘、各チームと対戦、10月28日に開幕戦が行われた。リガ・デ・ベイスボル・エスタータル・デ・ベラクルス2017 チレロス・デ・ハラパガージョス・デ・シウダーメンドーサカフェテロス・デ・コアテペックトビス・デ・アカユカンナウアス・デ・ティウアトラン

メキシカンリーグ2018年シーズンの概要

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 メキシカンリーグの来シーズンの概要が発表された。今年デュランゴに移転したヘネラルズの撤退は取り消され、来シーズンも16球団体制を維持することが決まり、今シーズン前の球団移転でいびつになっていた南北地区の振り当てについては、北地区に属していたメキシコシティが南地区へ移転、レオンが北地区に行くこととなった。 フィールド上のルールでは、メジャーで導入された敬遠四球の際、宣言のみで打者に1塁が与えられるルールをメキシカンリーグでも適用することとなった。 スケジュールについても概要が発表された。 開幕は、3月22日。例年どおり、カードは未定だが、開幕戦は1試合のみ。翌日から他チームも一斉にペナントに突入する。 各球団それぞれ57試合の2シーズン制は基本的にこれまでと同じだが、大きく違うのは、前後期それぞれでプレーオフ、チャンピオンシップをするところだ。前期は3月末から5月末までで、その後各地区上位4チームが、2段階のプレーオフで地区優勝を決め、チャンピオンシップを行う。そしてその後、オールスター戦を経て、7月あたまから後期シーズンがはじまり、9月末よりポストシーズンに入る。各々7回戦制のポストシーズンにはひと月かかるので、レギュラーシーズンに約5か月、ポストシーズンに計2か月という長丁場になる。後期チャンピオンシップの終了は10月7日が予定されている。一昔前までは、8月にはシーズンが終わり、選手はその後、アメリカの球団に移籍することも多かったが、そういう意味では、より独立性が高まってきたと言えるだろう。前期チャンピオンと後期チャンピオンは決戦シリーズをすべきだと思うのだが、これについては、公式サイトは言及していない。

「野球移民」の立ち位置

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 突然ながら、もしも誰かと政治談議をしようという時は、自分は基本的に右寄りであるのだろうと思う。外国人参政権や安直な移民導入には反対だし、自衛隊は一刻も早く国防軍へと発展的解消を果たすべきだと思っている。グローバリズムや国際協調の重要性は十二分に理解をしつつも、自国の国益を損ねてまでそれにまい進することには疑問を抱く立場だ(その意味では、もしかしたら自分の考え方はトランプ大統領にも近いのかもしれない)。そういう意味では自分は「保守」であるのだろうけれど、こと野球に関してだけは全く正反対であり「むしろ自分はリベラルであるのかもしれない」と最近思うようになってきた。 去る10月31日から11月6日にかけて、フィンランド代表のアンドレス・メナ内野手(30)のBCリーグトライアウト挑戦をサポートした。メナは出生した国と代表国が異なる、いわゆる「野球移民」の典型だ。しかも、(少なくとも一時は間違いなく強豪国と呼ぶにふさわしい存在であった)野球大国キューバから、野球というスポーツ自体がマイナー競技にすぎず欧州全体でも下位に位置するフィンランドに移り住んだという、一部ネット住民からはある意味一番嫌われるパターンと言えるかもしれない。 もちろん誰もがそう言う見方をするわけではないけれど、この手の選手はどうしても目の敵にされがちだ。「どうせ自分の生まれた国ではシニアの代表選手になれないから、もっとレベルの低い国に行くんだろう」なんて声を、残念ながらネットの言論では目にすることが少なくない(これは日本特有の現象かと思っていたら、どうもアメリカにもそういうものの見方をする人はいるらしい)。彼らを受け入れる側の国も「自国生まれの選手を育てる努力をしてない」「移民に頼らなきゃ代表チームすら組めないなんて」と言われたい放題だ。 実際、国によっては確かにメナのような「野球移民」が主力の一角をなすケースは、どうしても存在する。