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イタリアリーグの中堅2チームが元メジャーリーガー(マーク・ティーエン、エデュアルド・サンチェス)をそれぞれ獲得

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欧州最強リーグとしてイタリアリーグが存在感を見せている最大の理由は、外国人選手の質と量に優れているところでしょうか。イタリアリーグの移籍市場は今年も活発。そして今オフ象徴的なのはイタリアリーグの中位層が元メジャーリーガーを獲得していることです。このこと自体も特に珍しいというわけでもないのですが、今回は特に印象的なような気がします。昨日発表されたのですが、かつてロイヤルズで3度の二ケタ本塁打を記録したマーク・ティーエン(MLB通算67本塁打、09年WBCカナダ代表)をイタリア球界では新興球団の部類に入るトマシン・パドーバが獲得しました。 2011/06/24 Teahen's three-run shot https://t.co/P8l04tphtJ @YouTubeさんから— イタリア野球情報 (@italybaseball) 2017年1月25日現在のイタリアリーグの3強であるボローニャ、リミニ、サンマリノの3チームより格が落ちるチーム。優勝することなんてのはまず考えられない戦力の中位球団です。そんなチームが数年前はMLBでレギュラー格の選手を獲得するところが、イタリアリーグの面白さの一つ。ティーエンは14年春に引退して約3年ブランクがあるのですが、再び野球への情熱が蘇ってきたのでしょうか。イタリアリーグは中南米出身が大半で、それはメジャーでの実績があるような選手でも変わらない。それだけに、カナダ人選手というか、くくり的には北米の選手がやってくるのは珍しいパターン。実績は抜けているだけに、イタリアの地で打棒を復活させることが出来るか注目です。なぜカナダの独立リーグあたりじゃないのかというのがある意味不思議ですが、ブランクのある選手にも関わらずそこそこのサラリーをパドーバは提示出来たのかもしれません。今オフメジャーリーガーを獲得したイタリアの中位球団のケースはもう一つ。歴史あるイタリアリーグの名門パルマは2011年-13年にメジャー登板のある元カージナルスのベネズエラ人投手、エデュアルド・サンチェスを獲得したようです。パルマは2010年のイタリアリーグの初年度の王者だったり、歴史あるイタリア野球の名門なのですが、財政的な問題もあって近年は低迷。最も底だった時期は脱したのですが、それでも戦力的には中位から下位のチームといったところでしょうか。サンチェスは2011年に22歳でメジャーデビューを飾った元プロスペクト。MLB初年度は16試合・30イニングを投げて防御率1.80。当時は平均で95マイルの速球とスライダー一本でねじ伏せる荒々しいながらも魅力的な剛腕だったようです。ただ、大きな故障でもあったのか2014年にリリースされ、メキシコでちょろっと投げてからは登板がありません。 WLも含めると15-16シーズンに母国のリーグで8試合投げたのが最後です。もともと魅力的なスピードを持った剛腕ですが、今年で28歳とまだまだ若いので復活の余地はありますよね。近年はイタリアリーグでプレーしたベネズエラ人投手が米球界へ復帰し活躍するパターンも出てきています。象徴的なのが昨年ブルワーズで9勝を記録し、今年のWBCのベネズエラ代表候補にも挙がっているジュニア・ゲラ。彼は2014年にイタリアリーグのサンマリノでプレーし、30歳でホワイトソックスとマイナー契約を結んで米球界復帰を果たしました。その流れに続き、昨年12月にはボローニャのリリーフエースだったベネズエラ人投手のラウール・リベロもサンフランシスコ・ジャイアンツと契約。西武が獲得したドミニカ人投手のアレクシス・キャンデラリオも昨年までリミニでプレーしていましたが、一旦今オフにドジャースと契約を結んでいました(その後その契約を破棄して西武入り)。彼らはイタリアでのパフォーマンスというよりは、ウインターリーグでの活躍の評価を受けての米球界復帰という感じですが、パルマ入りを果たしたサンチェスも彼らに続けるポテンシャルを若さはまだまだ持っています。欧州行きは片道切符ではなく、遠くてレベルもはるかに高いメジャーリーグともしっかり繋がっています。ティーエンとサンチェス、この二人がどんな活躍をしてくれるのか非常に楽しみですね。

2017年ラテンアメリカシリーズはニカラグアが優勝

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中南米4か国のウィンターリーグによる「もうひとつのカリビアンシリーズ」、ラテンアメリカンシリーズは今年も開催され、ニカラグアのティグレス・デ・チナンデガ(チナンデガ・タイガース)が優勝を飾った。ニカラグアのチームは2年連続の優勝。 2013年にカリビアンシリーズへの参加をなかなか認めてもらえないコロンビア、ニカラグア、パナマの3か国のウィンターリーグが、独自の大会をと、メキシコのベラクルスウィンターリーグを巻き込んで始めたこの大会も、今年で5年目。参加国の中、パナマのリーグは年々縮小し、この冬は、首都パナシティにアギラス・メトロポリターナス、ナシオナレス・デ・パナマ、パナマ・メトロの3チームが集住し、これにカバジェロス・デ・コクレを加えた4チームが1月中に各チームたった15ゲームを消化するプロリーグというより一種のトーナメント大会というかたちになってしまい、毎年開催されるのか心配するのだが、ある意味、この大会があるため、パナマのプロリーグも継続しているようなものである。開催地は当初、メキシコのハラパが予定されていたが、諸事情のため、開催経験のあるコロンビアのモンテリアに変更になった。今年の大会は、各チーム総当たりの戦の後、上位2チームが決勝を行うというものであったが、予選リーグでメキシコのチレロス・デ・ハラパが全敗、他のチームが2勝1敗で並んだが、得失点差のため、パナマ・メトロが脱落し、コロンビアのレオーネス・デ・モンテリア(モンテリア・ライオンズ)とティグレスの対戦となった。地元の声援を受けたレオーネスだったが、ティグレス投手陣の前に打線が沈黙、4対0でティグレスが2年連続で優勝旗をニカラグアに持ち帰った。これでニカラグアはコロンビアに並ぶ最多の2度目の優勝を飾った。カリビアンシリーズにも優勝チームを送るメキシコを除く、3か国のうち、3月のWBCに出場するのはコロンビアのみであるのにかかわらず、この大会に優勝できないという現実には不安も覚えるかもしれないが、代表クラスの選手は、これらの国のリーグにはほぼ参加していない。このシリーズの究極の目標はカリビアンシリーズとの統合だ。その実現のためにも、WBCではコロンビアの躍進に期待したい。

【明日7日のラジオ】テーマは「日本人女性ファンに聞く、韓国野球の魅力はなんですか?」

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【お知らせ】試合結果や主なブログ内容は2016/6/16からLINE BLOGの「室井昌也(韓国プロ野球の伝え手)オフィシャルブログ」に掲載しています。そちらもどうぞご覧ください。<本文>明日2月7日(火)AM11時05分からの『室井昌也の韓国野球を観に行こう!』(ラジオ日本「Hello!I,Radio(ハロー!アイレディオ)」内)のテーマは「日本人女性ファンに聞く、韓国野球の魅力はなんですか?」です。写真左は千葉ロッテマリーンズのスタジアムアナウンサー・谷保恵美さん日本で「韓国プロ野球が好き!」というと、かなりマニアックな印象を持つかもしれませんが、実は、何らかのきっかけで韓国の野球に触れて、その後、現地で試合を観たり、それから時折、試合結果をチェックしたりという、ライトなファンは数多くいます。それは男性に限ったことではなく、女性も少なくありません。ということで今回は、韓国野球が好きな日本人女性お三方に韓国野球に興味を持ったきっかけや、魅力をうかがいました。そのうちのお一人は千葉ロッテマリーンズに所属するスタジアムアナウンサー・谷保恵美さん(写真左)。谷保さんとは現場取材を通してのご縁ですが、お会いする以前から僕の本を買って下さっていたり、サイトやブログもチェックされているそうです。谷保さんにはインタビューの他、「4番ファースト○○」のアナウンスのご披露もお願いしちゃいました!生放送でお聴きになれない方はradikoのタイムフリーか、木曜日あたりにアップされるポッドキャストでお聴きください。前回1/31放送の「いよいよキャンプイン!韓国のチームもやってくる!」もポッドキャストにアップされています。10分程です。⇒ 1月31日放送分を再生する(←左のリンクをクリックすると音声が出てきます。約10分)キャンプインということで?円陣を組んでみました。これまでのテーマや音声はこちらに一覧を掲載していますので、ご興味あるテーマがあったら嬉しいです。また→iTunesに登録 → RSSフィード登録 もどうぞ。毎週、「この一週間の球界の注目の出来事」、メインテーマ、「球場で使える韓国語講座」を10分間にお伝えしているこのコーナー。ご興味お持ちいただけたら嬉しいです。番組の提供は、アシアナ航空さん、ホームセンターコーナンさん、論創社さんです。★7/5スタート!『室井昌也の韓国野球を観に行こう!』(ラジオ日本毎週火曜日午前11時05分から。「Hello!I,Radio(ハロー!アイレディオ)」内)★新刊著書『野球愛は日韓をつなぐ』現場取材にこだわって韓国紙に書き綴った、11年間、約500本のコラムから97本を厳選!★運営サイト★韓国プロ野球応援サイトストライク・ゾーン★Facebookページ★ストライク・ゾーン★著書★2016年で13年目!『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑2016』★著書★『ラジオのお仕事』2015年10月発売!★著書★『交通情報の女たち』2014年11月発売!★個人サイト★室井昌也★たまに球界情報もつぶやいてます★室井昌也 (muroi_m) on Twitter ★観戦ツアー今年は8/5~★個人旅行では味わえない体験を「韓国プロ野球観戦ツアー」

