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Channel: 野球:海外/独立リーグ
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今やかの 三つのベースに人満ちて・・・・・・

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4月23日(水)、長岡市悠久山球場。“ルートインBCリーグ”新潟アルビレックスVS石川ミリオンスターズの試合を観戦してきた。初めての、独立リーグプロ野球の観戦である。悠久山球場は、ナイター設備はないものの、かつてはNPBの公式戦にも使用されていた。イチローが、公式戦第一号ホームランを打った(1993年6月12日・近鉄対オリックス8回戦。相手投手は野茂)球場として、球史に名を刻んでいる。両翼98m。雪国のこととて、外野の天然芝の青みはまだまだだったが、やはり人工芝とは違う趣がそこにはある。やや盛りは過ぎたものの、まだまだ多くの花を残す桜の樹々が、ネット裏から外野スタンドの向こうに見えていた。試合は、両チームそれぞれ11安打という乱打戦に、四球・エラーも絡んで点の取り合いの末、新潟アルビレックスが11-10のスコアで勝った。満塁での押し出し四球、ワイルドピッチとパスボール、三度に及ぶ外野フライ落球、ランダウンプレーでの深追い・・・・・・、等々、独立リーグとは言えもう少し締まったゲームになって欲しかったという気持ちも、率直に言ってあった。私の真後ろの席で、審判のジャッジに悪態をついていた二人組のオバチャン(せめて“振り逃げ”ルールくらい把握して置いてもらいたい)に、イラっとしたこともあった。それでもなお、私は大きな満足感を得られた。それは、木田優夫投手(石川ミリオンスターズ)の投げる姿を見ることが出来た事や、新潟アルビレックスのギャオス内藤監督に目の前でボールにサインを書いてもらった事だけが、その理由ではない。私の目の前で、3時間半を超して戦われていたのは、間違いなく“野球”だった。白球の行方に集中した結果の一喜一憂から、グラウンドに向けて放たれる歓声・ため息・ヤジと激励。白球がバットに弾かれる音、グラブ・ミットに飛び込む音。内野手がピンチの若手投手を励ます声。春の陽射しと微風を通して、球音が響いてくる。“今やかの 三つのベースに人満ちて そゞろに胸のうちさわぐかな”正岡子規に、そんな歌を詠ませたのは、きっとこんな春の日の球音だったに違いない。

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