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Channel: 野球:海外/独立リーグ
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エルパソの想い出

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(エルパソ・チワワズのチームショップで売られている。ディアブロスのアパレル) ついにエルパソまでやってきた。「ついに」と言っても、この町にはもう何度も来ている。ただ、この町で野球を観るのが「ついに」なのだ。これまでにこの町で野球を観ることを3度試みて失敗している。 この町にはかつて「ディアブロス」という2Aのチームがあった。手元にある古いベースボールカード、それは私が初めてアメリカに言った1991年、サンフランシスコのダウンタウンにあるジャイアンツチームショップで買ったマイナーリーグのカードだったが、そこにはこのチームのユニフォームを着た、のちヤクルトで活躍するジム・テータムの姿があった。 その2年後、再びアメリカに渡ったとき、マイナーリーグのボールバークを網羅したガイドブックを買ったのだが、そこにはエルパソ・ディアブロスの球場がダウンタウンからほど近い動物園の横にあることが記されていた。 そして1995年、この時は2か月半ほど北米の球場をさまよったのだが、メキシコから列車で国境の町、シウダーフアレスに行き、そこからリオグランデを渡ってアメリカに入った。入国審査はアメリカへ行くメキシコ人でごった返し、2時間ほど入国にかかったのを記憶している。 ユースホステルに投宿し、そこでディアブロスのスケジュール表を見つける。それを見ると、ちょうどその日が2Aのオールスターで、ホームゲームのしるしがあった。これは観に行かねばと、宿にいた日本人とともに、人に聞きながらバスに乗って球場にいったが、そこは動物園近くに旧球場で、路肩の車の周りでビールをあおっていたメキシカンに聞くと、どうやら新球場が郊外にできたことがわかった。その酔っぱらったメキシカンが、5ドルずつ出せば連れてってやると」というので、不安ながらその車に乗ったが、高速を10分ほど行った郊外の山の中(本当にそういう印象だ)にある球場は、もぬけの殻。どうやら、スケジュール表のホームゲームのしるしは、ディアブロスが属する地区のどこかの球場でオールスターが行われると言う意味だったようで、そのまますごすごと動物園まで帰ることになった。酔客ドライバーは「帰りも5ドル」と言ってきたが、断るとさすがにそれ以上は要求せず、我々をダウンタウンからずいぶん距離のあるところで降ろした。この日は確か休日で、最終バスは日没直後だったのだが、その終バスも速く仕事を終えたいのか、手を挙げる我々を無視して走り去っていった。ホステルまで4,5キロあっただろうが、夜道を誘った日本人とトボトボ歩いたのだが、誘った手前、非常に気まずかったのを覚えている。ネットのない時代、マイナーリーグ観戦はこういうことはしょっちゅうだった。(新球場のラジュジュアリーボックスの壁面に飾られているコーエンスタジアム時代の絵) 2回目は2006年だったはずだ。2Aのディアブロスはすでにエルパソを去っていた。ダウンタウンからあまりに遠い球場に立地は集客に適さなかったのだろう。車がなければ、帰りはヒッチハイクかタクシーくらいしかダウンタウンへの足がない。代わりに独立リーグのアメリカンアソシエーションの「ディアブロス」だった。この夏は、メキシコのマイナーリーグ、「リガ・ノルテ・デ・ソノラ」のチームがシウダーフアレスにでき、確か同日にメキシコでデーゲーム、アメリカでナイトゲームがあったと記憶している。なので、フアレスのチームとディアブロスの試合を観ようと宿代の安いフアレスに宿をとった。この時も結局は空振りに終わった。 デーゲームのフアレス・インディオスは、実はフアレスのチームはサブフランチャイズを持っていて、運の悪いことにこの日、別の町でホームゲームをしていた。球場でそのことを知り、しかたなくエルパソへ。市バスに乗ること1時間。試合開始2時間前くらいに11年前訪ねたコーエン・スタジアムに到着したが、その直後に強烈なスコール。今回の旅でも経験したが、砂漠のイメージのあるテキサス、ニューメキシコだが、実は夏の間、しばしば強烈な集中豪雨に襲われる。1時間ほどして雨は止んだが、試合は中止のようで、球場には選手はおろか、スタッフさえ来なかった。私は、連絡を受けていなかった、この日のアトラクションのためニューメキシコからやって来た手品師とふたり途方に暮れ、すごすごと市バスに乗ってダウンタウンに帰った。 翌日もひどい大雨で、長距離バスでフアレスの町を出るころには町の道路の半分ほどは冠水していた。この雨が記録的な豪雨であったことは町を出てから、テレビのニュースで知った。この雨のせいで、フアレスのチーム、インディオスは身動きが取れなくなり、このあとのビジターゲーム、私は、ソノラ州のソノイタという町で、またもや待ちぼうけをくらうことになった。 そして、3回目、2013年。さすがに3度目の正直で、コーエン・スタジアムで野球を観ることができると思っていた。が、この時は私の方が大ドジを踏んでしまった、前日、フェニックス郊外のグッドイヤーで独立リーグの試合を取材したのだが、球場にカメラとレンズを置いてきてしまったのだ。夜中にレンタカーをすっ飛ばして球場に戻ったのだが、もちろん、すでに閉まっている。塀を乗り越えて心当たりのある、ネット裏あたりを探したのだが、真っ暗闇の中、やはり見つからない。おまけに球場を出る際、こんな時間に人気のないところに車があるのはおかしいと、パトカーに追われる始末。 球団GMに電話すると、翌朝10時に球場の整備があるので、その時に戻って来いとのことなので、諦めてこの夜は近くのモーテルに宿をとった。このせいで、結局エルパソにはバスの乗り換えで30分しかいることができず、もちろんのこと球場へは行けなかった。 その何度チャレンジしてもかなわなかったエルパソ・コーエン球場での観戦だが、今ではもう叶わない夢となってしまった。近年、ダウンタウンの再活性化のためスタジアムを建設してプロ野球チームを誘致する町が増えているが、エルパソも3Aチームの誘致を決定、ダウンタウンの駅周辺の用地にいわゆるネオクラシックの新球場・サウスウェストユニバーシティ・パークを建設したのだ。

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