2017WBCオランダ選手名鑑

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「オランダ王国」は、みなさんがご存知の「オランダ」とは多少差異があります。「オランダ」とは「オランダ王国」の構成国の一つに過ぎません。この中には他に、「キュラソー」や「アルバ」「シントマールテン」といったカリブ海の国も加わります。これら4つの国は互いに対等な立場で「オランダ王国」を構成しています。よって、マスメディア等でしばしば「オランダ領」と称される「キュラソー」や「アルバ」は、正確には「オランダ領」ではございません。 日本球界でもお馴染みのバレンティンが前回のWBCにオランダ代表として出場していたのを見て、不思議に思われたかともいるでしょう。つまりWBCオランダ代表は、「オランダ王国」代表だったのです。  ですので野球オランダ代表には白人も黒人もまぜこぜです(もちろん「オランダ」にも黒人の方はいます)。オランダ人、キュラソー人、アルバ人などなど、様々な地域で育ち、様々な文化を持ち合わせる選手たちが「オランダ王国」という名のもとに団結し情熱をかけてプレーしているのもオランダ野球の魅力の一つです。 また、彼らの中にはオランダ国内リーグホーフトクラッセでセミプロとして活躍する選手。はたまた、アメリカのMLB傘下でプロとして活躍する選手が存在します。こうした異なる舞台、レベルでプレーする選手たちが一堂に会して優勝を目指すのはなんともロマンがありませんか? 昨年、オランダ代表はユニフォームのデザインに微修正を加えました。今まではオランダを意味する「NEDELAND(ネーデルランド)」と胸に表記していました。が、今回の修正で「Kingdom of the Netherlands(オランダ王国)」とし、キュラソーやアルバなども含めた意味にしました。 選手もさることながら、コーチ人の顔ぶれも「地域色」豊かです。監督がMLB日本、韓国でもプレーした「キュラソー」人のヘンスリー・ミューレンス。ヘッドコーチがベルギーからキャリアを求めて「オランダ」に渡ったスティーフ・ヤンセン。打撃コーチが「オランダ」球界のレジェンド、シドニー・デヨング。1塁コーチ、3塁コーチがそれぞれ「キュラソー」のベン・セイセン、「アルバ」のヴィム・マルティナス。「オランダ王国」総出の、コーチング体制が築かれています。もちろんそれは代表候補の選手たちもそのような構成になっているからです。  更には、皆さんご存知のアンドリュー・ジョーンズ(元楽天)がコーチングスタッフに入閣。日本球界の選手たちを熟知しているAJが入ったことで日本戦も厳しい戦いになるのは間違いないでしょう。 それでは、「オランダ王国」のもとに集まった代表選手たちをご紹介します。 侍ジャパンの公式サイトにオランダ野球の紹介記事を書かせていただいております。そちらもぜひ。※選手の写真はオランダのプロカメラマンの方から許可を頂いて使用しています。無断での使用・転載は固くお断りします。※情報の無断での転載、使用は固くお断りします。ご連絡はranyakyukotohajime @ gmail.comまで。(スペース削除) All photos were taken by Henk Seppen. Thank you Henk. 【例】○名前日本語/ローマ字 身長/体重 生年月日 年齢所属チーム 投打 「出身地」【投手】13人〇リック・ファンデンハルク(バンデンハーク)/Rick van den Hurk 198cm/105kg 1985年5月22日31歳 福岡ソフトバンクホークス 右右 「オランダ」 オランダのエース。皆さんご存知の通りNPB福岡ソフトバンクで活躍しているオランダ人助っ人だ。ストレートは常時150キロ超え。変化球はスライダー、ナックルカーブ、チェンジアップ。特にナックルカーブは決め球にも使える伝家の宝刀。1番の武器はストレート。本人も自信を持っているようで、三振をとるのもほとんどストレート。アイントホーフェン出身。16歳でメジャーリーグのフロリダマーリンズと契約。2007年にはメジャーデビューをはたす。しかし、三振を取るだけの球威はあるものの、一発病と制球難に悩み、メジャーには定着できずにいた。転機が訪れたのは2012年、移籍していたパイレーツAAAでのこと。投手コーチとともにオーバースローからスリークウォーター気味にフォームを修正。ストレートの球速が伸びるとともに、決め球のスライダーの曲がりが格段に大きくなった。この年はAAAで13勝を挙げ、リーグMVP。韓国サムスンへ移籍する足掛かりになった。サムスン1年目は右肘の故障に悩まされ7勝に終わるが、韓国シリーズで大活躍。そして、2年目には元横浜などの門倉投手コーチとももに取り組んできたフォーム改造が実を結び、先発の柱として連覇に貢献。個人成績でも最優秀防御率と奪三振王を獲得。 来日後の活躍については御周知のとおり。来日から14連勝の記録を作った。オランダ代表は2009年WBC以来の2大会ぶり。投手陣の中心としてチームを引っ張る。○ロビー・コルデマンス/Rob Cordemans 190cm/93kg 1974年10月31日42歳 L&Dアムステルダムパイレーツ 右右 「オランダ」オランダ球界のレジェンド。WBC3度、オリンピック4度出場と、輝かしい経歴を持つ。球速以上に威力のある真っ直ぐと、伝家の宝刀チェンジアップが特徴。2011ワールドカップではキューバを八回途中まで2安打1失点で勝利投手。チェンジアップは抜いた球と落ちる球の二種類を投げ分ける。日本ファンには鳥谷に先頭打者ホームランを打たれたことで記憶されてるかもしれないが、それ以降は投球スタイルを多少チェンジ。カーブを有効に使うようになった。それが功を奏してか、2015年春の対侍ジャパン戦では先発して2回をきっちりと零封した。ピッチングへの探究心は40歳を超えても大きくなるばかりだ。代表でもチームでも若手へ指導、ノックもこなす。昨年は右肩の疲労からシーズンの終盤まで投球を控え、チームにはコーチとして尽力した。7月のハーレムベースボールウィーク(オランダ主催の国際大会、以下ハーレム)で復帰したが、オランダシリーズでは優勝決定戦で5回3失点。チームを優勝に導くことはできなかった。昨秋の侍ジャパン戦も不参加だったが、状態はどこまで回復しているのか。球種はストレート(130前半)、カーブ、チェンジアップ。○ディエゴマー・マークウェル/Diegomar Markwell 188cm/88kg 1980年8月8日36歳 ロッテルダムネプチューンズ 左左 「キュラソー」オランダの左腕エース。この人も長年代表の主力として活躍している。WBCで韓国戦やキューバ戦の勝利投手だったのも彼。世界一ドミニカ戦でも中盤までしっかりと試合を作った。侍ジャパン首脳陣も彼を一番警戒していたという話もあり、メッツなどの複数のメジャー球団が彼に興味を示した。スリークォーター気味に投げ込み、スローカーブを効果的に使って打たせてとる。ロングリリーフもこなす使い勝手のいい投手だ。昨季のオランダシリーズでは相手エースのコルデマンスと対決し、同じく5回3失点。ベンチでは怒りをあらわにし、グラブを投げつけた。昨秋の侍ジャパン戦では第2戦に先発し3回を1失点にまとめた。今大会では先発もしくは第2先発の役割になるだろうが、フル回転の活躍が求められる。球種はストレート(130中後半)、カーブ、スライダー、チェンジアップ。○マイク・ボルセンブルーク/Mike Bolsenbroek 203cm/95kg 1987年3月11日29歳レーゲンスブルクレギオネーレ 右右 「オランダ」ドイツ代表経験もある異色なオランダ人右腕。18歳でオランダ・ホーフトクラッセでデビューを果たす。ホワイトソックスにドラフト指名されるも断り、ドイツの強豪レギオネーレへ。翌年ドラフト外でフィリーズとの契約を掴む。3年間マイナーでプレーするもリリースされ、次の活躍の舞台として選んだの再びドイツだった。レギオネーレのエースに成長し、2012年のWBC予選ではドイツ代表として出場した。しかし、彼の活躍を嗅ぎつけたオランダ野球連盟は彼にオファーをかけた。2014年のハーレムベースボールウィーク(オランダ主催の国際大会)では初めてオランダ代表入りした。また、その年の欧州野球選手権ではローテを守り、ギリシャ戦で7回ノーヒットノーランの活躍でMVP候補にもなった。昨季は東京六大学選抜相手に7回を4安打6奪三振無失点に抑えており、今大会は第2先発としてロングリリーフを任せられることになるだろう。 侍ジャパン戦の解説をした福岡ソフトバンクの和田毅投手は彼のストレートの球威を評価。ストレートは140キロ中盤を誇り、落ちる球で三振をとる本格右腕だ。○ジェイアー・ジャージェンス/Jair Jurrjens 185cm/90kg 1986年1月29日30歳 フリーエージェント 右右 「キュラソー」アトランタブレーブスでメジャーリーガーとして活躍した投手。今回はバンデンハークと共に先発投手陣の中心。2009年には14勝を挙げ、通算でも53勝。2011年5月には月間MVPを獲得し、オールスターにも選出された。現在のオランダ球界では最も輝かしい経歴を持つ投手だ。2014年ははコロラド・ロッキーズと契約しメジャーにも復帰したが、結果を残せず降格。そのまま解雇になってしまった。2016年は台湾プロ野球の統一に所属し6章7敗。ストレートは140中盤だがチェンジアップなどを低めに制球し、ゴロを打たせていく。高めの釣り玉などを使い三振も取れる。メジャー時代の輝きをオランダ代表で取り戻せるか。 昨年のプレミア12ではキューバ戦に登板したが、チームを勝利に導くことができなかった。大会を途中でリタイアし、不完全燃焼。侍ジャパンとの強化試合では、第1戦に先発し得意のチェンジアップで侍打線を苦しめた。WBCでアピールしMLBに返り咲きたい。○フアン・カルロス・スルバラン/Juan Carlos Sulbaran 188cm/99kg 1989年11月9日26歳 カンザスシティ・ロイヤルズ(AAA) 右右 「キュラソー」何度もオランダ代表に入っているプロスペクト。今年はAAAまで昇格した。2009WBCではアメリカの強打者たちに強気のピッチングを披露していた。だが、その後の代表では2012年のユーロで打ち込まれたりとあまり活躍できていない。特徴はストレート、スライダー、チェンジアップのコンビネーション。ここ2年ほどで磨きがかかってきた。球速は140中盤ほどであるが、それゆえ力で押そうとすると打ち込まれる場面も。 昨年のプレミア12では大事な場面でのロングリリーフが期待されたが、いい働きはできなかった。期待されてきたプロスペクトも既に27歳。美人メキシコ人妻のためにも代表で結果を出してメジャーへの足掛かりにしたい。○シャーロン・マーティス/Shairon Martis 185cm/102kg 1987年3月30日29歳 リンカーン・ソルトドッグス(米独) 右右 「キュラソー」若い頃から長年代表を経験してきた右腕。WBC2回出場、MLBでも26試合登板した。昨年は台湾で28試合8勝7敗の成績を残した。2006WBCでは7回参考記録ながらノーヒットノーランを達成した。2014年には台湾プロ野球で8勝7敗を記録した。落ちるスライダーが武器。調子が悪いと球が真ん中に集まる制球難が欠点。ここ数年は球速が目に見えて落ちており、ヨーロッパ代表の侍ジャパングローバルマッチ第1戦で負ける原因となるピンチを作ったのはこの人。球種はストレート、スライダー、チェンジアップなど。 プレミア12では、以前の球威が戻りロングリリーフで活躍。145キロ前後をマークしていた。ノックアウトされた先発の後を継ぎ、ロングリリーフとして勝利を手繰り寄せる働きを見せた。○ルーク・ファンミル/Loek ven Mil 216cm/120kg 1984年9月15日32歳 ロッテルダム・ネプチューンズ 右右 「オランダ」全世界の野球選手で最高身長の216cm右腕。昨年は楽天で7試合に登板した。角度あるストレートは威力万点で最速は150前半。高速のカッターも投げ込む。ウインイングショットは落差あるスプリットだ。日本では星野監督の指導の下、カーブも覚えた。制球力が課題だ。2015年はホーフトクラッセのネプチューンズに復帰し、守護神を務め防御率は圧巻の0.36。オランダ主催の国際大会にキューバ目当てで訪れていたツインズスカウトの目にとまり、アメリカに復帰したが、再びリリースされオランダに戻ってきた。ここ2年はシーズンオフにオーストラリアウィンターリーグに参加し、守護神として活躍。リーグのオールスターにも選出された。 2016年もネプチューンズの守護神として君臨。17試合8セーブをマークし、2年連続でオランダシリーズの胴上げ投手となった。今大会はドジャースのヤンセンが辞退したため守護神役が期待される。○トム・スタイフベルヘン/Tom Stuijfbergen 190cm/115kg 1988年9月26日28歳 コレンドン・キンハイム 右右 「オランダ」オランダの次期エース候補。18歳でミネソタツインズと契約し、オランダ代表でも20歳の頃からプレーした。兄も元オランダ代表の投手。2011ワールドカップでは最優秀防御率に輝き、大会を通じて無失点だった。2013年後半にトミージョーン手術を受け、1年間はリハビリに費やした。2014年夏、ホーフトクラッセのプレーオフで復帰すると、9月の欧州野球選手権では、決勝のイタリア戦で1アウト満塁の場面をリリーフし2者連続三振。オランダの優勝に大きく貢献した。ストレートは重さがあり、WBCではドミニカ共和国のオルティスからも三振を取った。侍ジャパンとのグローバルマッチ第2戦ではフォーシームとツーシームのコンビネーションのみで、嶋と山田哲人を2者三振にとり、最後を締めた。落差の大きいスライダーをウイニングショットにもできる。幾度となく軽度の故障を繰り返す。今シーズンも何度も怪我で離脱しシーズン通しての活躍はできなかったが、ハーレムでは先発陣の中心として活躍。決勝の日本戦でも5回を無失点。体重を落として怪我を少なくすれば、正真正銘代表の中心投手になれるはずだ。球種はフォーシーム(最速150弱)、ツーシーム、スライダー、チェンジアップ。○オーランド・インテマOrlando Yntema 190cm/81kg 1986年2月21日30歳 ロッテルダムネプチューンズ 右右 「ドミニカ共和国」オランダ人の父を持つドミニカ出身の右腕。2重国籍。2010年のインターコンチネンタルカップから代表入りした。2015年はホーフトクラッセで最優秀防御率を受賞、チームの優勝に大きく貢献した。先発も中継ぎもできるパワーピッチャー。重いストレート、落ちるスライダーが特徴。このスライダーの出来次第でこの投手の調子が左右されると言っても過言ではない。2011ワールドカップではスライダーが低めにことごとく決まり、キューバ戦で勝利投手になった。2016年シーズンでははノーヒットノーランを達成した。ストレートは140前後。課題はフィールディング。2015年のプレミア12のアメリカ戦で中継ぎ登板すると投ゴロ処理で2度暴投し、敗戦の原因になった。○ジム・プルーヘル/Jim Ploeger 190cm/102kg 1991年6月21日25歳 HCAW 左左 「オランダ」 リリーファー 左腕不足に悩まされるオランダで台頭してきた若手左腕。2009年にはオランダ野球ソフト協会の最優秀若手投手賞を受賞し、同年には早くもワールドポートトーナメントにて代表入りしていた。その後は一度も選出されず、その間2011~2014年はアメリカの大学でプレー。2015年にホーフトクラッセに復帰すると、Bクラスのチームで一際目立った活躍をして、再びワールドポートトーナメントで代表へ復帰した。長年のオランダ代表の課題である左腕投手の不足に彼が穴を埋めることができるのか。何より目立つのが奪三振数。 今季は代表で初の先発を経験。ハーレムとユーロで2度先発し、しっかりと勝ち投手になった。マークウェルの後釜として成長中の投手だ。〇ラルス・ハイヤー/Lars Huijer 1993年9月22日23歳 パイオニアーズ 右右 先発 2014まで4年間アメリカマイナーの有望株として活躍していた若手右腕。2015年、スプリングトレーニングの時点で自らのキャリアを見直しオランダに帰国。2015年冬には台湾のアジアウィンターリーグにヨーロッパ代表として参加し、チームのエースとして活躍。NPB、KBO、CPBL等のアジアのプロ選手の2軍相手に好投を見せ、飛躍へのきっかけをつかんだ。今季は最多勝、最多奪三振を獲得し代表にも初選出。ハーレム、ユーロの両大会で先発として奮闘。ユーロ決勝では病み上がりのベテランコルデマンスの後を継ぎロングリリーフ。チームのサヨナラ勝利へ結びつけた。 持ち球はスライダー、チェンジアップ。高速チェンジアップ気味の落ちる球は効果的。ファストボールは140キロ前後。〇トム・デブロック/Tom De Blok 1996年3月8日20歳 アムステルダム 右右 リリーフ  17歳でシアトルマリナーズと契約した超有望株。しかし、1年目のスプリングトレーニングで数週間を過ごした後、契約を解除し帰国。本人曰く、アメリカでは野球が仕事でしかなく、オランダのように楽しく野球がプレーできなかった。 帰国後は1年目からホーフトクラッセ1軍デビューし、下位のHCAWに所属しながらも上位チームの強打者相手に球威ある真っすぐを投げ込み、三振を奪っていた。2014年にはU23ワールドカップで代表に初選出。世界の舞台を経験する。昨年からはオランダリーキーリーグ時代に所属したアムステルダムパイレーツに復帰し、リリーフエースとして活躍すると、2016年は守護神に定着。クラブ対抗のヨーロピアンチャンピオンズカップでは、胴上げ投手になった。 持ち味は何といっても93、94マイルを計測する真っすぐ。変化球としては大きなスライダーがある。シーズン最後は、オランダシリーズで相手に勝ち越し点を許し、優勝を逃した。昨年の侍ジャパン戦での投球に目を付けた楽天が彼をトライアウトし合格をもらったが、本人の意思でオランダに残ろことを決意した。今回さらなる快投を見せれば、NPBやMLBからオファーが来る可能性もある。ファンミルらとともに勝ちパターンのリリーフとして期待がかかる。【指名投手枠】○ケフィン・ヘイステック/Kevin Heijstek 193cm/97kg 1988年4月19日28歳 L&Dアムステルダムパイレーツ 右右 「オランダ」オランダの次世代エース。2013年はホーフトクラッセで最優秀防御率、2015年は最多勝を獲得。2014ユーロではエース的な役回りでチームの優勝に貢献した。伝家の宝刀は落差の大きいカーブ。2013WBCでは日本戦で失点は許したものの、変化球などで日本の打者を翻弄した。ストレートは140前後だが、キューバ人で2014MLB新人王のアブレイユやロッテのデスパイネを空振り三振にとったこともある。是非とも日本で見てみたい投手の1人。 2016年は開幕からコルデマンスが不在の中、一人でチームを引っ張り、クラブ対抗のヨーロピアンカップでは決勝に登板し、西武に入団したキャンデラリオに投げ勝った。ただその試合の守備中に脚を故障し、残りのシーズン全休を強いられた。WBCへ向けてリハビリに励み指名枠に入り込み、代替選手の一番手に上がるだろう。