韓国ではアジア競技大会開催のためペナントレースが中断されています。熾烈なポストシーズン進出争い真っ只中での中断ということもあり、私はアジア競技大会モードへの切り替えがうまくいっていません。そこで自らの関心を高めるため代表選手に主観でキャッチコピーをつけて遊んでみようと思います。キャッチコピーだけ出してもしょうがないので各選手の短評も載せておきます(以前のエントリーポジション別選出選手雑感(野手編)と一部内容が重複しています)。キャッチコピーは「 」でくくった部分です。選手は代表での背番号順に配列しており、兵役未了選手には「未」と記しています。名前をクリックするとKBO公式サイト(英語版)の個人成績に飛びます。今回は野手編ですが、投手編は現在の所する予定はありません。※キャッチコピーのルール1.他の選手の名前を入れない→例:「韓国のイチロー」は不可2.ネガティブなキャッチコピーは避ける3.大袈裟なキャッチコピーは極力避ける4.どうしても思いつかない選手も無理矢理考える。その場合は後ろに(仮)をつける
3 キム・ミンソン(ネクセン)/未「代表の全天候内野手」
88年生三塁手(二塁手・遊撃手も可)右投右打後述のファン・ジェギュンとのトレードで2010年途中にキム・スファとともにロッテから移籍してきた選手。ファン・ジェギュンの評価が高かったその当時は不釣り合いなトレードと見られ、ネクセンとロッテの間で非公式に金銭が動いた可能性も指摘されている。ロッテ時代から複数のポジションをたらい回しにされてきたが、昨シーズンからは三塁手として定位置を確保。打撃では昨年15本塁打を記録し、打撃にやや難のあるユーティリティ内野手というこれまでのイメージを払拭しつつある。今年は主に6番で出場し昨年と似たような打撃成績を残して活躍しているが、リーグが打高投低であるためそれほど目立つ成績ではなかった。しかしかつて見せたユーティリティ性が評価され代表入りを果たす。現在の本職の三塁以外に二塁を守る可能性もある。キャッチフレーズは代表入りの決め手となったユーティリティ性にちなんでつけてみた。チームでは単なるユーティリティ選手をほぼ卒業したと言って良いので、「代表の」という言葉を加えてみた。
7 キム・サンス(サムソン)/未「脅威の9番打者」
90年生遊撃手(かつて一時期二塁手も兼任)右投右打所属チームの監督でもある・リュ・ジュンイル代表監督の信任厚い遊撃手。今年は盗塁数リーグトップで成功率も高いので、代表では代走要員でもあると考えられる。所属チームでは9番にほぼ固定されているが、勝負強さと意外性から9番打者にしては打点を稼いでいる印象がある。代表のスタメンレベルかと言われると打撃が若干物足りないし、ファンからの受けも良くないが、走攻守にバランスが取れており遊撃手のバックアップとしては優秀な部類ではないだろうか。指の負傷で暫く実戦から遠ざかっているカン・ジョンホのコンディションが万全でない場合、もしくは彼にアクシデントがあった場合はキム・サンスが遊撃の守備に就く可能性が高い。キム・ミンソンも一応遊撃手が可能であるが、守備が重視されるポジションであることを考えると所属球団でレギュラーとして出場する遊撃手がバックアップにいた方が安心だろう。但し二塁手として見ると微妙。やはり投手を1人減らしてでもソ・ゴンチャンかアン・チホンを招集した方がよかったように思う。
13 ファン・ジェギュン(ロッテ)/未「復活した有望株」
87年生三塁手(元遊撃手)右投右打