例えばサッカーのように代表戦の文化が発達した競技をよく見ている人からすれば、違和感がぬぐえないのは実際仕方のない事なのかもしれない。メナにしても、本来は一般的には白人の国と思われているフィンランドの代表チームに黒人がいて、しかもその選手がフィンランド語ではなくスペイン語系の名前を名乗っていると見れば、なんとなく場違いに見えてしまうのはやむを得ない事なのであろうと思う。 ただ、目を向けねばならないのは何故彼がフィンランド代表のユニフォームを身に纏い、そこに立っているのかという経緯だ。彼が今「キューバ系フィンランド人」としてヘルシンキで暮らし、そしてフィンランドを背負って国際舞台で戦っているのは、彼が実際に「もっとレベルの低い国なら自分も代表選手になれる」と安直に考えたからなのか?それともいわば助っ人としてフィンランド野球連盟に金で買われたからなのか?いくらこれまで、国際試合が一大ビジネスになるまでに時間を要した競技とはいえ、野球の国家代表チームとはそんな安直な存在なんだろうか?俺は全くそうは思わないし、実際彼がフィンランド代表選手になるまでに紡いできた物語に触れなければ、彼がその両肩に背負うものの大きさは分からないだろう。 キューバ・ビジャクララ出身の彼は、キューバ時代には世代別の国内リーグで地元チームの一員として戦い、ジュニア代表のメンバーにも選ばれたことのある経歴の持ち主だ。そんな彼が自国の在り方に疑問を感じフィンランドに移住したのは、彼が24歳だった2011年。常夏の島キューバから寒いフィンランドへと移り住むことを決めたのは、当時付き合っていたガールフレンドがフィンランド人だったためらしい。そしてこの時、彼は亡命という手段を使ってキューバから出国している。そのリスクがいかに大きいかは、MLBファンの皆さんならご存知かもしれない。 MLBでプレーするために母国を捨てる選手たちを見ても分かるとおり、キューバからの亡命は文字通り命がけの旅だ。国に残した家族と再び再開することも諦めなければならないのだから、決して簡単にできる決断などではない。実際、亡命に失敗して国に戻されたある選手は、その後キューバ野球連盟から3年間プレーすることを禁止する処分を下されたとメナは語っていた。彼自身の公式記録も、亡命をきっかけに既に抹消されているらしい。 そしてそんな大変な思いをしてたどり着いたフィンランドは、自分の母語であるスペイン語が通じない国だ。フィンランド国籍を取る為には、移民向けの語学学校に通ってフィンランド語を習得する必要がある。彼へのインタビューでも語っていた通り、流石に在住6年目となった今では意思疎通にほぼ不自由していないとはいえ、移住当初は言葉を一から覚えるのにはやはり四苦八苦したそうだ。もちろん言葉に限らず、キューバとフィンランドでは文化や生活様式も大きく異なる。そこに適応していくことは並大抵の努力ではなかっただろう。だが、母国を捨てた彼にはそうするしか選択肢はなかったはずだ。 そうした努力の末に取ったフィンランド国籍。彼は冗談めかして「フィンランドのパスポートがあれば、これまでは入れなかった国にも入国できるから便利だよ」と語ってはいたけれど、実際のところそのパスポートは「ただの便利なツール」などという簡単なものではないだろう。それは一旦は根無し草となった彼がフィンランド国民として政府から公式に認められ、再び根を張る場所を与えられた証であるのだから。自分に居場所を与えてくれた国を、自分の愛する競技をプレーすることによって背負うという行為は、彼にとっては何より大きな意味を持つことであろうと思う。 そして、野球が決してスポーツとしては大きな存在とはなってこなかったフィンランドにおいて、メナが野球大国キューバで身に着けてきた勝負師としてのメンタリティは、実は大きな意味を持つのかもしれない。裾野の狭い野球マイナー国ではどうしても競争原理が働きにくく、その分選手たちの成長も停滞しがちになってしまう。実際、フィンランドにおいてもそういう状況が存在することはメナ自身も指摘していた。だからこそ、「隙あらばさらに上を目指したい」という彼の貪欲な姿勢は、そこに風穴を開ける一助となることと思う。