球種はストレート、スライダー、カーブ、チェンジアップ。○ベリー・ファンドリール/Berry van Driel 193cm/90kg 1984年12月26日32歳ロッテルダム・ネプチューンズ 右右 「オランダ」 リリーファー「オランダ」のリリーフエース。2014年オランダシリーズのMVPにもなった。最速140キロ代後半を誇るまっすぐはキューバの強打者も振り遅れてしまう。近年は成績が落ち着いてきてはいたものの、2014年後半に始めて先発を経験し、先発に適用。アムステルダムとのオランダシリーズでは王手をかけられた2試合に先発し、どちらの試合でも勝ち投手になった。カウントを稼ぐスライダーとともに、決め球には落差あるスプリットも使う。今季は怪我の影響もあり、少し不調だった。 プレミア12でもリリーフとして活躍。味方守備に足を引っ張られ、決勝トーナメント敗北に繋がる失点を許したが、国内経験のみでも世界に通用することを示した。〇ケヴィン・ケリー/Kevin Kelly  ネプチューンズ 右右 リリーフ オランダの強豪ネプチューンズのリリーフエース。キュラソー出身で2013年までアメリカの大学で勉学にいそしみながら野球をプレーしていた。その間に、オランダ開催のワールドポートトーナメントにキュラソー代表でした経験も持つ。 その後、大学卒業を機にオランダホーフトクラッセのネプチューンズへ入団。入団当初から、リリーフとして活躍。オランダ入り後1年目で代表に選ばれた。国内組だけでの編成の代表ではしばしば招集されていたが、米マイナー組も含めた代表では昨年の侍ジャパン戦で初招集され、鈴木誠也に満塁弾を浴びた。 ファストボールは90マイルを超える球威が魅力。○ヴェンデル・フローラナス/Wendell Floranus 180cm/72kg 1995年4月16日20歳 ボルティモア・オリオールズ(Rk) 右右 「キュラソー」リリーファー Rkでプレーしていた若手リリーファー。ところが今季終了と共に解雇された。今シーズンは4年間プレーしたうちでも最高に近い成績を残しただけに残念だ。再就職のためにも将来性をかっての招集か。2014ユーロ、プレミア12に続いての代表入り。90マイル以上を計測するスピードが持ち味だが、どんな変化球があるのか、詳細は不明だ。 大谷翔平に屋根に突き刺さる大飛球を打たれた投手。【捕手】2人○ショーン・サラガ/Shawn Zarraga 182cm/111kg 1989年1月21日27歳 ロサンゼルス・ドジャース(AAA) 右両 「アルバ」現在のオランダ球界ではナンバーワン捕手。2010年のIBAFインターコンチネンタルカップでオランダ代表に初選出。その後は2011ワールドカップ、2014ユーロ選手権で代表に選ばれている。2010、2011の代表の際は、当時の正捕手で現打撃コーチのシドニー・デヨングに才能を見込まれ、打撃からキャッチングに至るまでみっちり指導を受けた。プロ入り前には全世界の若武者がホームラン競争を行うパワーショーケースで長打力を見せつけた。近年はその長打力は少し影を潜めているが、両打席からシュアな打撃でコンスタントにヒットを放つ。2014ユーロではしっかりと投手陣をリード。 プレミア12では代表で初本塁打。手首を痛めながらも強行出場し、正捕手として背中でチームを引っ張った。今季はアメリカでも初めてメジャーのベンチに入り、出場はなかったが夢の舞台へ一歩近づいた。○ダシェンコ・リカルド/Dashenko Ricardo 182cm/93kg 1990年3月1日26歳 コレンドン・キンハイム 右右 「キュラソー」守備型キャッチャーで、2013WBCでの正捕手。WBCでは的確なリードでチームをベスト4に導いた。オリオールズやジャイアンツでプレーしたが、課題の打撃がふるわず解雇になり2014年からホーフトクラッセへ。2014年はホーフトクラッセでも打率は上がらず.266だった。が、2015年は一転。打撃が開花し、リーグ2位の打率を残した。痛めていた肘も少しずつ回復に向かっているようで、盗塁阻止率は.390。サラガのバックアップとして、守備固の起用が予想されるが、近年の打力向上によりスタメンも十分考えられる。 今季途中に突如引退を表明。キュラソーに帰ると表明したが、結局オランダに残り最後までプレーした。来季からは米独立リーグでプレーする予定だ。【内野】8人○クルト・スミス/Curt Smith 177cm/95kg 1986年9月9日30歳リンコルン・ソルトドッグス(米独) 右右 「キュラソー」 ファースト広角に打ち分ける中距離ヒッターであり、代表のオランダ代表の主軸。2011年ワールドカップでは3本塁打で、打点王とMVPを獲得。リーチが長くボールを拾って本塁打にするパワーを持ち、大事な場面で打点を稼ぐ勝負強さが特徴である。2013WBCでも5番、6番に座りクリーンナップが残したランナーをしっかりとホームへ帰していた。2015年の侍ジャパンとのグローバルマッチでも来日し、藤波ら日本の投手から初戦は3安打の固め打ち。彼のコンパクトで無駄のないスイングは秋山幸二や中畑清をも唸らせた。 2016ユーロでも主軸として活躍し、打率.364と打ちまくったが、2016年秋の強化試合は毎年恒例のニカラグアウィンターリーグに出場するため欠場した。 今大会では6、7番として残ったランナーを返す役割が期待される。○ユレンデル・デカスター/Yurendell de Caster 182cm/97kg 1979年9月26日37歳 カンペチャ・パイレーツ(メキシコ) 右右 「キュラソー」 サード、セカンド、ファースト、外野まだまだ元気なベテラン選手。2009WBCではサードで美技を連発し、日本のファンをも驚かせた。ダイナミックな守備と鉄砲肩が武器だが、年を重ねた現在は外野も器用にこなす。バッティングでもパンチ力を秘めており、2009WBCではクリーンナップを打ち、ドミニカ共和国戦でサヨナラ打を放ったのもこの人だ。2014年のニカラグアウィンターリーグでは打点王を獲得し、老け込む様子は見られない。侍ジャパンとのグローバルマッチで、彼が松葉投手から放った3点本塁打を覚えている方も多いはずだ。使い勝手のいい万能選手である。侍ジャパン戦では3番として大爆発。日本の解説人をうならせた。今大会は代打の切り札として期待したい。まだまだ衰えを見せていない。○シャーロン・スホープ/Sharlon Schoop 188cm/86kg 1987年4月15日28歳 ボルティモア・オリオールズ(AAA) 右右 「キュラソー」 ショート、サードメジャーリーガーであるヨナサン・スホープの兄。2009WBCから代表入りし、2011ワールドカップでは弟と並んで6番、7番に座り優勝に貢献した。その大会の準決勝韓国戦では逆方向に3点本塁打を放ったような長打力もある。2014年のユーロでも代表入りし、ショートを務め、守備面でも高い能力を見せた。クリーンアップが残したランナーを返す、勝負強い打撃に期待したい。 弟がメジャーで活躍する中、兄はAAA、AAでプレー。弟の背中を追うためにも、代表で結果を残したい。〇ジュリクソン・プロファー/Jurickson Profar 1993年2月20日24歳テキサス・レンジャーズ 右両 「キュラソー」 トッププロスペクトとして名をはせるメジャーリーガー。アンドリュー・ジョーンズに憧れて野球を始め、2004年にはリトルリーグ・ワールドシリーズでエースとして活躍しチームを躍進させ、準優勝に輝いた。帰島すると島はお祭り騒ぎだったとか。 内野手としてテキサスレンジャーズと契約すると、メジャーの有望株として名をあげられるようになった。2013年のWRBCでは球団の許可が下りなかったのか、最初から出場することはできなかったが、けが人の代替として準決勝にのみ出場した。 オランダのメジャー有望株の内野手たちが次々と活躍していく中、ここ数年は伸び悩んでいる。2016年秋の強化試合では一人メジャーリーガーとして参加し、美技や確実性の高い打撃で格の違いを見せつけた。今大会でもチームを引っ張て行く存在だ。〇ディディ・グレゴリウス/Didi Gregorius 185cm/84kg 1990年2月18日26歳 ニューヨーク・ヤンキース 右左 「キュラソー/オランダ」 ヤンキースのレジャンドジーターの後継者。高い身体能力を生かしたショートでの守備とパンチ力を秘めた打撃が売りの選手だ。 2011年IBAFワールドカップでオランダが優勝した時以来の代表入り。当時は、2番ショートとして美技を披露しチームの優勝に大きく貢献した。その前の2010年のインターコンチネンタルカップではサヨナラ3ランホームランを放っており、代表のユニフォームは相性がいい。 メジャーリーグでのキャリアはシンシナティレッズで始まり、ダイヤモンドバックスで2年間ショートのレギュラーとして奮闘した。その後チームのキャプテンであり正ショートのジーターが引退したヤンキースに後継者と目されてトレード移籍。移籍1年目は安定した守備でレギュラーを勝ち取ると、2年目の昨季は打撃力が向上し20本塁打を記録した。 6年ぶりの代表入りで打棒、守備双方に期待したい。〇アンドレルトン・シモンズ/Andrelton Simmons 188cm/77kg 1989年9月4日 27歳ロサンゼルスエンジェルス 右右 「キュラソー」世界ナンバーワンショート。ゴールデングラブ賞をはじめとしたメジャーの守備関連の賞の常連だ。投手として160近いボールを投げていた強肩をいかしたダイナミックなプレーが自慢だ。 ドラフト時、各球団が投手として彼を指名する中、唯一内野手として指名したのがブレーブス。3年目にメジャー昇格を果たすと、月間優秀新人賞を獲得するとその勢いのままレギュラーを獲得した。2013年にはオランダ代表に初招集。1番ショートとして全試合に出場すると、キューバ戦では値千金の同店2ランホームランを放つなど大活躍。その試合にサヨナラ勝利したオランダはベスト4入りを果たした。 その後はメジャーの舞台でナンバーワンショートの称号をほしいままにする活躍で日本のファンにも知られる存在になった。相手ファンもあんぐり、うっとりするような美技を今回も披露してくれるだろう。〇ヨナサン・スホープ/ Jonathan Schoop 185cm/88kg 1991年10月16日25歳ボルティモアオリオールズ 右右 「キュラソー」パンチ力を秘めた大型セカンド。メジャーの舞台で3年連続2桁本塁打、昨年は162試合に出場し25本のホームランを放っているスラッガーだ。ヤンキースの田中将大からも一発放っている。代表入りは3度目。1度目は2011年のワールドカップ。サードのレギュラーフィンス・ローイが負傷したため、急遽レギュラーに抜擢された。安定した活躍はできなかったが、決勝のキューバ戦で値千金のセンター前タイムリーを放ち優勝に大きく貢献。兄シャーロンと6,7番で並んで打線をはった。 2度目は2013年WBC。一回り成長したヨナサンは2番セカンドのレギュラーとして2本のホームランを放った。この大会の活躍がその後のメジャーでの活躍の足掛かりになったのは間違いない。また更に一回り成長したヨナサンが前回を上回る活躍で、また更にメジャーでステップアップするための大会にしたい。〇サンダー・ボガーツ(ボーハールツ)/Xander Bogaerts 191cm/84kg 1992年10月1日24歳ボストン・レッドソックス 右右 「アルバ」シルバースラッガー賞を受賞したこともあるボストンの強打のショート。昨年はシーズン途中までイチローのシーズン安打記録を抜く勢いで安打を量産していた(後半は失速)。2015年には.320で、初の三割超え。昨季は本塁打も増加し21本。 オランダ代表は前回大会来2度目で、本職はショートだが、シモンズがいるためサードで起用された。今回も同様の起用が予想される。2013年WBCでは、まだ打撃が粗削りで結果を残すことができなかったが、ここ3年のメジャーでの実績経験で今大会では3番などの中軸に入ることが目される。 豪華な内野手陣だが、その中でも最も打撃力があるのは彼。バレンティンと共に打撃でチームをけん引してもらいたい。【外野】5人〇ウラディミール・バレンティン/Wladimir Balentien188cm/100kg1984年7月2日32歳東京ヤクルトスワローズ 右右 「キュラソー」日本シーズン最多本塁打記録保持者。いわずと知れたヤクルトの最強助っ人だ。前回大会ではWBCに合わせて早めに調整したためシーズンに入っても体調が万全で後半にバテず、夏場に本塁打を連発日本球界最高の60本を記録した。大会では4番としてチームをひっぱったが、本塁打は0。チームはベスト4に躍進するも、自身が本塁打を打てなかったことに悔しい思いをしたはずだ。本塁打を打つことで、チームを優勝へ導くべく雪辱に燃えている。 今回はメジャーでプレーする強度の後輩たちが代表するが、打線の軸はやはりこの人。4番は彼が打つことになると予想する。彼が4番にどっしり座ることで、メジャー組の後輩たちものびのびとプレーしてくれることだろう。○カリアン・サムス/Kalian Sams 188cm/112kg 1986年8月25日30歳 ケベック・キャピタルズ(加独) 右右 「オランダ」オランダ行政の中心デンハーグ出身のスラッガー。ワールドカップのキューバ戦でのホームラン、ユーロでのサイクルヒットなど印象に残るパフォーマンスをする男だ。シアトルマリナーズやサンディエゴパドレス、テキサス・レンジャーズ傘下などでプレーしたが、近年は北米独立リーグにてプレーする。オランダシリーズ限定でオランダ国内クラブに所属しプレーすることもある。欧州野球選手権などでは格下のチームから容赦なく本塁打を連発する。ツボにはまった時のパンチ力は素晴らしく、もの凄い飛距離を出す。足も速いが、守備では後方の打球に対するアプローチに難がある。今回も主砲として期待したい。 プレミア12でも活躍したが、やはりアメリカ、カナダのレベルの高い投手陣には苦しんだ。昨年の侍ジャパン戦では阪神タイガースの藤浪晋太郎から強烈な本塁打を放った。○ランドルフ・オデュベル/Randolph Oduber 191cm/86kg 1989年3月18日27歳左右オリオールズ 「アルバ」左右右打席から内野安打を生み出すほどの快速。その足を生かした守備範囲の広さも魅力だ。2013WBC戦士であり、怪我人の影響でスタメンにも周り、キューバ戦では彼の足を活かした機動力でキューバの守備をかき乱した。昨年のユーロの際には一回り身体が大きくなっており、長打力が増し、イタリアとの決勝でも効果的な本塁打を放った。彼の機動力はチームの大きな武器になっており、チャンスメイクの役割が期待される。 2016年にはナショナルズからリリースされ、シーズン途中からオランダでプレー。怪我がちで、出たり出なかったりだったが、オランダシリーズでは存在感を示した。2017年からは米独立でプレーする。〇クリス・ガリア/Chris Garia 182cm/74kg 1992年12月16日23歳 テキサス・レンジャーズ(AAA、AA、A) 右両 「キュラソー」  2015年一気にAAAまで駆け上がったプロスペクト。27盗塁を記録した瞬足もさることながら、打撃面でも8本塁打をマーク。しかも、両打席からとも本塁打を放っており、貴重なスイッチヒッターとなりそうだ。外野守備も無難にこなせるようで、似たタイプの選手であるオデュベルと共に、相手投手を足で揺さぶる役割が期待される。プレミア12では怪我でまともにプレーできなかった。 2016年突如リリースされ、オランダパイオニアーズに加入した。ハーレム、ユーロでも代表に入り、リードオフマンとして活躍した。 侍ジャパン戦では1番バッターとしてチャンスメイク。オデュベルと熾烈なレギュラー争いを繰り広げる。○ドゥエイン・ケンプ/Dwayne Kemp 172cm/72kg 1988年2月24日27歳 ロッテルダム・ネプチューンズ 右右 「オランダ」 セカンド、ショート、サード、外野 19歳からオランダホーフトクラッセで活躍する、オランダ国内の人気選手。尊敬する選手はロビンソン・カノー。20~21歳の2年間はカブス参加のRk、Aでプレーし、経験を積んだ。普段はセカンド、ショートで軽快なフィールディングを見せる。 2011ワールドカップではレフトも担い器用なところを見せたが、見てる方は冷や汗をかいてしまうようなぎこちない身のこなしだった。小柄ながらパンチ力も秘めており、セーフティバントなどで相手を揺さぶることも可能だ。 2016年シーズンは3割を下回り、不甲斐ないシーズンになったが、最後のオランダシリーズで活躍しMVPを獲得。汚名返上に成功した。 今大会では、外野の守備固めのほか、代走などのスーパーサブとしての活躍が期待される。【代表合宿参加選手】〇ニック・ウルバナス/Nick Urbanus 1992年3月29日24歳 アムステルダム 右左 セカンド オランダの野球一家の御曹司。彼の祖父がオランダで野球の普及活動をしたため、その当時を知る世代の大半が「ウルバナス」家の存在を知っている。父親も野球選手で、元オランダ代表のエース投手だ。国際大会で大活躍し、野球界のレジェンドだ。現在はニックが所属するアムステルダムで監督を務め、2016のベストコーチ賞を獲得した。 ニック自身はアムステルダムでホーフトクラッセデビューしたのち、テキサスレンジャーズと契約し、アメリカへ渡った。4年間戦ったが、2015年春にリリースされた。本人としては、オランダでプレーするとウルバナス家の息子として期待をかけられるが、アメリカではのびのびできるためアメリカの球団との再契約を望んでいたようだ。だが、検討むなしくオファーがなかった。 オランダ復帰後1年目の2015年は3割をクリアできず、中途半端な成績に終わったが、今季は打線の核としてチームをヨーロッパ制覇へ導いた。パワーが向上し4本塁打をマークした。代表には2012、2014のユーロで選出され、それぞれの大会で活躍をしていた。今季もハーレム、ユーロで活躍。ユーロ決勝では貴重なタイムリーを放った。向上中の打撃とともに、自慢の好守で代表のレギュラーを掴みたい。〇ステイン・ファンデルミール/Stijn van der Meer 1993年5月1日23歳 ヒューストン・アストロズ(Rk) 右左 ショート、サード オランダ人で史上初、MLBドラフトで34位指名されたオランダの至宝候補。アストロズのルーキーリーグでプレーしている。 2011年のU18ヨーロッパ選手権で首位打者を獲得すると、翌年19歳でホーフトクラッセデビュー。ルーキーイヤーからレギュラーを掴み打率は.330。大学に進学すると、大学野球のシーズン中はアメリカ、オフはオランダでプレーするようになった。アメリカではラマー大学の中心選手として活躍。最後のシーズンは3番ショートとして野球盤フライングダッチマンと称された。オランダでは強豪ネプチューンズに移籍し、ヨーロピアンカップなどの国際大会でMVPを獲得した。 今季は大学最終年だったが、秋のドラフトでアストロズに指名され、すでにプレーしている。9月のユーロではMVPを獲得し、今のオランダで最も注目されている男といっても過言ではない。 長身スリムな藤波体形で、華麗な守備と柔らかいバッティングを披露する。まだまだ、体ができておらず、肉体加増次第では大化けする可能性もある。オランダ本土出身選手として久々のメジャーリーガーになれるか。