2010年途中にネクセンからロッテにトレードされた内野手。2009年に18本塁打を放ち打撃力のある内野手として将来を期待されていたが、移籍した年は怪我の影響もあってかキャリア最低の成績に終わる。翌年以降は成績を持ち直すが、トレード当初の期待の高さを考えると長打力に物足りなさがあった。今年は自身初の打率3割達成の可能性が高まっており、アジア競技大会代表選考を前にして成績を伸ばし代表入り。今季所属チームでは6番や7番を務めることが多いが、1番での出場も少しある。リュ・ジュンイル代表監督は1番打者の候補の1人に挙げているが、1番打者の適正があるのかやや疑問。かつてのヒーローズ時代の印象にとらわれすぎているのではないか。今年の成績はあくまでも下位打線でのものであり、求められる役割が異なるトップバッターで同等の力を発揮できるかはわからない。韓国球界の現役サードでは足が速い方なので「俊足サード」のキャッチコピーも考えたが、盗塁成功率があまり高くなく走塁ミスも多い印象なので他のものにした。時折見せる守備でのビックプレーも魅力の選手。
16 カン・ジョンホ(ネクセン)「球界の看板ショート」(仮)
87年生遊撃手(三塁手などかつては内野全ポジションを経験、プロ入り当初は捕手も経験)右投右打強肩強打の遊撃手。所属チームでは今季パク・ピョンホの後ろを打ち8月まででリーグ今季2位の38本塁打を記録、遊撃手としてはシーズン最多記録になる。パク・ピョンホがチャンスで返すことのできなかったランナーをホームに迎え入れていたため、一時期打点リーグトップであった。見るべき点は肩の強さと長打力。今年の成績はリーグの打高投低の影響も相俟って出来すぎの感があるが、去年一昨年と2年連続で20本塁打をクリアしている数少ない打者(他はパク・ピョンホとチェ・ジョン)。ただし例年は調子に波がある選手で、海外移籍まで考えるともう少し確実性が欲しいところ。今年に関しては打率も高く非の付け所がない打撃成績。キャッチコピーは「ネクセンの若き大砲」も考えたが、遊撃手であること、同じチームに典型的スラッガーのパク・ピョンホが所属していることを考慮して、このような安直な名前にしてみた(ちなみに「球界」=韓国球界)。
8月末に負傷した右手親指の回復が遅れているため実戦から暫く遠ざかっていることが不安要素。LGとの練習試合には5番遊撃手で先発出場。
17 オ・ジェウォン(トゥサン)/未「塁間の魔術師」
85年生二塁手・一塁手(一応内野全ポジション可能)右投左打内野の全ポジションを守ることができる(実際はほとんど二塁か一塁)ためユーティリティ枠として選出、かと思いきや、ソ・ゴンチャンやアン・チホンら他球団の二塁手が選出されなかったため二塁手のレギュラー筆頭候補。複数ポジションをこなせて盗塁能力が高いのでベンチに置いておくにはピッタリの人材だが…。キャッチコピーは状況に応じて時々極端な守備シフトを敷くことに由来する。なお成功率は不明。代表内野手唯一の左打者。元々打撃が売りの選手ではないが今年は打率も高い。所属チームでは2番もしくは6番以降の下位打線を担う。代表ではファン・ジェギュントップバッター構想が実現した場合、先発出場の際には9番二塁手が有力か。
20 イ・ジェウォン(SK)「左殺し」
88年生捕手・指名打者右投右打
6月終わりくらいまで打率4割を維持して注目を浴びたSKの捕手。しかし守備能力ではチョン・サンホに劣っており、捕手としては経験不足でイ・マンス監督の信任を得るに至っていない。打撃を活かすため指名打者での出場も多い。対左投手の成績がキャリア通算で良く、今年も対左打率.410を誇るので、キャッチコピーはシンプルにそこからとった。これまで規定打席に届いた年はなく、8月以降急激に調子を落としている点が気がかり。代表捕手の経験が豊富なカン・ミノがここに来て復調気味なので無理して大事な試合のスタメンマスクを任せる必要はなくなった。有力国以外でのスタメンマスクと代打の切り札の役割を期待したい。カン・ミノ以外に他の捕手がいないため、指名打者として出場した場合、もしカン・ミノにアクシデントがあったら指名打者解除の必要がある。
25 ナ・ジワン(KIA)/未「タイガーズ不動の4番」
