タンパまでやってきた。この周辺はフロリダの野球の中心と言っていい。タンパの隣町、セントピーターズバーグにはメジャー球団、レイズがあり、さらに周辺の町にはメジャーのキャンプ地が点在する。昨日訪ねたレイクランドまでも高速を飛ばせば1時間だ。そして、メジャーのキャンプ地では、シングルAとルーキーのリーグ戦が行われる。 Dunedinもそういう町のひとつだ。このつづりで「ダニーデン」と発音する。ここはトロント・ブルージェイズがながらく春の本拠としている。 ちなみに、ほとんど続きの隣町、美しいビーチで名の知れたクリアウォーターはフィリーズのキャンプ地で、ここと同じくシングルAとルーキーのチームが置かれている。 ブルージェイズは球団創設以来、ダニーデンに春の居を構えている。現在キャンプで使っているフロリダオートエクスチェンジスタジアムは、1990年に旧球場を立て直してできたものだ。そのため、その後に流行した「ネオクラシック」的な装飾はなく、かえってそれが野球場らしい。 この日、ダニーデン・ブルージェイズは、隣町のクリアウォーターを本拠とするフィリーズ傘下のスレッシャーズを迎えての一戦だった。クリアウォーターには打撃コーチとして、元日本ハムのロブ・デューシーが在籍している。 試合は、ダニーデン、ブラッド・アレン、クリアウォーター、ウィル・モリスで始まった。 初回、いきなりダニーデンの先頭打者アンソニー・アルフォールドがライトにホームラン。このリーグはA級でも最上級に属するだけあって、バッターのパワーに驚かされる。 2回表のクリアウォーターの反撃でも、6番バッターの打球はライナーでライトフェンスを直撃していた。クリアウォーターはこれを足がかりに7番ザック・グリーンのサードゴロゲッツー崩れの間に同点に追いついた。余談にはなるが、このプレーの際、セカンドが投げた暴投がカメラマン席の私の元に飛んできて驚いた。 すぐに同点に追いつかれたダニーデンだったが、2回裏にすぐに突き放しにかかる。1アウトからの死球とヒットで塁を埋めると、2012年のドラフト1巡目、9番のD.J.デービスがセンター前にはじき返してランナーを迎え入れた。 クリアウォーターのキャッチャーは日系人のチェイス・ヌマタ。確か3年前にアメリカを訪ねたときも、フィリーズ傘下の2Aチームに日系人がいた。別に日系人を戦略的に獲っているわけではないだろうが、何か縁を感じる。彼は3回に回ってきた第2打席、サードフライに倒れたが、この際、バットがまたもやカメラマン席の方に飛んでいった。 クリアウォーターも4回、第1打席でフェンス直撃の打球を放ったマルティンが、今度こそはと、ライトフェンスを越えるソロホームラン。しかし、この後、無得点だったクリアウォーターに対し、4回裏、すぐにマット・ディーンのソロホームランで再び突き放すと、その後着実に得点を重ね、9対2で圧勝した。 全体の印象としては、さすがに両軍、プロ経験を何年か経た選手がほとんどの上、粒ぞろいで見ごたえがあった。翌日は、同じダニーデンでルーキー級の試合があったので再び足を運ぶ。ここのキャンプ地は、ダウンタウン近くにあるメジャーが使用するメイン球場と、マイナーの使う施設、ボビーマティック・トレーニングセンターが離れている。車で10分くらいか。その施設に足を運んだが、なんと試合時間と場所が変更になったという。まあ、入場料を取っていないので、変更があってもファンも文句は言えない(まあ、アメリカではメジャーでも場所はともかく、時間の変更は珍しくないが)。駐車場で声をかけてきたスタッフに告げられ、理由を尋ねたが、わからないと言う。ともかくも、メイン球場でのナイターに変更になったらしい。施設だけでも見せてもらえないかと頼んだが、これも許可されず。 あわてて、他の球場のスケジュールを調べ、車を走らせるはめになった。ブラデントンでのナイターまで時間があるのでクリアウォーターのビーチでしばし休もうと思っていたが、それもできなくなってしまった。 フロリダを巡る野球度は昼も夜も野球観戦ができるが、なかなかハードだ。ちなみに、ダブルヘッダーなんか入ると最大1日4試合という甲子園並みのスケジュールになることもある。また、週末にメジャーがナイターをすれば、10時からルーキー、昼からシングルA,夜はメジャーということもありえ、各レベルを比較できるかもしれない。
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