東アジアカップの今年の開催が中止に 

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今年開催予定だった東アジアカップがどうやら休止になったようです。そもそも「東アジアカップ」とはなんぞや?という方に説明しますね。アジアの国際大会もちょっとややこしいので。まずアジアの国別の国際大会として「アジア選手権」という大会が2年おきにあります。文字通り、アジアナンバーワンの国を決める大会です。ただ、オリンピックのアジア予選を兼ねる大会のときを除いて、日韓台はプロのトップチームを派遣していないので、知名度は「アジアナンバーワンを決める大会」にしてはいまいちかもしれませんが・・。で、このアジア選手権の下部大会にあたるのが「アジアカップ」という大会。アジア選手権にシードされている日本、韓国、台湾、中国以外のアジアの第二グループの国々が出場する大会になります。このアジアカップは広大なアジアをカバーするために数大会前から「西アジアカップ」と「東アジアカップ」に分かれて開催。西アジアカップはよくも悪くもその地域の野球の主導権を握っているパキスタンが毎度開催国になるのですが、東アジアカップの方はいつも開催国に名乗り出る国がなかなか出てこず、開催国の選定が難航しています。国際大会は開催国にたどり着くための費用は自己負担し、ホスト国に入ってからの滞在にかかる費用はホスト国が全て負担するのが通例。数千万とかかかるらしい。なかなか、大口のスポンサーがない限り野球後進地域兼スポーツ後進地域でもある東南アジアではハードルが高いのです。以前は東南アジアで国際大会が行われるときは決まってタイだったのですが、これはミネベア社という日系企業が事実上タイのスポンサーになってたのが大きかった。そのミネベアの支援もなくなってしまったらしく、その結果東アジアのブロックで国際大会を開くのが難航しているといった状態です。アジア野球連盟は、アジアカップの開催国に名乗り出れば、アジアカップの成績に関係なく「アジア選手権出場枠」を与えるというニンジンをぶらせげてみたりもしたのですが、効果はなかったようで。。アジアカップはアジア選手権(今年9月に台湾で開催予定)の予選を兼ねており、今大会は東西それぞれに2ずつ出場枠が与えられています。西アジアカップは今月末に6カ国で開催されるようなのですが、東は今年は開催されないということなのでIBAFのランキングに従って香港とフィリピンが選出されるという話を聞いています。アジアの第二グループの野球情報に日常的に触れているものからすれば、特に珍しい話でもなく、このようなことは日常茶飯事です。ただ、アジア野球の一つの現状が改めて浮き彫りになったニュースのように感じました。ちなみに先日行われたBFA(アジア野球連盟)のミーティングの内容がホームページに記載されているのですが、一応東アジアカップは完全にはなくなったというのではなく、2018年に開催されるようです。アジア選手権の予選という役割は果たせませんでしたが、来年こそは無事に開催されることを願うばかりですね。。

未来のためにすべきこと

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 こちらのWebサイト(https://globalbb.amebaownd.com/posts/2047209)でも既にお知らせしていますが、3/11及び12に世田谷ものづくり学校で開催される東京野球ブックフェアにて、既刊「Basbalo Europe 2016(バズバーロ・ヨーロッパ2016)」の製本版を限定150部にて販売することとなりました。自分も12日は参加確定、11日も仕事のスケジュール次第でブースに立ちます。ご興味ありましたら是非この機会にどうぞ。 いきなり冒頭から宣伝をぶっこむ形になってしまったけれど、このBasbaloに対する一部の欧州球界関係者の方々の期待は、自分が考えているよりも案外大きいようだ。拙著で掲載している情報の一部は、選手写真も含めて現地の人々からご提供いただいたものであり、それがBasbaloという本にとっての付加価値になっている側面がある。現在制作中の第2弾(残念ながらこちらはブックフェアには間に合わない)に対しても、「こういうネタがあるから是非掲載してくれないか」という依頼は複数頂戴しており、本当にありがたい限りだ。 そうした話が自分のような人間のところにも来るというのは、少なくともある一定の人々からは手前みそながら、Basbaloという媒体が必要とされているということでもあるんだろうと思う。昨年2月にお世話したファン・フランシスコ・マルティン(マンハイム・トルネードス/ドイツ)も口にしていたように、「いずれは日本で」と考えている選手が欧州球界において多数いる中で、それを取り巻く人々もまた「自分たちの野球を日本のファンたちに知ってもらいたい」という思いを強くしている。ある意味そのための手段として、現時点では商業誌ではないBasbaloが目をつけられているのであれば光栄なことだ。 しかし、だ。同時に考えなければならない問題がある。そもそもなぜ、欧州野球はこれまで日本ではニッチでマニアックな趣味としての立ち位置に甘んじてきたのかということだ。球界の中では新興勢力として捉えられがちな欧州勢とはいえ、各国における野球の歴史の長さは主要国では軒並み半世紀を超えており、むしろその意味でいえば世界の中では古株と言ってもいいくらいだ。NPBの一流どころを揃えた日本代表相手に、欧州代表が互角以上に戦ってみせた2015年春の日欧野球でのプレーぶりなどを見ても、実力的にも決して甘く見られるような存在とは言えない。 世界的に見れば欧州という地域は、野球をプレーする環境としては比較的恵まれている部類に入る。大陸別で最大の加盟国数を誇る地域連盟があり、その傘下には毎年安定的に国内リーグを開催できるだけの能力を持った国別の連盟が加盟国数と同じだけ存在する。国によっては、金額は安くともちゃんと野球選手としての給料が出るし、それぞれの球団の傘下組織もしっかり作られている。競技スポーツとして野球をプレーし続けられる環境は、それなりにちゃんと整備されているわけだ。 にもかかわらず、どこか欧州野球から「格下感」が抜けないのは何故なのか。思うにそれは、欧州各国における国内リーグをNPBやMLBといったプロリーグと比較した時に、「マスに訴えるコンテンツとしての魅力」に欠けてしまっているということなのかもしれない。年間に1球団あたり百数十試合をこなす日米に対し、最も試合数が多いオランダやイタリアでさえも42試合という試合数の少なさ。腕は確かでも国際的には無名なプレーヤーたち。野球だけで稼げる選手が、大陸全体を見回しても10%もいないという市場規模。これらを見れば、NPBやMLBを既に絶対的な基準として持っている日本の野球ファンに、新たなスポーツコンテンツとして売り込むのは簡単な仕事ではないだろう。 さらに言えば、欧州でプレーしている選手たちが口にする日本やアメリカへの移籍願望も、実をいうと引っかかる部分が個人的にないわけではない。確かに一アスリートとしてよりハイレベルな戦いの舞台を求め、そこに挑んでいくことは当然のことだ。しかしただでさえ「業界最大手」と比べて無名な存在であるうえに、現にそこで戦っている選手からも「あくまで次なるステップに向かうための通過点」として認識されているようなリーグが、日本の野球ファンの目から見て魅力的な存在でありうるだろうか?残念ながら、現状のままなら答えは否だろう。 欧州球界は長い時間をかけて、自分たちなりの独自の世界をこれまで作り上げ、完成させた。スポーツ超大国がひしめく彼の地において、長らく競技スポーツとして日陰を歩み続けながらも今日までしっかりとコミュニティを形作ってきた、現在の関係者たちや先人たちのこれまでの努力は称賛されるべきだ。一方で球界においても急速なグローバル化が進み、欧州諸国からも世界レベルの選手が少しずつながら輩出されるようになっている現状において、これまで作り上げてきた枠組みは徐々に現状に見合わないものになりつつあるとも思う。 今の欧州球界にとって最も必要なものが、プロモーションの部分であるという近年の関係者の認識はおそらく間違っていない。ただし問題はどこにそのターゲットを置くかだ。目の肥えている日本のファンに対するアピールも無論重要ではあるけれど、それ以上に忘れてはならないのはコミュニティを支える地元欧州におけるファンベースの拡大だろう。これを、今までにないレベルで推し進めていかなければならない。 より多くの地元ファンが、野球というスポーツや自分の地元にある球団を魅力的なものととらえ、繰り返し球場に進んで足を運び金を落とし続ける(言葉は乱暴だが)構図を作ること。これこそが、各球団の財政をより豊かにし大物の招へいや試合数の増加にも耐えられ、より競争力の高い魅力的なスポーツブランドへと育て上げていく唯一かつ最善の方法だと思う。そして今の欧州球界が一人でも多くの新規ファンを引き付けるために必要なものは、実は球界の外に転がっているんじゃないかと自分は思っている(実は、近い将来に向けてのビジネスプランとして温めている物は既にある。ここでその内容をつまびらかにできないのは少し残念だ)。 MLBのマンフレッドコミッショナーは、自身の在任中はWBCを継続したい考えを明らかにしているそうだ。2021年の第5回大会以降もWBCが存続し参加国の数も拡大していくのであれば、オランダを筆頭とする欧州勢の重要性も当然高まっていくだろう。そして国際大会にプロ選手が参加するのが当たり前になった現代において、国内リーグの隆盛はそのまま代表チームの編成や実力にも影響するようになっている。欧州地域におけるレギュラーシーズンの構造改革は、国際球界そのものの行く末にも大きく絡んでくる問題なんだ。 欧州においてずっと渇望されてきた、年間100試合以上をこなすプロリーグの立ち上げは、むろん成就するまで一朝一夕にというわけにはいかない。だが、全ての関係者が既得権益に捉われない勇気と覚悟を持ち、それこそ「欧州に国際球界の第3極を作るんだ」という気概を持って創造的破壊を進めていかない限り、現在のような「辺境で細々と続いている小さな無名リーグ」という日本のファンからの評価は変えられないだろう。この2017年は、自分にとって大きなブレークスルーの年になる予感がしている。欧州球界の未来とさらなる発展のため、自分がもしコミュニティの末席を占められるなら嬉しい限りだ。 P.S. Basbalo電子版の販売は現在も継続中です。ブックフェアへの参加が難しい方はこちらからDL購入できますので、是非ご検討ください。https://globalbb.amebaownd.com/pages/714239/shop https://www.amazon.co.jp/SYSTEM-R/e/B01MDTEI8S/ref=dp_byline_cont_pop_ebooks_1

ヨーロッパ球界関連情報(2017/02/26)