85年生指名打者・左翼手右投右打開幕4番でプロデビューしながらも2010年に大スランプに陥って前回のアジア競技大会出場を逃した選手。今年もプレッシャーのためか、開幕から5試合(18打数)連続無安打で4月後半まで打率2割ちょっとと低迷していたが、管理人がブログで「もっていない男」と揶揄して以降は一躍奮起し、5月に大爆発。なんとか代表に滑り込んだ。守備・走塁に難があるので活躍の場は打撃に限定される。本人は今シーズンを前に兵役に就くことを考えたが、球団から慰留されて断念しており、右の長距離砲としてチームに不可欠の存在と見なされている。打撃不振のシーズン序盤でもスタメンで出場する試合では4番を任されており、ソン・ドンヨル監督の信任が厚い。チームでは「不動の4番」であるが、せめて守備・走塁時にはきびきびと動いて欲しい。調子のムラが大きい選手なので活用が難しいが、今大会は指名打者の筆頭候補に挙げられている。下位打線での一発に期待したい。
31 ソン・アソプ(ロッテ)/未「サジクの安打製造機」
88年生右翼手右投左打ロッテの3番打者。昨年まで4年連続打率3割を継続中で5年連続達成は確実。キャッチコピーは去年と一昨年にリーグ最多安打だったことから。所属チームのホーム球場名を頭に付けた。今年あまり長いスランプが無く、安定性の高さが長所の中距離打者。昨年のWBC代表であり今年も成績が安定しており兵役未了であったことから、ある意味最もすんなり代表選出された野手。WBCの雪辱に燃える。予選2戦目の台湾戦では同僚のファン・ジェギュンに続く2番打者として出場する可能性も言及されているが、その打順に適正があるのかについては見極めが必要。今回の代表では1、2番を打つのに適した選手が少なく、他の打順から決めていった結果ファン・ジェギュンとソン・アソプが残り、より何でもできるソン・アソプを2番に置いた可能性がある。ただソン・アソプ単体で見た時は2番よりも1番の方がより良いのではないかと個人的に思う。
47 カン・ミノ(ロッテ)「代表常連捕手」(仮)
85年生捕手右投右打オフにロッテと4年総額75億ウォンの大型契約を交わした捕手。球界ナンバーワン捕手の道を歩み続けるものと思われたが…。2013年のスランプを今年も引きずり低打率。元々打撃に優れた選手であっただけに残念な状況。今季は2度も屈辱の2軍落ちを経験したが、9月に入って4本塁打と復調の兆し。確実性は期待できないかもしれないが、長打力はそこそこ期待できるので、ここぞという時にパワーを見せつけて欲しい。かつて代表では経験面を重視したオーダーの時に先発を外されることがあったが、皮肉なことに今大会は経験面が重視されて代表入りした。本来は「打てる捕手」という部分を評価したキャッチコピーを付けたかったのだが、ここ2年の成績ではそれができないので決めるのに最も悩んだ選手。
48 ナ・ソンボム(NC)/未「将来のミスターダイノス」
89年生中堅手左投左打創設3年目のNCの生え抜き選手で今年3番打者として大ブレイク。本塁打リーグ5位タイ。生え抜きの野手の中で最も華のある選手なので、少し早いかもしれないが期待を込め思い切って球団名を冠したキャッチコピーにしてみた。多分他の球団だったら「○○のニューヒーロー」くらいだったと思うが、球団自体が新しいのでこうなった。身体能力が高くチームの1軍参入1年目の昨年から才能の片鱗を見せたがシーズン後半に失速。今年も夏場以降成績を落としているので年間通して戦える体力をつけることが課題か。今大会もシーズンの疲労の影響が懸念される。長打力と走力を兼ね備えた選手で主軸を任される可能性も高いが、大会までに調子を上げてくることができるかが鍵となる。入団直後に投手から野手に転向して強肩を活かした守備を見せるが、経験が浅いため両翼の守備に就かせるには不安がある。所属球団では開幕前に右翼手へのコンバートが図られたが、うまくいかなかった。
49 ミン・ビョンホン(トゥサン)「クマの核弾頭」