彼が代表に加わればその分内野手の枠が1つ減るが、それは多面的に見れば必ずしも悪い事ばかりでもないわけだ。 もちろん、長期的視野で見ればあくまでもそれぞれの国で生まれ育ったネイティブの選手が代表の主力を占め、そしてその代表チームが世界レベルで戦える組織となることが理想であることは、今更言うまでもない。国家代表を名乗る以上、それぞれのチームのベースはあくまでも各々が背負う国自身に存在するべきだ。だからと言ってメナのような「野球移民」の存在を軽んじ、ましてや排除するなんてことが正しいとも思えない。自国出身の選手がそうであるのと同じように、彼ら移民にも彼らなりに歩んできた物語があるのであって、そこに対しては等しく敬意を払うべきだろう。それぞれの国に対する忠誠を誓い、社会の一員たる振る舞いを身に着けて、その見返りとして国籍を与えられている以上、彼らもそれぞれの国における立派な構成員なのだから。 同じスタジアムで試合を見ていても、グラウンド内から見える風景とスタンドから見える風景はやはり違う。国際試合において最も大事なのは、そこでプレーする選手が「自分が今この場所でプレーしていること」にいかなる意味を見出し、そしてそれにどれだけの価値を感じているかということだろう。ロースターメンバーに選ばれている数人の海外出身者に対して、後ろ指を指すのは簡単だ。でも、その前にもっと違うところに自分たちは目を向けることも必要なんじゃないだろうか。 メナを日本に迎える前、俺は彼とのやり取りの中でこう伝えた。「君がキューバ生まれだとか二重国籍だとか、そんなことは俺たちにとってははっきり言ってどうでもいいんだ。今の君はれっきとしたフィンランド国民であり、そしてアメリカでも日本でもこれまでフィンランド人がプロ野球選手になった記録は存在しない。君が日本でプロになることでその歴史が変わる、仮に届かないまでも君の存在を通じてフィンランドにも本気で野球をやっている奴らがいることが日本で知られる。そのことが何より大事なんだ」と。残念ながら今回彼の夢を叶えることは出来なかったけれど、日本での挑戦をサポートすると決めた選手たちに対してはこれからも、彼らの今までの道筋に敬意を表しながら支えとなっていければと思う。

独立リーグのドラフト候補選手10人

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今回は独立リーグ(四国ILplus・BCL・BFL)から厳選して、個人的に気になっている10人の選手を取り上げてみようと思います。投手伊藤翔 右右 18歳 徳島インディゴソックスおそらく、今年の独立市場において最も注目されている選手。千葉の横芝敬愛高から入団しいきなり先発ローテの柱になった高卒ルーキー。最速150キロの直球とスライダー、フォークが冴える。175/75という未完成な体格からもまだまだ伸びしろが感じられる。 1年間投げて奪三振率8.48、四死球率1.92、被安打率8.04、被本塁打率0.44と数字的にも超独立級。ソフトバンク・巨人との三軍戦ではいずれもQSをマーク。今年の高卒投手市場の不足感を考慮すると3~4位で指名されてもおかしくない。高島秀伍 右右 26歳 香川オリーブガイナーズ外野手だったセガサミー時代から一転、中学以来の投手挑戦で23試合94イニングを投げ抜いた。スリークォーター気味のフォームから最速150キロ。140キロ前後でもキレとパワーを備えた球質。リーグ前半戦は49イニングでボーク4個とブランクに苦しんだ様子はあったものの後半戦はゼロ。奪三振率7.37、四死球率4.40という数字に変化球や制球の危うさが表れているものの、被本塁打率0.29は球威の証。原田宥希 右右 23歳 香川オリーブガイナーズ力強い直球を持つサイド右腕。左打者には内外角を広く使えて、直球は高めに浮き上がるような独特の軌道で迫ってくる。先発ながら奪三振率8.61、被本塁打率0.16は115イニングで僅か2被本塁打と球威抜群。貴重な速球派サイドスローは投手陣のアクセントになるはず。沼田拓巳 右右 23歳 石川ミリオンスターズ JABAから除名処分を受けた男がドラフト適齢期に。ガッチリした体格から150キロ前後を投げるパワー系右腕。