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(1)チェコ代表右腕がオランダ移籍を発表、チェコ王者からは計7選手が移籍へ チェコ代表のヤン・トメック投手(25)が、今季からオランダ・フーフトクラッセのキュラソー・ネプチューンズに移籍することが決まりました。 18歳の時からチェコ代表としてプレーしているトメックは、昨季はドイツ・ブンデスリーガのレーゲンスブルグ・レギオネーレに所属。16試合に登板して52回2/3を投げ防御率2.22、40奪三振という成績を残しました。オフにはオーストラリアのウィンターリーグでプレーしています。なお、新天地ではネプチューンズの二軍にあたるトリデンツに所属し、一軍昇格の機会をうかがうことになるとのことです。 また、トメックの母国で今年国内王者に輝いたドラッシ・ブルノからは、計7選手が退団することになりました。チームを去ったのは2大会連続でWBC予選にも出場しているミヒャル・オンドラチェク外野手以下、マイケル・クレムラーチェク、フランティシェク・ヴァソーレク、ブラティ・バレソーヴェ、ヤン・ロブニー、クリスティアン・ゲイドル、アダム・シャウアーという顔ぶれで、いずれも同じブルノに本拠地を置くフロッシ・ブルノへの移籍となります。これだけの大量離脱は自分もあまり聞いたことがありませんが、これが両軍の今季の戦いにどう影響するか注目です。ソース一覧 http://www.mister-baseball.com/jan-tomek-regensburg-rotterdam/ http://www.mister-baseball.com/michal-ondracek-michael-kremlacek-leaving-draci-brno-hrosi-brno/ (2)ザールルイ・ホーネッツがドミニカ人右腕を獲得 今年、ブンデスリーガ1部昇格を果たしたザールルイ・ホーネッツが、新戦力としてウィリー・レブロン投手(37)を獲得したことを発表しました。 レブロンはかつてカブス、レンジャース、レッズ、ロイヤルズと4球団の傘下を渡り歩いたベテランで、2011年には自身で最高位となるAAA級での登板も果たしています。ここ最近は母国のウィンターリーグとメキシカンリーグを根城としていました。プロ通算では防御率4.30という成績を残しています。また、チームはベネズエラ出身の若手であるカルロス・フィゲルド捕手(23)の新入団も併せて発表しました。ソース:http://www.mister-baseball.com/saarlouis-hornets-add-willie-lebron-2017-season/ (3)ベースボール・ナヴァーラがエース級左腕の引き留めに成功 スペイン・ディビシオン・デ・オナーのベースボール・ナヴァーラが、ジョスエ・カステリャーノ投手(25)の残留を発表しました。3年連続での同球団でのプレーとなります。 元レッズ傘下のマイナーリーガーとしての経験を持つカステリャーノは、昨シーズンは14試合に登板して6勝8敗ながら防御率は2.40の好成績。1年間先発二枚看板の一角として投げぬき、124イニングを投げて120奪三振に対し、四球はわずか29しか出しませんでした。三振が奪えてイニングも稼げる投手陣の柱として、今季も奮闘が期待されます。ソース:http://www.mister-baseball.com/josue-castellano-returns-baseball-navarra-season/ (4)モンペリエ・バラクーダーズにベネズエラ人右腕が加入 フランス・ディビジョン1のモンペリエ・バラクーダーズが、新戦力としてケイヴィ・ロハス投手(23)の入団を発表しました。 ベネズエラ出身のロハスは、2011年から2014年までフィリーズとマーリンズのマイナーチームに所属。今オフは母国のウィンターリーグでカラカス・ライオンズの一員として投げていました。昨シーズンは18勝10敗でリーグ3位の成績だったバラクーダーズですが、今季は王者ルーアン・ハスキーズ’76と昨季2位のセナート・テンプライアーズの牙城を崩せるでしょうか? ソース:http://www.mister-baseball.com/keivi-rojas-joins-montpellier-barracudas-2017-season/

KBOリーグと韓国代表の現位置―WBC開幕に先立って―

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 2017年に開催される第4回WBCで韓国代表の選手名鑑記事をブログに載せようかなと思っていますが、それに先立って、韓国球界の現況と選ばれた選手の構成について整理してみました。「1.リーグの現況」に関しては、普段から私のブログを見てくださっている方には繰り返しの内容となるため読むのを省略することをおすすめします。なお選手名鑑記事ですが、投手は11月時点で大枠を作っておいたので完成していますが、野手はまだ手付かずです。できれば開幕前には完成させたいところですが、間に合うかどうかちょっと微妙です。→第4回WBC韓国代表選手名鑑(投手編)1.リーグの現況 2015年にktが1軍参入をして以降、KBOリーグ(韓国プロ野球)の1軍は10球団1リーグ体制をとっています。試合数増加や本拠地球場建て替え等の影響もあって総観客動員数が伸びており、興行面で最高潮を迎えていると言って良いかと思います。 最近の韓国球界を語る上で欠かせないキーワードが「打高投低」です。2011~2013年と2014年以降とを比べると防御率や打率のリーグ平均に大きな変化を見てとることができます。 2014年に突如として打高化した背景にはボールの反発係数の変化があるのではないかと言われています。ただし仮にボールの変化がにあったとしてもそれはあくまで打高のきっかけのひとつに過ぎず、ストライクゾーン(特に上下)の狭さ、リーグ全体として球団ごとの投手層が薄くなったこと(球団数増加の影響も想定される)、あるいは投球技術に対して相対的に打撃技術が上がったことなど複合的な要因が想定されます。 近年はKBOリーグでプロキャリアを開始した韓国人選手のMLB進出が目立ちます。リーグのレベルと直結させてとらえる見方が強いように感じますが、実際にはそれ以前からレベルが上がっており、それを引っ張ってきたうち比較的若い部類に属していた選手が20代後半に差し掛かかるなどして海外進出した結果(韓国の場合は海外FAまで9シーズン、契約譲渡での海外移籍に7シーズン必要/単純な年数でなく1軍登録日数等を考慮して換算)(であったり、さらには82年生まれの2人が日本球界を経て去年MLBでプレーした結果)、それが表面化したと見る方が良い気がします。なおリーグのレベルアップを牽引してきた核心は82年生まれ世代及び85~88年生まれ世代あたりと考えられます。 2016年オフにはキム・グァンヒョン(SK)ら複数の有力投手がFA資格を取得し海外移籍を目指しましたが、彼らが国内残留したことによりFAや契約譲渡での大物投手の海外移籍はしばらく打ち止めかなという感じがします(但し特殊な契約を結んだヤン・ヒョンジョン(KIA)は来年以降の去就が不透明)。そして彼らが海外に流出しなかったことにより、リーグとしての「黄金時代」が保たれるものと考えられます。高コストの外国人選手獲得も増えていますし、投打ともに80年代後半生まれが健在なうちはレベルが落ちることは考えがたく、興行面(ただし実質的に国内完結市場)も実力面もこの良き時代はもうしばらく続くのではないでしょうか。 一方で世代交代に課題を抱えています。全体的に見たとき、20代前半の野手はそれ以前の世代に比べて長打力の部分で成長速度の鈍さが見られます。アマチュアで左打の選手が増えており、プロ入りに際して俊足巧打型が優位になっている傾向も感じられます。投手ではとりわけ先発投手の育成が遅れているように感じられます。速球型の素質ある投手が緩急を使えずリリーフに回ることが多いため、先発投手の人材が薄くなっています。各球団が外国人枠3人のうち2人を先発投手にしており(投手のみ3人、野手のみ3人は不可)、彼らに先発5人ローテーションのうち1~3番手のいずれかの役割を求めることによってローテーションを運用している状況です。 但し近年は若手選手の兵役義務を早期解決させるケースが目立っており、尚武か警察野球団の軍隊チームに所属して2年間フューチャーズリーグ(KBOリーグの2軍10球団+尚武+警察野球団)でプレーをした後に若手がブレイクすることにも期待したいです。 私たち日本人が漠然とイメージする韓国野球というのは、国際大会での印象であったり、海外移籍選手の活躍であったりに引っ張られているケースが多いと考えられます。現在はそれと国内リーグとのギャップがそこまで大きくはないと思いますが、数年先にはイメージと乖離していることも考えられ得るように感じます。2.代表の編成(→選手の簡単な成績は記事末尾) 韓国球界を取り巻く以上のような状況は代表チームの編成にも反映されています。30歳前後の脂の乗った選手が多く安定感を期待できる一方で、90年代生まれの選手は野手3人、投手1人にすぎず、フレッシュさを欠いている印象を受けます。オ・スンファン(カージナルス)、イ・デホ(ロッテ)、キム・テギュン(ハンファ)、イム・チャンヨン(KIA)のように日本とも馴染みのある選手を見つけることができますが、その名前が目立ってしまうのは若きニューヒーローの出現に飢えていることの裏返しともいえます。 投手陣のうち先発投手候補は左腕のチャン・ウォンジュン(トゥサン)、ヤン・ヒョンジョン、チャ・ウチャン(LG)、サイドスローのウ・ギュミン(サムソン)、速球派右腕のイ・デウン(警察野球団)がいます。このうちチャ・ウチャンはリリーフとして起用したいという事情があるため、残り4人が先発投手として起用される見込みです。但し基礎軍事訓練を受けたイ・デウンは調整に時間がかかっているため、1次ラウンドの3試合(プレーオフにならない場合)ではチャン・ウォンジュン、ヤン・ヒョンジョン、ウ・ギュミンの登板が有力でしょうか。 以上で名前の挙がらなかったリリーフ専任投手ではシム・チャンミン(サムソン)、ウォン・ジョンヒョン(NC)、イム・チャンヨンとサイドスロー投手が3人います。サイドスローの多い編成は非常に韓国らしいと言えますが、リリーフ右腕に速球派を揃えているところも実は注目すべき点かなと思います。サイドスロー3人に加えオ・スンファンとチャン・シファン(kt)も速い直球を持っています。イム・チャンミン(NC)が唯一、球威で抑えるタイプではないという程度です。国際大会のレベルの高いチーム相手では最低限球威は必要だという判断なのかもしれません。一方でリリーフ専任左腕のパク・ヒス(SK)とイ・ヒョンスン(トゥサン)はともに技巧派といえます。 絶対的守護神としてオ・スンファンの存在が大きいため、そこまでいかに継投するのかというのがポイントとなります。WBCは球数制限があるため、チャ・ウチャンとチャン・シファンにはロングリリーフとしての役割が期待されるとみられます。またイム・チャンミンも比較的早いイニングで出番が回ってくるでしょうか。プレミア12のときと同様に、相手打線との相性を考えてリリーフをこまめに繋いでくると考えられます。ただシーズン終了直後のプレミア12の時と異なり、今回は各投手の調子がはっきりしない3月前半開幕の大会なので、細かい継投のためには強化試合での状態の見極めが大事になってきます。 リーグとしては打高投低ですが、代表に選ばれた投手に関しては十分に戦える戦力だと思います。とりわけリリーフ陣に関してはむしろ今回の韓国代表一番の強みとも言えそうな気がします。経験面で不安のある投手もいますがそこまで大きな問題にはならないと思います。それよりもイム・チャンヨンやイ・デウンのような調整の遅れが心配です。特に先発陣は手術で辞退したキム・グァンヒョンの代替にリリーフのオ・スンファンを入れたため、枚数が当初より1枚少なくなっています。そのため、2次ラウンド、あるいはプレーオフの可能性を考えるとイ・デウンの復調は重要といえます。 野手では1・2番に出塁力の高い選手、中軸にはキム・テギュン、イ・デホ(いずれかが一塁手で一方が指名打者)、左翼手チェ・ヒョンウ(KIA)という布陣が想定されます。強打の三塁手パク・ソンミン(NC)は6番か7番で主軸が返せなかった走者を返す役割を担うものとみられます。1・2番にはミン・ビョンホン(トゥサン)、ソン・アソプ(ロッテ)、イ・ヨンギュ(ハンファ)ら外野手から2人、あるいは俊足二塁手ソ・ゴンチャン(ネクセン)あたりが候補となりますが、残った選手は6番、7番、9番のいずれかでしょうか。下位打線には正捕手の重責を担うヤン・ウィジ(トゥサン)、堅実な守備とつなぎのバッティングでの貢献が期待されるキム・ジェホ(トゥサン)あたりを配するものとみられます。ヤン・ウィジに関しては十分に中軸を任せられる打力を持ち合わせています。 今回はカン・ミノ(ロッテ)が出場辞退となったため、控え捕手には代表初招集のキム・テグン(NC)が入っています。守備に定評はありますが、打撃と走塁では代表レベルに達しておらず、捕手登録3人目の選手がいないため、起用しなくて済む展開が理想です。非常時の第3捕手としては、捕手経験のあるチェ・ヒョンウが候補となるでしょうか。 内野では二三遊を全て守れるホ・ギョンミン(トゥサン)がバックアップとして控えます。オ・ジェウォン(トゥサン)は二塁手だけでなく一塁手も可能なため、イ・デホとキム・テギュンを両方スタメン起用して一塁手として出場した方がベンチに下がった場合には、代わりに一塁の守備につくことも考えられます。今代表最年少のキム・ハソン(ネクセン)は伸び盛りのバッティングを武器にラッキーボーイ的存在になればと思います。 外野ではミン・ビョンホンの起用法が注目されます。中堅手、右翼手のいずれでもスタメン可能な右打の選手であり、控えに置いても便利な選手です。チェ・ヒョンウ、イ・ヨンギュ、ソン・アソプはそれぞれ左翼手、中堅手、右翼手の1ポジションに専念という形でしょうか。またパク・コヌは昨年外野全ポジションを守っているため、守備に不安のあるチェ・ヒョンウの守備固めとしての起用もあるかもしれません。全体的な野手の印象としては、ベストメンバーを組むことができるならそこまで大きな問題はないと感じます。但し代表辞退者が複数いたため、もしスタメン格の選手の調子が上がらず別の選手を起用する場合、ポジションによっては打力が一気に低下するおそれがあります。春先で実戦から長く遠ざかった状態から調整しているため、主力選手がどこまで状態をあげられるのかという部分が変数になりそうです。またヤン・ウィジやパク・ソンミンのように慢性的な痛みを抱えた選手だったり、イ・ヨンギュやキム・ジェホのように沖縄の代表合宿で軽い痛みを覚えた選手もいるので、そのあたりがオーダーに影響しないかという部分も不安材料ではあります。3.韓国球界の今後への期待 いくら選手生命が長くなったとはいえ、ベテラン選手にはいずれ衰えが来ます。したがって、これからあと数年程度続くであろう「黄金時代」のうちにどれだけ若手選手が実力でポジションを勝ち取っていけるのかというのがリーグの持続的発展の鍵となります。リーグを高いレベルで安定化させるためには、大きな世代的空白を作ることのない緩やかな世代移行が必要なのではないかと個人的には思っています。 今回のWBCは北京五輪以降のリーグの隆盛を築き上げてきた世代の集大成の大会といえるのではないかと思います。特に82年生まれの世代にとっては主力の立場で戦う最後のWBCになる可能性が高いです。故障のチョン・グヌと所属球団から出場許可が下りなかったチュ・シンスは参加できないことになりましたが、1次ラウンドを初めて韓国で開催するWBCでオ・スンファン、イ・デホ、キム・テギュンには地元ファンの目にその勇姿を焼き付けるような活躍を期待したいです。 今大会での世代交代は困難となりましたが、今秋開催予定のアジアプロ野球チャンピオンシップ2017、あるいは来年開催予定のジャカルタアジア競技大会では国際大会で若い世代の躍動を見ることができると思います。 若手投手では今代表に選ばれたシム・チャンミンのほかに、速球派右腕のチョ・サンウ(ネクセン)やサイドスローのハン・ヒョニ(ネクセン)がいます(但しネクセンの2人は今年がトミー・ジョン明けのシーズンとなるため今オフの大会参加は不透明)。昨年ローテーションを守った投手ではパク・セウン(ロッテ)やWBC中国代表に選出されたチュ・グォン(kt)あたりが注目でしょうか。 若手野手ではWBC代表にも選ばれた遊撃手キム・ハソンが主砲として期待されます。また今季から外野手に専念する中距離打者ク・ジャウク(サムソン)と俊足巧打の二塁手パク・ミヌ(NC)も選出が有力でしょうか。貴重な長距離砲としては、昨年15本塁打を放ったキム・ソンウク(NC)が今季所属チームで確固としたポジションを築けるかに注目です。 WBCをきっかけに韓国野球に関心をもった方には、今秋開催予定のアジアプロ野球チャンピオンシップ2017にもぜひ注目してもらいたいなと思います。

