2016年7月20日に発覚したイ・テヤン(NC投手)の敗退行為(韓国語を直訳すると「勝負操作」)に関して時系列順に整理しておきます。情報は7月22日時点のものであり、後日新たな情報が出てくる可能性がありますが、一旦はこれまでわかっている範囲でまとめます。 ※7月24日追記:ユ・チャンシク(KIA投手)がハンファに所属していた2014年4月1日に敗退行為を行ったこと旨を自供しました(初回四球/報酬500万ウォン)。 また敗退行為が行われた試合に関しても、それぞれの内容を整理し試合のVTR(フル)のリンクを貼り付けています。 イ・テヤンとブローカーとを仲介したとされる現役プロ野球選手(ネクセン外野手/現在は尚武で軍服務中)も取り調べを受けていますが、嫌疑を認めたイ・テヤンとは異なり現時点で否認しているため、仮に「A」としておきます(すでに実名報道あり)。Aはイ・テヤンとはネクセンの同期入団であり、高校時代には年齢別大会の国家代表に選抜されました。イ・テヤンとAの成績はこの記事の末尾にKBOのホームページ掲載のものを転載しておきます。 以下は7月21日にチャンウォン地検が公表した内容を受け韓国メディアが報じた内容に大部分を依拠しています。☆2014年
11月頃Aがブローカーに初めて会い、以後Aとブローカーは親密になる。☆2015年
5月頃Aとブローカー、NCイ・テヤンが集まり敗退行為について謀議。敗退行為はAの側からブローカーに提議した。
5月29日 1度目の敗退行為(成功)。
7月31日 2度目の敗退行為(失敗)。
8月6日 3度目の敗退行為(成功)。
9月15日 4度目の敗退行為(失敗)。 ※敗退行為が行われた以上4試合に関してはこの記事の後半を参照☆2016年
5月チャンウォン地検がプロ野球選手の敗退行為の情報を入手して捜査開始。
6月27日検察が捜査していることを知ったNCイ・テヤンが球団に告白。
6月28日 NCイ・テヤンがチャンウォン地検に出頭して容疑を認め自首。/イ・テヤン1軍登録抹消。
7月20日 NCイ・テヤンの敗退行為が報じられる。/NCがイ・テヤンの失格処分と契約解除の承認をKBOに要請する。/敗退行為にAが仲介者としてかかわっていたことが報じられる(Aの実名での報道もあり)。
7月21日 KBOが国民に対して謝罪文を発表。/韓国プロ野球選手協会が謝罪声明を発表。/チャンウォン地検がNCイ・テヤンを在宅起訴、ブローカーを拘束起訴し、別件で服役中の違法スポーツ賭博運営者も起訴。仲介したA尚武で兵役義務を果たしている途中であるため軍検察に委ねられる。/ネクセンが立場表明。仲介選手が嫌疑を否認しているため、捜査を見守りながらもKBOと協議し最大限の懲戒を下す予定と発表。/KBOがイ・テヤンとA、及びサムソン投手アン・ジマン(イ・テヤンらによる敗退行為とは別件で海外での違法賭博及び国内でのインターネット賭博等の嫌疑により在宅起訴)を参加活動停止処分にする。
7月22日 KBOが再発防止策作成。/KBOが自主申告及び情報提供期間(~8月12日)を設定し、期間中であれば自主申告の場合の制裁軽減、情報提供の場合の報奨金支給が行われること発表。
7月24日 KIA投手ユ・チャンシクがハンファ時代の2014年4月1日に敗退行為を行っていたことを自供(7月24日追記)。○敗退行為の対象となった試合日時:2015年5月29日カード:NC-KIA(クァンジュ)条件:1回に失点結果:死球で出したランナーが犠打で進塁し二塁打で生還、さらにその後牽制悪送球で失点を加え成功。試合:チームは3-13で敗戦。イ・テヤンは初回の2失点を含め4回で計5失点し敗戦投手。その他:賭博に勝った運営者が1億ウォンを稼ぎ、その半分をブローカーに渡す。ブローカーはイ・テヤンに成功報酬2000万ウォン、仲介した選手に高級腕時計等1000万ウォン相当の金品を渡して残りを取り分とする。試合VTR
日時:2015年7月31日カード:ネクセン-NC(マサン)条件:4回で両チーム合計6点以上結果:イ・テヤンは4回終了までに被安打5与四死球4を記録するが相手の拙攻もあり失点は犠飛による1点のみ、NC打線も相手先発キム・テッキョンを打ち崩せず4回終了まで無得点だったため合計1失点で失敗。試合:チームは4-7で敗戦。イ・テヤンは5回3失点で降板し敗戦投手。試合VTR
2015年8月6日カード:ロッテ-NC(マサン)条件:1回に四球結果:1番打者に安打を浴び2番打者にはフルカウントからの6球目が外れ四球を出し成功。試合:チームは8-7で勝利。イ・テヤンは3回2失点で勝ち負けつかず。試合VTR
2015年9月15日カード:kt-NC(マサン)条件:1回に四球結果:1番打者セカンドゴロ、2番打者三球三振、3番打者セカンドゴロで失敗。2番打者がボール球をスイングして三振し2アウトになったためか、3番打者には3球続けて明らかなボール球を投げるが4球目は際どいコースがストライク判定、5球目をバットに当てられる。試合:チームは11-3で勝利。イ・テヤンは8回2失点で勝利投手。その他:失敗により数億ウォンの損失を出したブローカーがイ・テヤンを暴行試合VTR
以上で整理は終わりです。2012年に発覚したパク・ヒョンジュン(当時LG投手)とキム・ソンヒョン(当時ネクセン投手)が関与した2011年の敗退行為とは異なり、選手Aの側からブローカーに敗退行為を提案したという点において悪質と言えます。また2011年には「初回に四球」という比較的単純な条件でしたが、今回はそのような単純な条件の他に「4イニングで両チーム合計6点」(7月31日)というより複雑な条件で敗退行為が行われていたことも事態の深刻さを物語っています。1回目の敗退行為で実行した選手に渡された2000万ウォン(失敗した試合では渡されなかった)という金額も、2011年のものに比べて大きくなっています。一方でチームとしての組織的敗退行為は確認されておらず、イ・テヤンの所属していたNCも検察の捜査に協力的であったことはせめてもの救いと言えます。 これ以上事態が大きくならず終息を迎えて欲しいと思います。参考①:イ・テヤン(NC)成績(年俸推移:11年2000万ウォン→12年2400万ウォン→13年2600万ウォン→14年4400万ウォン→15年3300万ウォン→16年1億ウォン)参考②:選手A成績(2016年は尚武所属のため1軍出場なし)(年俸推移:11年2400万ウォン→12年2400万ウォン→13年3000万ウォン→14年6200万ウォン→15年9000万ウォン→16年入隊)
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