87年生右翼手・中堅手(左翼手も可)右投右打主に1番を担い3番打者として出場することもあるトゥサンの外野手。レギュラー定着までに時間がかかったこともあり外野全ポジションをこなすことができるが、今年は右翼手に定着している。警察野球団から復帰後に打撃成績を上げ、去年ブレイク。今年はキャリアハイの成績を残すと考えられ、去年の活躍がまぐれではないことを証明した。バッティングホームの下半身の安定感が昨年よりも増した印象。本塁打11本は全て1番打者で出場した試合で打っているため、このようなキャッチコピーにしてみた。「クマ」は球団名に由来。今年流行の超攻撃的なトップバッター。対左投手の打率が.429であり、「左殺し」イ・ジェウォンよりも高い。管理人一押し選手だがソン・アソプやナ・ソンボムとポジション争いをすることになるため出場機会は限られるかもしれない。代表の中では今季最も1番打者での出場が多い選手なので、代表でも切り込み隊長として活躍して欲しいが…。
50 キム・ヒョンス(トゥサン)「早熟の天才打者」
88年生左翼手(一塁手も一応可)右投左打申告選手出身ながら高卒3年目と4年目に2年連続打率.350超えを果たした選手。2009年をピークに成績は悪化しているが、それでも通算打率は.317と高く、26歳となって迎えた今季は通算1000安打と100本塁打を達成した。かつてほど四球を選べていないのが気がかりであるが、チャムシル球場を本拠地としながらも2009年以降の6年間で5度の二桁本塁打を達成しており、巧打の印象の影で長打力もある。代表でもクリーンナップもしくは6番打者として打撃での活躍が期待される。素直に決めればキャッチコピーは「打つ機械」辺りになるかと思うが、折角なのでちょっと変えてみた。
52 パク・ピョンホ(ネクセン)「モクトンの怪物」
86年生一塁手右投右打シーズン50本塁打の期待が高まるネクセンの4番打者。去年と一昨年に本塁打・打点の二冠を獲得。今年に入ってWikipediaに日本語版記事が作成されたので最早説明不要と思う。今季、本拠地のモクトン球場では打率.377、本塁打35、長打率.913という脅威の成績を誇ることからこのキャッチコピーにしてみた。
9月は8試合で打率.533、本塁打7本と絶好調。試合会場が得意のモクトン球場と本塁打の出やすいムナク球場であることから、韓国打線のキーマンとなる。中心選手に無限の信頼を寄せる傾向にあるリュ・ジュンイル代表監督でなくても4番を外しにくい打者であるので、彼の調子如何で打線の勢いが変わってくるだろう。
WBC、オリンピック、アジア競技大会には出場がないものの、昨年MVPの実績を持ち、今大会の主将に任命された。以上は主観なので、所属チームのファンの方からは「そんなキャッチコピーおかしいだろ」というのがあることと思いますが(わざと通常は言われなさそうなキャッチコピーをチョイスした選手が多いので)、その場合は代替案を出して頂けると幸いです。今代表では野手は30歳未満の選手で構成されており、特に88年生まれや87年生まれの選手が多いことに特徴があります。台湾と日本に敗れ優勝を逃した前々回のドーハ大会については色々言われていますが、台湾戦に関しては兵役特例の対象となる若い選手よりもそれ以外の選手の方が攻撃時にチャンスを潰しており、兵役特例の対象となる若い選手が多かったことが直接の敗因とは言えなかったと思います。当時兵役特例の対象になったカン・ミノやイ・ヨンギュは確かに打撃不振でしたが、ドーハ大会では台湾戦と日本戦には出場していませんでした。日本戦に登板して打ち崩されたリュ・ヒョンジンも高卒ルーキーだったとは言え、大事な試合で起用されて当然の成績だったので、兵役特例関係無く代表に選出されて投げていたでしょう。兵役問題は韓国ではデリケートな問題であるため、何かあるとそこに批難が集中しやすくなっていますが、2010年の広州大会では兵役特例対象者が活躍しており、兵役特例対象者を優先的に選出することは必ずしもマイナスになっているとは言えません。今大会ではソン・アソプやナ・ソンボムなどが兵役特例の対象になりますが、彼ら自身の手で勝利への道を切り開いていってもらいたいと思います(以前も同様のことを書きましたがもう一度強調してみました)。
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