イ・ハクチュはなぜ日本の独立リーグを選んだのか(推測)

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 高校卒業後渡米してメジャー昇格を夢見ていたイ・ハクチュ。彼の徳島インディゴソックス入団が発表されたのは2017年3月1日のことである(徳島では「イ・ハクジュ」として選手登録)。 昨年サンフランシスコジャイアンツを退団して後に、彼は一度は韓国に帰国する道を選んだ。スポーツデータ統計会社sports2iが運営する野球学校にプレイングコーチとして参加することが発表されていた。ここにきてなぜ急遽日本の四国アイランドリーグplus行を選択したのか、制度や彼個人の事情を踏まえ推測してみよう。あくまでこの記事は「推測」にすぎないため、インタビュー記事等が出るまでは彼の真意を明らかにしがたいということをあらかじめ断っておく。①KBOリーグ規定上の問題 KBOリーグでは韓国の高校を卒業してKBOリーグを経ずに直接海外プロ球団に入団した場合には、海外プロ球団を退団してから2年間はKBOリーグの球団と契約を結ぶことができないという規約がある。従ってイ・ハクチュが韓国の球団でプレーするためには新人ドラフトを経た上で2019年まで待つ必要がある。そこでそれまでの間、プレーできる場を探していたとみることもできる。 上述のように契約ができない2年間が発生する「海外プロ球団」というのは、プロであれば全てという訳ではない。例えばMLB球団を退団後にアメリカの独立リーグやALB(オーストラリア)の球団と契約したとしても、2年間の算定開始はMLB球団退団時点からである(現サムソンのチャン・ピルチュンの事例)。そして日本の独立リーグもそれらと同様に扱われるため、徳島でプレーしてもNPBやMLB等の球団に入らない限りは2019年からの韓国球界デビューが可能となるのである。2年間の制限期間中に日本の独立リーグでプレーした例としては元香川オリーブガイナーズのチョン・ヨンイル(現SK)の事例がある。②兵役免除対象者 アジア競技大会や五輪等で優秀な成績を収めた場合、芸術・体育要員として実質的な兵役免除を得ることができる。アジア競技大会の代表に呼ばれなかったイ・ハクチュはその形での兵役免除は得られなかった。ところがどうやら彼は、膝の十字じん帯断裂という大けがを負い手術を受けたことにより兵役免除を受けたのではないかとみられる。海外プロに直接挑み帰国した選手はKBO球団と契約できない2年間に兵役を終えるケースが多い。しかし兵役に行かなくてよいなら20代中~後半の大事な時期を無駄に過ごしたくないというのがあるのかもしれない。③NPB狙いの可能性 サンフランシスコジャイアンツを退団後、イ・ハクチュはこれまでとは違うマネージメント会社と契約を結んだ。NPB球団との契約の可能性を探るためと言われている。実際に関心をもつ球団が現れたようであるが、条件面で折り合いがつかなかったという。 その後帰国して野球学校のプレイングコーチとして空白となる2年間を埋めるかに思われたが、結局独立リーグという形で日本に行くこととなった。韓国にも独立球団があるが(今年から3球団に増え独立リーグ化を進めている模様)、もしNPBでのプレーも視野に入れるのであれば日本の独立リーグの方が適切であろう。外国人選手であればドラフトを経ずにシーズン途中でもNPB球団に入団することが可能である。年齢を考えても軍隊に行かなくてよいなら今の時期できるだけ挑戦したいということだろうか。 一応副次的要因として年俸に関する部分も考えてみる。近年韓国では年俸の高騰が進んでおり、特にFAを取得した選手が大型契約を結んでいる。一方で新人選手は一律最低年俸(2017年現在2700万ウォン)からキャリアをスタートさせるため(一部例外を除いて新人選手の年俸上限はないが慣習的に全球団最低年俸からスタートさせている)、貧富の差が大きくなってきてもいる。イ・ハクチュのように海外プロ経歴のある新人の場合は規定上も最低年俸からのスタートが明示されているので、もしKBOリーグでプレーする場合、ドラフトでの上位指名は確実だがプロ1年目の年俸は300万円程度にしかならず、活躍して翌年1000万円程度に上がるという感じであろうか。なお外プロ経歴のある新人は入団時の契約金も受け取ることができない。高卒選手の場合はFA取得まで9年かかるため、これから2年後にKBOリーグでデビューしたとしても大型契約できるうちにFAを取得するのは難しい見込みである。それならばNPB入りを狙い身体的に充実した時期にできるだけ稼いでおこうという発想もありえなくはない(あくまでも理屈の上からの「推測」)。今年オフにはイ・ハクチュと同い年である遊撃手キム・サンス(サムソン)がFAを取得する。イ・ハクチュはすでにそのような年齢でもあるということである。 一方でもしNPB球団と契約した場合には、KBO球団と契約できない2年間のスタートがNPB球団を退団した時点からになり、もしKBOリーグでのプレーする場合に開始が遅れるというデメリットが発生する。またかりにNPB球団と契約できたとしても限られた枠を争う外国人選手として過酷な競争にさらされるというリスクもある。まとめ 以上のように、「韓国で一からやり直すには若くない」一方で「韓国に戻るにはまだ若い」という彼の状況が徳島入団につながったのではないかと私は推測する。但しこれはあくまで「気持ち」や「感情」など内面の部分をほぼ無視した「推測」にすぎない。今後インタビュー記事等を通して彼の率直な心境があきらかになっていくことだろう。

西アジアカップ2017 スリランカがWBC参加国のパキスタンを下して悲願の初優勝!!

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Sri Lanka won the Gold medal defeating Pakistan 4/2 @ 13th West Asia Baseball Cup & qualified to Asian Championship pic.twitter.com/H4HkyHuBwv— Sri Lanka Baseball (@slabsa1) 2017年3月1日侍ジャパンの強化試合が行われている裏でビッグニュースが入ってきました。パキスタンのイスラマバードで行われていた西アジアカップにて、スリランカがこの地域最強の国であるパキスタンを下して初優勝を飾りました。正直びっくり。アジアの野球の構図についておさらいしておきましょう。アジアの野球は今回のWBC本大会にも出場している日本、韓国、台湾、中国の4つが図抜けており、そこからだいぶ離れて第二グループの集団が形成されています。その第二グループをけん引しているのが、長い野球の歴史を持つフィリピンと、スポーツ省のサポートがあり、軍隊、警察チームでプレーする選手で構成されるパキスタンの2チーム。この2チームもWBC本大会の前に行われる予選大会の参加国でもあります。西アジアカップはアジアの第二グループで行われるアジアカップという大会が東西に分割されたことによって生まれた大会で、分割以後は全てパキスタンが地元で開催し、パキスタンが優勝するという大会になっていました。この地域の野球の盟主ですね。「中国を倒す」という、他のアジアの第二グループが口にすることもこれまでなかったような目標を掲げ、実際にアジア競技大会やアジア選手権ではしっかり中国と勝負に持ち込めるレベルに到達しています(アジア大会が6-0、アジア選手権が5-0、いずれも中盤まで接戦の好ゲーム)。試合前からコールドゲームとやる方も見る方も決めつけてた時代からすると隔世の感ですね。 9月にはWBC予選に参加し、そこではブラジルとイギリスに連敗し敗退してしまいましたが、ピッチャーの二枚看板(イーサン・ウラー、アヤナット・ウラー)は130キロ中盤の速球と精度の高い変化球や一定レベルのコントロールを持ち、内野手も肩が強く軽快。もちろんプロのマイナーリーガーらで構成される他の参加国と比べると見劣りしましたが、ようやくこのレベルまでアジアの第二グループの国がきたか、という感想を持った記憶があります。今回の西アジアカップもそのWBC予選のメンバーでほぼ構成されており、ほぼ隙はないと見られていましたが、、一方のスリランカは、この地域のナンバー2というポジションを固めていた国でもありました。日本の青年海外協力隊(JICA)のバックアップもあって、徐々に野球のすそ野を広げてきた代表国。今でもJICAからの支援は受けていますが、現在ではスリランカが主体となって野球が行われている印象です。ただ、身体能力が高く、大きなバックアップも付いているパキスタンの壁はなかなか破れずにいました。このスリランカの快挙の何が素晴らしいかと言うと、パキスタンが失速してきたから勝ったわけではない点。むしろ数年前よりもさらに1ステージのぼった感じのあったパキスタンを破っただけにその価値は大きい。まぐれで勝てるような相手ではないですし、今にして思えば2015年の東アジアカップ(スリランカの本来の所属は西ブロックですが、この大会は諸事情で鞍替え)でもフィリピンと1-2の接戦だったこともうなずけます。国内にも一定の競争は存在すると思いますが、こういった国々はやはり国際大会という場でこそ国内では生まれないような競争力が生まれ、それが発展に繋がっていく印象です。パキスタンは中国を倒そうとレベルアップを図り、さらにそのパキスタンを倒そうとすることでスリランカのレベルも上がった側面もあったのではないでしょうか。この西アジアカップはやはり現状ではこの二強以外との差が大きく、この決勝こそが両国にとって最大の目的となっていたような大会ともいえると思います。そこをスリランカが勝ち切ったのは大きい。パキスタンにとっても大きな刺激になったはずです。パキスタンがアジア4強以外の国に敗れるのは2012年のアジア選手権のフィリピン戦以来5年ぶり。フィリピンも除けば、2009年のアジアカップ決勝でインドネシアに敗れて以来でしょうか。日本の支援をきっかけに徐々にすそ野を広げていったスリランカとは全く違うアプローチで強化されてきたので、(すそ野を広げるというよりは、身体能力の高い選手を集めてくるイメージ。もっとも、そこも近年は変わりつつあるようですが)この敗戦が良い方に作用し、さらにもう一皮むけるきっかけになるかもしれません。今回の西アジアカップの他の国についても見ておきましょう。結果だけで見るのならば、これまでの序列がひっくり返るような現象はなかった印象です。久々の国際大会の参戦となるネパールは、以前と比べてもすそ野が広がってきている印象です。関西独立リーグでプレーしたエースのイッソー・タパの力をもってすれば3位も可能なのかな、と思っていましたが、荒削りながらもパワフルなイランに3位決定戦で敗れて銅メダルはならず。二度目の国際大会の参戦となるイラクが全敗で5位に終わりました。 2年前の前回大会で16年ぶりの国際大会参戦を果たしたインドは、いつものようにビザの問題でパキスタン入り出来ず辞退。国内で一月から選考会までやって準備してただけに残念なニュースでしたね。。さて、西アジアカップはこの先のアジア選手権にも繋がっている大会です。 9月に台湾で開催されるアジア選手権は日本は社会人代表、台湾はアマ+マイナー選手、韓国はプロの若手+大学生、中国はトップチームで参戦することが予想されます。そこに東西のアジアカップの上位2チームが加わって行われます。西アジアからは当然パキスタンとスリランカが出場。東アジアカップは開催地が見つからず、今年の開催は断念。ランキングからフィリピンと香港が選出予定のこと。ここ数大会は6チームで行われてきたアジア選手権ですが、今回は8チーム。パキスタンの「打倒中国」宣言もあって、これまで以上に「中国包囲網」が形成されているような気がします。中国戦では実力が発揮できないアジアナンバー5のフィリピン、色川冬馬監督率いる香港代表の戦いも楽しみです。今回のアジア選手権は関係なさそうですが、2015年のアジア選手権はWBC予選大会のアジアの出場国を選定する大会でもあり、その結果パキスタンが選出されています。アジア第二グループとアジアのトップや世界の距離が縮まったことが感じられる、そんな大会になることに期待したいですね。 2017西アジアカップ 結果パキスタン16-1ネパールネパール13-3イラクスリランカ22-0イランパキスタン25-0イラク準決勝パキスタン11-0イランスリランカ11-0ネパール 3位決定戦イラン10-6ネパール決勝スリランカ4-2パキスタン

ヨーロッパ球界関連情報(2017/03/03)

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(1)メリッサ・メイユーがモンティニー・クーガーズに加入 フランス人女性プレーヤーのメリッサ・メイユー内野手(18)が、昨年所属していたフランス・ディビジョン1のモンペリエ・バラクーダーズから、モンティニー・クーガーズへと移籍することがわかりました。 クーガーズはメイユーにとって、兄ディランとともに野球を始めるきっかけとなったクラブ。昨年ディビジョン1でデビューを果たした彼女は、12試合出場(うち11試合で先発)で35打席に立ち、打率.343、出塁率.395、長打率.400、2二塁打、4得点、4打点という好成績をマークしています(規定打席には達していないとはいえ、高校3年生相当の女子選手が成人男性に交じってのこの成績は、凄いとしか言いようがありません)。 2015年には、女性として史上初めてMLBのドラフト指名有資格者となったことでも話題を呼んだメイユー。まだまだ選手としてのキャリアには余白がたくさん残っており、今後もさらなる活躍を続けることが期待されます。今年は一体どんな伝説を作ってくれるのか、楽しみです。ソース:http://www.mister-baseball.com/melissa-mayeux-joins-montigny-cougars-french-division/ (2)ゾーリンゲン・アリゲーターズがアメリカ人右腕を獲得 ドイツ・ブンデスリーガ1部のゾーリンゲン・アリゲーターズが、今季からの新助っ人としてウェス・エドワーズ投手(28)を獲得したことを発表しました。 アメリカ出身のエドワーズは、昨シーズンは四国アイランドリーグplusの香川オリーブガイナーズでプレー。先発投手陣の一角として15試合に登板し6勝3敗、防御率2.22という成績を残しました。アリゲーターズは、彼の野球人生の中で初めてのヨーロッパでの所属チームとなります。また球団は、アンドレ・ヒューズ投手、ダスティン・ヒューズ内野手、ダニエル・サンチェス内野手ら計14名が来季も残留することを合わせてアナウンスしています。ソース一覧 http://www.mister-baseball.com/solingen-alligators-add-wes-edwards-import-pitcher/ http://www.iblj.co.jp/result/ (3)ドラッシ・ブルノがアメリカ人2選手を獲得 チェコ・エキストラリーガのドラッシ・ブルノが、ドイツ・ブンデスリーガのハイデンハイム・ハイデコッフェからウェス・ローマー投手(30)とテレル・ジョイス内野手(24)の両名を獲得したことを発表しました。 球団の発表によると、ローマーはキャリアの中でマイナーのAAA級まで到達した経験を持つ右腕。ジョイスは3シーズン、アストロズ傘下でプレーした元マイナーリーガーだということです。ドラッシは最近、同じブルノに本拠を置くフロッシ・ブルノに大量計7選手を引き抜かれたばかり。今月末のシーズン開幕に向け、今後も追加の補強があるかどうか注目です。ソース:http://www.mister-baseball.com/wes-roemer-terrell-joyce-join-draci-brno-2017-season/