今季は114イニングで防御率4.26、四死球率3.95、被安打率9.32、暴投15と相変わらず荒っぽく、ボールも基本的に荒れ球。しかしながら、右打者に効く横に流れるようなスライダーやタテの変化球でカウントを稼げる面もあり、意外にまとまりがある印象。寺田光輝 右右 25歳 石川ミリオンスターズサイドながら直球は140前半を計測し、120キロ台の鋭いスライダーで打者と勝負。リリーフとして35試合に投げ防御率2.41。奪三振率6.80、四死球率3.95、被安打率8.34とパッとしないが、27日のBCL選抜vs巨人三軍戦では1回2K。スライダーと直球のコンビネーションで評価されるか。渡邉雄大 左左 26歳 新潟アルビレックスBC ベンチ入りすら1試合しか無かった青学大時代から一転、今季新潟では46試合に登板。防御率1.29はリーグトップ。四死球率2.91は少々高めだが奪三振率10.67は立派。左打者にとっては背中からやって来るような球筋でボールがやって来るだけでなく、内角を果敢に攻められるのも強み。さらに直球とスライダーが似たような軌道を描くため、まず左打者は初見では打てない。27日のBCL選抜vs巨人三軍戦では辻東倫を二ゴロ併殺に打ち取った。左サイドという明確な特徴を持っているだけにワンポイントとして即戦力の期待がかかる。内野手纐纈英騎 右左 23歳 新潟アルビレックスBC 選抜チームで4番サードとして出場したリーグを代表するスラッガー。今季は62試合打率.351 (239-84) 9本塁打 55打点 12盗塁三振率.146 (239-35) 四死球率.123 (277-34) という成績。 5月の巨人三軍戦では橋本篤郎から左中間を破る二塁打を、田中大輝(いずれも左腕)から中二塁打を放った。選抜戦でも坂本工宜から右安。三塁守備に関してはライン際の難しい打球を処理したり、遠投でアウトにしたりと特に大きな欠陥は見当たらない。知野直人 右右 18歳 新潟アルビレックスBC 聖光学院高から通信制の高校に移り元々は練習生として入団したが、すっかり三塁・遊撃のレギュラーに。 28試合打率.350 (103-36) 4本塁打 21打点 8盗塁三振率.243 (103-25) 四死球率.108 (129-13) と結果を残し一躍ドラフト戦線に急浮上。三振率の高さや11失策の守備は荒削りなものの、三拍子型の内野手として期待がかかる。選抜戦では3番ショートとして出場。いきなり先頭打者に内野安打を許してしまうものの、それ以外はそつなくこなしていた印象。バットではポテンヒット1本。まずは全体のレベルの底上げに努めてから一軍で勝負。外野手泉祐介 左左 23歳 滋賀ユナイテッドBC 花園大から入団したルーキーながら、71試合打率.316 (294-93) 0本塁打 17打点 27盗塁三振率.065 (294-19) 四死球率.080 (326-26) という成績。 1番センターで出場した5月の巨人三軍戦で橋本篤郎から一安、大竹秀義から左安。打撃と守備の両方に活かせる俊足が最大の武器だが、三振率が低いのもトップバッターとして強み(100打席以上立った野手の中ではリーグ最少)。田中燿飛 右右 21歳 兵庫ブルーサンダーズ BFL三冠王。 29試合 .412 (97-40) 13本 35打点出塁率.550 長打率.948 三振率.093 (97-9) 四死球率.240 (129-31) は圧巻としか言いようがない。芦屋大に在学中だが95年世代なので大学4年生、今年指名対象なはず(情報が少なく指名対象なのかどうかすら分からない)。打撃成績ベスト10の中で本塁打が多い順に並べると13、4、2、1、1なのでその特異さが分かるはず。 7月にはBFL選抜として巨人三軍と対戦し2打席連続ホームラン。映像でしか見たことが無いが、打席でのスイングはまるで大学生とは思えない。逸材。以上、10選手でした。 BFLをはじめ見れなかった選手も多いですが、今年は選手をある程度網羅出来たシーズンだったと思います。ここに挙げた選手は全体のほんの僅かです。来月のドラフト会議で何人の独立リーガーが指名されるか。注目していきたいです。

イタリア野球リーグ再編??

