ドイツから超ビッグニュースが届きました。北地区に所属するケルン・カージナルスに、日本人右腕の広高竜世投手(18、沖学園高)が入団することが決まったのです。 福岡市出身の広高は、中学2年の夏に福岡県選抜メンバーとして、現楽天の森雄大投手(19)らとともに欧州遠征を経験。沖学園では2年秋に背番号11をつけベンチ入りするも、今春に右ひじを痛めてしまい最後の夏の大会も欠場。チームも福岡大会4回戦で敗れました。しかし、昨年春にドイツなどの高校生チームが来日して、福岡の高校と親善試合を戦った際、世話役を務めた広高の父照之さんの元に、ケルン関係者から「ドイツでやらせてみないか」と連絡が入り、テストを経て入団が決まったんだとか。 これは、日本の欧州野球ファンにとっては物凄い朗報と言えるんじゃないでしょうか。ブンデスリーガでプレーした日本人選手といえば、過去にも池永大輔内野手や宮城敬吾内野手(ともにマインツ・アスレチックス)がいますが、ここ最近は皆無。外国人選手といえばその大半が北米出身者で、日本人はもとよりアジア人がプレーすること自体がありませんでした(南地区のハイデンハイム・ハイデコッフェには、遊撃レギュラーのジェームズ・カン内野手がいますが、彼はハンティントンビーチ出身の韓国系アメリカ人)。 カージナルスは今季8チーム中6位という成績。ベルリン・スラッガーズが2部落ちし、チーム数が1つ減る来季は7球団中の6番手というさらに厳しい立ち位置に置かれることになります。より上位にステップアップしていくうえで、何より重要なのはやはり投手力。現在のチーム状況を少しでも改善するということに関しては、チーム関係者もかなり危機感を持っていたはずです。 それだけに、球団からの期待度はかなり高いはず。広高自身も、自身の高校野球生活が悔いのある形で終わってしまっただけに、ドイツでのプレーにはかなり意欲を見せているようです。ドイツ語の勉強はこれからで不安はあるとは言うものの、将来は2020年東京五輪のドイツ選手団で、通訳を務めたいという夢も持っているらしく、チームに溶け込めるかということに関してもそこまで不安はないように思われます。 もっとも、選手1人が入っただけで劇的に戦力が改善されるとは限らないのが野球。ブンデスリーガのここ最近の流れを見ても、カージナルスを取り巻く状況は決して楽なものではありません。北地区には今季地区王者のゾーリンゲン・アリゲーターズの他、パダーボーン・アンタッチャブルズとボン・キャピタルズという3強が君臨しています。アンタッチャブルズは今年こそ地区タイトルをアリゲーターズに譲ったとはいえ、昨年まで地区2連覇を達成した強豪。キャピタルズまで含めた3球団にはドイツ代表メンバーも多く、レベルは決して低くはありません。 また、野球先進国日本の出身とはいっても、リーグでの扱いはあくまでも外国人選手。ブンデスリーガでプレーしているアメリカ人やカナダ人は、その大半がマイナー経験者で高校野球より上のプレーレベルを体験してきた面々で、高卒プレーヤーが競争に勝ち残り、入団即主力級として活躍するのは決して楽なことではありません。貴重な外国人枠を割くに値しないと判断されれば、想定よりも早い段階での退団を余儀なくされる可能性も0ではないわけです。 とはいえ、もちろん一日本人としては久々に誕生した日本人ブンデスリーガーの活躍に、期待せずにはいられないのも本音。サッカーのブンデスリーガではここ最近、日本人選手の獲得が大ブームになっていますが、広高の活躍によって野球のブンデスリーガにも日本人ブームがもし起こるようなことがあれば、それは両国球界にとってもポジティブなことだと言えるんじゃないでしょうか。18歳の右肩が背負うものは、本人が思っているよりもずっと大きいかもしれません。ソース:http://pbs.twimg.com/media/Bb7b288CUAAsUdY.jpg
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