雨の中でみせた才能の芽【千葉熱血Making4-5栃木ゴールデンブレーブス】

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雨模様の中、茨城県藤代で行われたアマチュアクラブチーム・千葉熱血MakingとBCリーグ 栃木ゴールデンブレーブスの試合を観に行ってきた。その中で一番目を引いたのは吉田えり。彼女が女性だからという理由ではなく、雨の中、すばらしいピッチングを繰り広げたからだ。この試合、5回から2番手として登板した吉田えりは1回を三者凡退(内野ゴロ2 三振1)に抑えただけではなく、他の登板した投手の多くがコントロールやコンディションに苦しむ中、彼女だけはこの天候を楽しむがごとく、スムーズに打者を抑えていく姿を見せつけたからだ。リーグ戦が始まれば、毎回このようにいいピッチングができるとは限らないかもしれないが、今日の内容が続けば、かなり安定したリリーフとしての地位を築き上げる可能性は十分にあるだろう。今季の吉田えりに注目していきたい。

カリビアンシリーズがメキシコでの開催中心に

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 毎年行われている中南米のウィンターリーグの決勝シリーズ、カリビアンシリーズに大きな変化があるようだ。 このシリーズは、ベネズエラ、ドミニカ共和国(以下ドミニカ)、プエルトリコ、メキシコのウィンターリーグチャンピオンによって争われ、この4か国での開催が持ち回りとされていたが、カリブプロ野球連盟(カリビアン・プロフェッショナル・ベースボール・コンフェデレーション,CPBC)は、メキシコでの隔年開催を目論んでいる。 この新フォーマットは、2019年大会から実施の方向で、この年の大会は先のWBCの会場にもなったメキシコ第2都市、グアダラハラが予定されている。1万3000人収容のエスタディオ・チャロスには、WBCの間、多くの観客が訪れ、これに気を良くした、メキシカン・パシフィックリーグのハリスコ・チャロスのオーナーが、さらなるビッグイベントの誘致を目論んだという。 順当に行けば、本来ならこの年のシリーズはプエルトリコでの開催となるのだが、2019年以降は、メキシコでの隔年開催の「すき間」を他の3か国で実施となるようである。メキシコの方は、この試みを大歓迎し、すでに、その後の開催地として、WBC予選の行われたメヒカリ、太平洋岸のリゾート都市マサトランが手を挙げている。マサトランはこのイベントに備えて、新球場の建設も計画し、もしその計画がとん挫したとしても、従来の球場を大幅に改装してカリビアンシリーズのホストを務めようとしている。 また、2019年シリーズからは、このシリーズの原参加国であるパナマがゲストとして参加することも決まった。現在パナマのウィンターリーグは、1月のみ開催のミニリーグであるが、これを機に試合数も拡大するのではないだろうか。また、この国は、ここ数年は、コロンビア、ニカラグア、メキシコ・ベラクルスリーグと国際シリーズ、ラテンアメリカ・シリーズを行っているが、パナマの「抜け駆け」に他のリーグはどう反応するのかは今後の注目である。 ゲスト参加といえば、現在キューバもこのかたちで参加しているが、2019年以降は、そのまま参加するのかも注目だ。現実的には、パナマ参加により6か国体制になれば、3か国ずつの予選リーグと決勝トーナメントの組み合わせとなるのだろうが、それならば、ベラクルスリーグには悪いが、ニカラグア、コロンビアを加えた8か国体制にした方が盛り上がるようには思う。 メキシコ偏重の開催については、おそらくは経済的なことが絡んでいるのだろう。中南米のウィンターリーグのレベルについては、10年ほど前までは、ドミニカが頭一つ抜け、メジャーリーガーの少ないメキシコは4番手という感じであったのだが、近年、ドミニカリーグの報酬を、経済的に豊かなメキシコ、ベネズエラが凌駕するようになったようだ。但しベネズエラはここ数年、インフレが充満しており、それゆえ、メキシコに選手が集まるようになったようだ。

ヨーロッパリーグ結果速報(3月18~26日)

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スペインリーグ(第1~2節) 第1節ベースボール・ナヴァーラ7-5サンイナジオ・ビルバオベースボール・ナヴァーラ3-13サンイナジオ・ビルバオ C.B.サンボイ2-1ベースボール・バルセロナ(延長10回) C.B.サンボイ4-2ベースボール・バルセロナバレンシア・アストロズ0-6プエルトクルーズ・マーリンズバレンシア・アストロズ2-3プエルトクルーズ・マーリンズ C.D.パンプローナ10-4C.B.ビラデカンス C.D.パンプローナ10-14C.B.ビラデカンス第2節 C.D.パンプローナ9-1ベースボール・ナヴァーラ C.D.パンプローナ18-14ベースボール・ナヴァーラプエルトクルーズ・マーリンズ10-0C.B.ビラデカンスプエルトクルーズ・マーリンズ14-6C.B.ビラデカンスベースボール・バルセロナ2-4バレンシア・アストロズベースボール・バルセロナ4-1バレンシア・アストロズ※サンイナジオ・ビルバオ-C.B.サンボイ1回戦及び2回戦は雨天中止 ヨーロッパの球春が、今年も他国に一足早く先駆けて到来。第4回WBCの戦いがまだ続くさなかの3月18日、スペイン・ディビシオン・デ・オナーが4カード計8試合を行い開幕しました。 第1節では、昨季優勝のアストロズと2位のマーリンズによる直接対決がいきなり実現。マーリンズが2連勝を果たし、昨年度のリベンジを早くも達成しました。第1戦では、先発ヨルフランク・ロペスがいきなり完封勝利。レスター・ガルヴァンが3打点、ビクター・ベラスケスが4安打3得点と打線も快調でした。第2戦では、2-2で迎えた8回の表にヤンカルロ・フランコが決勝の犠飛。2015年の日欧野球でも来日したレスリー・ナカーが、ローウィン・サクラメントとの息詰まる投げ合いを制しました。 サンボイは、カタルーニャのライバルであるバルセロナに連勝。第1戦では、スペインリーグ初登板となった先発アンソニー・ビズカヤが19奪三振の快投を見せ、勝利に大きく貢献。攻撃面では、10回裏にダニエル・マルティネスが満塁からサヨナラの押し出し四球を選んでいます。第2戦では初回に挙げた3得点が最後までものをいう形に。かつてバルセロナに所属していた先発オスカー・ヒメネスが完投勝利を挙げました。 続く第2節では、マーリンズがビラデカンス相手に連勝し無傷の4連勝をマーク。ヤンカルロ・フランコとヘスス・ウスタリスが、揃って2本塁打をマークしました。同じく第1節で2連勝したサンボイは、対ビルバオ2連戦が共に雨天中止となっています。バルセロナとアストロズは揃ってシーズンの初白星をマーク。パンプローナとナヴァーラによるダービーマッチでは、格下と目されたパンプローナが2連勝を挙げています。ソース一覧 http://www.mister-baseball.com/results-spanish-division-de-honor-baseball-march-1819-2017/ http://www.mister-baseball.com/results-spanish-division-de-honor-march-25-26-2017/

俊足巧打中距離打者2人の中堅手挑戦

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 近年ロッテの右翼手はソン・アソプの指定席であった。ところが今年のオープン戦では彼が中堅手を守るという見慣れない光景を目にすることとなった。デビュー当初は左翼手としてプレーした時期があるものの、中堅手としてのプレーはこれまで公式戦で1度もない。 ロッテのチョ・ウォヌ監督によるとソン・アソプを突如として中堅手として起用し始めたのはあくまでも非常時に備えてのプランBだという。但し兵役義務解決のためここ2年間警察野球団に所属していた中堅手チョン・ジュヌは、服務中には中堅手としてプレーすることは少なかった。必ずしも守備範囲が広い方ではなかったため、両翼へのコンバートも考慮しなければならない時期に差し掛かってきている。また昨年遅咲きながらブレイクしたキム・ムノはアベレージ型の打者ではあるが、守備ではほぼ左翼手に限定されている。ソン・アソプを中堅手でも起用できるのであればチームとしてはメリットが大きい。 ソン・アソプは今年のオフにFA資格取得を控えている。2015年のオフにポスティングによるMLB移籍を目指したこともあり、海外球団へのFA移籍という選択肢も視野に入れているようである。ポスティングの際には入札球団が全く現れなかったが、コーナー外野手としては長打力に物足りなさがあるというのも要因のひとつであったと考えられる。ポスティングによる移籍失敗以後、出塁率の向上を目指したスタイルの変更や走塁面でのアピールなど、努力を重ねている様が見受けられるが、MLB移籍のためには根本的な解決になっていないように感じる。またここ近年、リーグ全体として高打率化が進んでいるため、もともと高打率を残せる彼は突出度でアピールしにくくなっている。韓国球界トップクラスのコンタクト能力はもっており、盗塁成功率の高さなど走力も高いため、もし中堅手を守れるのであれば右翼手限定よりはアピールしやすくなるかもしれない。 たとえプランBとしてであっても、中堅手にも挑戦することはソン・アソプにとってもプラスに作用する可能性を秘めている。元々打球判断はそこまで良くないためが、守備面でアピールするチャンスともなろう。 中堅手に挑戦する選手として注目したい外野手がもうひとりいる。ネクセンのコ・ジョンウクである。彼もソン・アソプ同様に俊足巧打中距離打者に分類することができる。 コ・ジョンウクは昨年も中堅手としての出場がある。ただ今年はオープン戦の時期に若手中堅手のイム・ビョンウクが右肘の痛みによって戦線を離脱してしまったため、昨年以上に中堅手としての起用が増加するものとみられる。かつて中堅手を務めたイ・テックンはベテランとなっており、昨年からは右翼手に回っている。また外国人打者ドーンもコーナー外野手である。オープン戦では高卒新人の内野手イ・ジョンフが外野手として出場し開幕1軍に向けたアピールに成功したが、最初はあくまでバックアップとしてみるべきであり、コンバートから日が浅いため守備面でもまだ信頼しきれない。またユン・ソンミンとチェ・テインの守備位置が一塁手で競合しているため、外野手を指名打者として起用する頻度は抑えたい。今年はさらにハンファを放出後に加入したキム・テワンもオープン戦で当たっていたので、守備位置の交通整理が難しい状況にある。 中堅手コ・ジョンウクという選択肢がある程度信頼できるものとなるのであれば、野手の運用がやりやすくなるであろう。やはり守備の安定性の部分には疑問があるので、イム・ビョンウク不在の間に不安を払拭させたい。 俊足巧打タイプの中堅手挑戦で注目されるのは以上の2人であるが、トゥサンのパク・コヌやNCのキム・ソンウクも中堅手としての活躍が期待される。前者に関してはチョン・スビンの入隊とミン・ビョンホンの原則右翼手固定により中堅手起用が既定路線となっており、後者に関しては昨季途中からベテランのイ・ジョンウクが左翼手にコンバートされたため中堅手として成長することが求められる。ともに長所は守備より打撃にあるが、実戦を通して技量を向上させていって欲しい。中堅手は今季リーグ全体で注目されるポジションであるかもしれない。

ヒューストン・アストロズが19歳のコスタリカ人投手と契約

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(※国際野球ニュースのカテゴリーに含まれている記事はfacebookにも掲載されている内容のものです。)ヒューストン・アストロズがコスタリカ人投手のブライアン・ソラーノと契約したらしいソラーノは最速92マイルを計測する19歳コスタリカ人選手がMLBと契約するのな十数年ぶりのはず pic.twitter.com/Qc76qljtOa— 世界の野球 (@sekainoyakyu) 2017年3月31日ヒューズトン・アストロズがコスタリカ人投手のブライアン・ソラーノを獲得したようです。ソラーノは92マイルに達する速球を持つ19歳。コスタリカ人選手がMLBの球団と契約を結ぶのは十数年ぶりのものと思われます。(追記:2006年-09年までインディアンズ傘下でプレーしたアレックス・トーレス以来)中米はパナマやニカラグアという野球が国技の国と、このコスタリカやグアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラスというサッカーが国技の国の二手に分かれるのですが、後者の国も野球はマイナー競技ながらそこそこの規模と水準の野球があり、MLBのチームとマイナー契約を結ぶ選手も多いです。 WBC予選だとヨーロッパを始めとした野球の新興地域の国が優先的に選出されているのですが、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラスは予選に出ている国とそん色ないかそれ以上ではないかと言われてます。予選の参加国が増えるならこれらの中米のマイナー国から選ばれる確率が高い。コスタリカは今あげた国の中では順番を付けると一番実力は落ちるようなイメージで、MLBと契約する選手の輩出も一番滞っていました。ただ以前からMLBの国際スカウトが送り込まれたり、去年はシンシナティ・レッズがトライアウトを開催したりと良い選手がいてもおかしくないと見られてはいたんでしょうけどね。ちなみに、今年は年末あたりに中米競技大会という大会もあります。マイナー選手をしっかりそろえたパナマ、ニカラグアと中米のマイナー国で野球競技は争われるのですが、そちらの方も楽しみです。