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この夏のヨーロッパ野球取材では、イタリア野球連盟のマルコ・ランディ氏にインタビューをすることができた。そこで耳にしたのは、せっかくできたプロリーグ、イタリアン・ベースボール・リーグ(IBL)の「解体」だった。このリーグは、2010年に従来オープンリーグ(サッカーと同じく上位リーグと下位リーグの入れ替えのあるリーグ)の「セリエ」を再編し、アマチュア(と言っても、有給の選手はいてもよい)リーグはそのまま残し、トップリーグ、「セリエA」のトップチーム8球団で「プロ球団」として入れ替えのないクローズドリーグを発足させたものである。しかし、これをイタリア野球連盟(FIBS)は廃するのだという。それについて、FIBSの広報担当・マルコランディ氏とのやり取りを掲載する。 (マルコ・ランディ氏)――IBLを解体って、どういうことですか。「実は、現在のプロリーグ、IBLのコンセプトじたいは2005年に立ち上がりました。そして、2007年シーズンからは、トップリーグを下部リーグと切り離し、クローズドリーグ(下位リーグとの入れ替えのないリーグ)にして、名称もイタリアン・ベースボール・リーグに改めました。しかし、その試みはうまくいきませんでした。来シーズンからはリーグの名称も変わると思います。これからは、下部リーグとの昇降格のある昔の形に戻すつもりです、トップリーグに属するチーム数も10から12チームに、現在よりも増やすつもりです」――我々の情報ではIBL発足は2010年となっていますが。「いえ、2007年からです」――その理由は何なんでしょうか?「一言でいうと、イタリアでは野球でのビジネスは難しかったということです。スポーツの普及とビジネスとの融合はこの国の野球ではまだ困難だったおいうことです。 IBLを始めるにあたり、アメリカのMLBから資金が入ってくると言う話でしたが、実際はMLBはIBLに投資することはありませんでした。テレビ局との独占契約もかないませんでしたし、スポンサーもなかなか集まりませんでした。プロリーグという試みを行いましたが、2年目の2008年にイタリアを襲った景気悪化は逆風でしたね」――来年からはどのような形態にする予定なのでしょうか?「今までを反省して、まずはいろいろな町のチームを呼び戻します。我々はプロ化を目指すあまり、それぞれの町のチームには、それぞれの歴史や伝統を置き去りにしていました。それを取り戻すのです」 ヨーロッパ初のプロリーグとして発足したIBLだが、その現実は従来のセリエAと大差ないものだった。クローズドリーグとしたほか、各チームには2軍の保有を義務づけられ、選手は原則有給、公式戦にもチケット販売が義務付けられた。試合も土曜1試合、日曜ダブルヘッダーの週3試合制から、試合数は変わらないものの、金曜からの3連戦とプロとして入場料収入を稼げる機会を多く設けるようになった。レギュラーシーズン終了後のプレーオフは、5戦3勝制から7戦4勝制に拡大、平日木曜にも試合を行うなど、興行重視の方向性が読み取れるようになった。 しかし、現実は厳しいものだった。私は2012年にIBLを取材したが、「イタリア野球の都」、ローマ郊外のネットゥーノや、野球が盛んなサンマリノ、リミニという隣町同士のダービー決戦となった決勝シリーズは多くの観客(それでも500~1000人ほど)でにぎわったが、これらの球団に並ぶ強豪、ボローニャでさえ、外国人投手の登板日で、一番集客の見込める金曜のナイトゲームでさえ、せいぜい200人程度の入りで、プレーオフに進出できなかったチームから試合を始めてゆくトーナメント大会、「イタリアンカップ」の試合などは、数十人しかスタンドにいないという状態だった。 チケット販売が義務づけられ、経費の方がかかるからと、IBL参入をしなかった球団もあったようで、この規則はいつの間にかなくなり、今年訪ねたノヴァーラでは、すでにチケットの販売をやめていた。 それでも、ノヴァーラは選手への報酬の支払いだけは、プロ球団としてやっているというが、5年前に取材したときでさえ、実際は何人かの選手はノーギャラでプレーしていた。ギャラをもらっている選手も、その多くは本業を他にもっており、IBLはプロ化したというものの、実際は、セリエA時代とさして変わらない、アメリカの感覚では「セミプロ」(毎日試合のあるアメリカではプロリーグとはシーズン中は野球に専業するものをいう)段階を脱することはなかった。 2軍の保有も、現実は、既存のアマチュアクラブと契約を結び、リザーブの外国人選手や調整中の選手を預かってもらい、ファームリーグであるIBL2を行っていただけで、そのレベルはトップアマとなったセリエAをはるかに下回るものだった。 そういう現実の前にイタリア野球連盟は、原点回帰へ舵を切ったようだ。 かつてのセリエの時代は、日曜のダブルヘッダーでは、第1試合が終わると、ホームチームが、ビジターチームを食事でもてなし、ワイン付きのランチがいつまでも続いていたらしいが、そういう牧歌的な風景が彼らのいう「伝統」なのかもしれない。 さずがに試合間のワインはないが、現在も、このホームチームによる「おもてなし」は続いている。しかし、「プロ化」以降は、かつてのようなのんびりしたものではなくなっているようだ。そういえば、オランダでも、試合後は、スタンド下のバーには、ファンや選手の親族に交じって選手たちが集まっていつまでも歓談に興じていた。その中には、3月のWBCのメンバーも混じっていた。 そういう牧歌性こそがヨーロッパ野球の原点なのかもしれない。
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