7つの論点から振り返るWBCの総括や未来の話

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WBCの総括と今後について書いてみました。話がバラバラでまとまらないので、項目別に分けて書いています。繋がりなくだらだらと書いてます。自分に向けた備忘録のようなものですが、今回のWBCと今後のWBCに向けて考えるきっかけにでもなれば嬉しいです。①WBC消滅報道の話昨年11月、ESPNのクリスチャン・モレノ記者が「今大会で十分な利益があげられない限り、ワールド・ベースボール・クラッシックの大会が終了する可能性のあることを、複数のニュースソースから聞いた」とツイートしたことを発端に、彼のツイートを引用する形で米メディアが報道。日本のメディアもそれに続いた。結局この話はMLBコミッショナーの「WBCの開催時期やシステムなどの改善点について話し合ったりすることはあるが、WBC自体をなくすというアイデアは出ていない。私がコミッショナーである限りWBCは継続する」という発言によって一蹴されることになる。ただ冒頭の報道の信ぴょう性は別にして、日本の世の中的に「あっやっぱりそうなんだ」的なとらえ方をする人が多かったことは、ある意味闇が深い。日本の野球ファンのWBCに対するイメージが出ていたような気がする。個人的にはマンフレッド(コミッショナー)の発言を待たずして、少なくとも「収益」を理由としてWBCが廃止されることはないと考えていた。 WBCというのは大会単一の収益が目的ではなく、野球の国際的な市場を広める先行投資的なイベントである。MLB全体の収益の大きさを考えてみると、WBCが大会単一の収益だけが目的なのならば、すでになくなっているように思う。 2014年のMLBの開幕戦はクリケット場を改造してオーストラリアで開催され、今度はロンドンで公式戦を開催するとも言われている。単にイベント単一の収益を考えるならばわざわざ海外でそのようなことをする必要はないだろう。もちろん、WBCも赤字ならオーナーたちから賛同を得るのは難しい。一定の収益を得なければならない事情はあるものの、この大会はやはり先行投資の色が強いものだととらえるべきだと思う。もうひとつ、MLBはかつて国際野球連盟に資金援助する見返りとして、IBAF(国際野球連盟)が主催していた世界選手権である「ワールドカップ」を廃止して、WBCを野球界の世界選手権にあたる大会として公認するよう要求したという経緯もある。 MLB側も、半永久的に継続してこの大会を育てていきたいという意思を基本的に持っているように思う。もしWBCがなくなるとしたら①MLBが国際市場の開拓の手段の一つとしてWBCを有効と考えなくなった②MLBが国際市場の開拓そのものをやめるの二つだと思う。これも今の時点では考えにくいとは思うが・・。一方で、WBCという大会がMLBの都合次第でどうにでもなる大会であることを再認識させられるようなニュースだったとも言える。プレミア12をはじめ、WBC以外のプロ参加の国際大会を成熟させていく必要性も改めて感じさせられた。②今回のカリブ勢の話今大会が「各国が本気になった大会」ととらえる人が多かった最大の要因は、ドミニカ、ベネズエラ、プエルトリコ、メキシコといった国々が豪華なメンバーを揃え、かつ大会への準備と高いモチベーションを元に戦っていたことに尽きると思う。前年秋に日本遠征も行い、エイドリアン・ゴンザレスの呼び掛けによって選手のリクルーティングにもしっかり成功していたメキシコは失点率の解釈の違いもあって1次ラウンド敗退。初優勝に向けた並々ならぬ思いが大会前からだだ漏れしていたベネズエラはプレッシャーからか終始ちぐはぐ感が拭えず、テレビゲームみたいな最強メンバーを揃えていたドミニカも二次ラウンドで消えてしまった。もう「本気度」で差をつけることが出来なくなってしまったことを裏付ける結果が残ったが、流れとしては前回の第三回大会からのものを引き継いでいる印象だ。前回大会に関してもベネズエラとプエルトリコはわりとベストに近かった。ベネズエラは直前に大型契約を結んだフェリックス・ヘルナンデスだけが欠けており、プエルトリコは投手にメジャーリーガーがそもそも少ないという事情もあったにせよ最善に近い布陣だったように思う。優勝したドミニカはブルペンにフェルナンド・ロドニーを中心に強固なメンバーを揃え、打線と先発はそこそこという面々。もっとも戦力的に今回グレードアップしたのは意外にもドミニカだったように思うが、結果は逆になってしまったのが皮肉である。もうひとつ、小さな変化としていわゆるプロスペクトと呼ばれる選手の割合がこれらの国から格段に増えたのも今大会の特徴であった。ドミニカ以外は全ての投手をメジャーリーガーで固められる選手層を持っていないが、メジャーリーガーではない部分の枠がこれまではマイナーのベテランやメキシコでプレーする選手だったところから、若い有望株に置き換わっている。若いマイナー選手もみな当たり前のように93-5マイル級の球を投げていて、この部分にも大会のステータスの向上を感じさせられた。決して最初の二大会の日本や韓国、キューバの活躍がリスペクトされていなかったわけではないと思うが、あまり彼らにとってそれが身近には感じにくかった部分はあると思う。やはり前回ドミニカとプエルトリコが決勝まで勝ち進んだことが火を付けた部分は大きい。そして、おそらくこの熱はこれは次回大会以降もずっと継続されるはずだ。WBCという大会の格もワンステージ上がったように思う。第三回大会がそうであったように、彼らが今回ここまで情熱をかけて戦ったことが、また新たな化学変化を起こすことにも期待したい。③アメリカ優勝の要因の話4年前も、8年前も、11年前も、そして今回も、アメリカが「本気」だったかどうかを気にする声は相変わらず多かった。この議論は「本気」の定義が人によって異なるため、なかなかかみ合うことが少ない。というより、定義が一緒の人同士の場合はたぶん意見が割れることが少ないと思う。本気だと言っている人も本気じゃないと言っている人もある意味正しい。よその国のやる気を気にすることが野暮に思えたことと、意見が割れやすい話題ということもあり、自分はあまりこの話題を出すことは好きではなかったのだが、アメリカを総括するうえで避けては通れない部分でもある。純粋にメンバーの集まり具合で言えば、私の意見からするとさほど前回との変化はなかったように思う。日本戦の前には、アメリカ代表は全てがメジャーリーガーであること、球宴経験者が野手を中心に多く含まれていること、そして選手の年俸を併記する形で今回のアメリカがどういうチームであるかを伝えようと腐心するメディアも多かったが、2013年大会のチームもこれらの項目について特に今回と見劣りする部分はなかったと思う。今回少し野手は豪華になった反面、投手は13年大会は前年の20勝投手(ジオゴンザレス)やサイヤング賞投手(ディッキー)がいたし、クローザーはキンブレルだったことを考えると少し上だったかもしれない。野手にゴールドグラブ経験者を揃え、リリーフに多様なタイプを揃えるソリッドな編成も前回から共通する部分だろう。アメリカが今回優勝できたのは、一つは純粋に仕上がっている選手が多かったことに尽きる。これは編成権を持っていた前回大会監督のジョー・トーリ(今大会はアメリカ代表のゼネラルマネジャー)の色が出ていたのではないかと思われる。人脈の広さと自らの前回大会の経験を最大限に生かしたのではないか。特に過去の大会でも最大のネックになっていた先発投手の仕上がりの悪さは、むしろ今回は強みになっていた。ある程度状態を仕上げてくることを約束できるような選手にしかメンバーに入れなかったこと、予備登録選手を先発に活用し、準決勝で先発したロアークや、二次ラウンドべネズエラ戦で先発したスマイリーのように、「この1試合だけ」にさえピークを持ってくればいいような起用法が出来たことが作用したのではないか。状態が上がっていないまま出場していた選手が多かったことの象徴であった大会中の故障離脱者が多さ。ここも今回はゼロだった。二つ目はリーランドの采配。今回のアメリカも所属球団からの制限が多くがんじがらめ状態の中での采配だったようだが、そんな中でも状態の上がらないスター選手をベンチに眠らせたり、イニングの途中でスパっと投手交代をするといったこれまでのアメリカ代表ではあまり出来なかった勝負に徹した采配を出来たのも大きかったように思う。他に要因として挙げられるのは、組み合わせと層の厚さを生かしたチーム編成の部分。1次ラウンドで対戦したコロンビアはドミニカにもあわやサヨナラ勝ちという大健闘を見せるなど、好チームだったのは間違いない。ただ、ここがコロンビアではなくメキシコだったらアメリカは負けていたかもしれない。コロンビア戦は大苦戦を強いられ延長でようやく振り切るのだが・・。さらに今回はカナダのメンバーの集まりがかなり悪かった。1次ラウンドの時点では正直「いつものアメリカ」というような低調な試合も多かったが、ここを組みわけの妙により乗り切ったのは大きかったかもしれない。二次ラウンドの最終戦、ドミニカ戦の大一番で選手の状態はピークに近い状態に達したのか逆転勝利。ここで生き残ったことで、大会の佳境に入るにつれ状態が右肩上がりだった印象も残った。二次ラウンドで打ち込まれた同じプエルトリコ相手にストローマンが快刀乱麻のピッチングを披露し、打線がついに爆発を見せた決勝はその象徴だったように思う。 WBCはコンディション勝負という大会であると同時に、一部のトップ選手は出なくとも、層の厚さ=選べる選手の数の多さを生かして現場サイドの求めている色を出したメンバーを集めやすいアメリカの強みが出ていたのではないだろうか。様々なタイプのリリーフ投手を集め、野手は攻守を兼ね備えた穴のない選手を並べるという、編成の意図が見えるメンバーだったのは間違いない。一度成功体験を残すことが出来たのは大きい。今回の勝因をしっかり次回大会以降にも引き継ぐことが出来れば、同じクオリティのチームを作れるはずだ。④アメリカ代表をブランディングすることの可能性にもっと目を向けてみてもいいのでは・・、という話 WBCにおけるアメリカ代表とは、結局何のためのチームなんだろう・・。とふと思った。もちろん、選手たちはアメリカ人としてアメリカの野球ファンのために戦っていたという意識だったと思うし、ファンも自国の代表チームとして応援していたに決まっている。ただ、このチームが他国の代表チームのように自国の野球に大きく影響を与えるような存在だったとはやはり言い難い。アメリカ代表はアメリカの野球界のために戦っているというよりは、WBCという大会に権威をつけるためにできるだけメンバーを揃え、出来るだけ好成績を残すことを求められているチームだ。ここが変わらない限り、WBCという大会が本物の大会に近づくことは難しいように思う。逆にいえば、アメリカ代表がアメリカの野球界のために戦うチームになることが出来れば、そこに意義や可能性を見出す人が出てくるようになれば、WBCの抱えている諸問題も解決するのではないか。アメリカ代表はべネズエラ、ドミニカ、プエルトリコといった強豪国を下した。これらの三カ国は考えうるべストメンバーにかなり近い。アメリカは単に優勝を目標とするだけなら、今回くらいのチームで十分と言っていいだろう。アメリカ代表は出ていない選手にも一流選手が多かったが、出ている選手もほとんどが一流選手だ。国際化が進んだメジャーリーグは今や三割が外国人選手と言われているが、要するに七割がアメリカ人なのである。乱暴な言い方をすると、20球団以上はアメリカ人のメジャーリーガーだけでチームが作れる。その中から28人を選べばいいのがアメリカ代表なのである。現状のアメリカ代表でも優勝するには十分な戦力を有している。今大会出ていた選手の質にも疑いようがない。ただ、「ファンの見たいアメリカ代表」からはまだ随分と距離がある。「ファンの見たい代表チーム」を作れるかどうかは、結果と同じくらいその代表チームのブランド力や大会への関心を高める上でかなり重要な根幹を担う。 2009年大会のWBCにおける日本の盛り上がりは、日本人メジャーリーガーが勢ぞろいし、ファンが見たい代表チームが実現できたことが大きかった。常にイチローを始めとした日本人のメジャーリーガーが出揃わず、二次ラウンドくらいで終わってしまうような状況が初代大会から続いていたとしたら、今これほど侍ジャパンやWBCという大会のステータスが日本で上がっていただろうか。過去の大会で積み重ねた戦いや熱気の記憶が、今のWBCに繋がっている。アメリカ代表はこういった積み重ねがほとんどないと言ってもいいのではないか。個人的に感心したのは、2015年秋に行われた新設の国際大会であるプレミア12の日本代表だった。メジャーリーガーは出場できず、ウインターリーグなどともバッティングするため、他国の代表チームがどれくらいのメンバーが集まるのかかなり大会前は不安視されていた大会だった。ただ、日本はそこに流されることなくベストメンバーを送り込めたことによって、一定の盛り上がりと注目を得ることに繋がっていったような印象だ。特に馴染みのない新しい国際大会なだけに、どういったメンバーを集めるかによってその大会がどれくらいの価値を持つ大会なのか、その熱がなんとなくファンに伝わっていくものなんだと思う。よその国どうこう以上に、自国の代表チームが「ファンが見たかった代表」なのか否かがその国における代表の価値にも大会の価値にも繋がっていくものなのだと認識させられた。人が揃ってるからこそ人気が出るのか。人気があるから人が揃うのか。私はまず前者なのではないかと考えている。人々は訳知り顔で、なぜアメリカではWBCの人気がいまひとつなのか事情や背景を説明する。もちろん、そこで説明されていることは真実だと私も思う。オリンピックやサッカーの代表戦が大好きな日本と、アメリカが同じようにいかないことは私でもよく分かる。それでも、カーショーが投げてトラウトが打つアメリカ代表が、ポストシーズンのようなテンションで戦うイベントが実現すれば、アメリカのスポーツファンにとっても十分魅力的なエンターテイメントになりうるのではないかと私は信じている。野球のチームの優劣を付けるのにはポストシーズンで採用されている7試合制が妥当なのかもしれないが、エンタメ性で言えば一発勝負の方が絶対面白い。アメリカがフルメンバーを揃えても、そこに対抗できそうな国はたくさんある。アメリカのスポーツファンの肌感覚はわかないが、十分ポテンシャルがあるように見えるのは、私がWBCを好きすぎて盲目的だからだろうか。 MLBは地域密着型のスポーツとしては大成功しているが、全ての野球ファンが1つの試合のためにテレビの前に集まるようなイベントはないように思う。マンフレッドに言いたい。時間短縮も大事なことだと思うが、WBCを「カーショーが投げてトラウトが打つアメリカ代表が、ポストシーズンのようなテンションで戦う」大会に育てることの方がよっぽどアメリカの野球振興に繋がるのではないか?と。もし、MLBの組織の外側にいる人間や組織が、WBCに対する取り組みをMLBに働きかけるのだとしたら、切り口はここにあるように思う。特に自国の代表をブランド化し、世界で二番目のプロリーグであるNPBあたりは、働きかける上でかなり説得力のある存在のはずだ。 MLB自身が気づいていないような価値や可能性がWBCにはあるのではないか。アメリカ代表がWBCという大会のために、あるいは世界の野球の発展のために、言い換えるとヨソの国のためにある存在である限りは、根本的な変化はおそらく起こらない。アメリカ代表がアメリカの野球のために戦う。WBC発展のカギはここにあるように思う。⑤開催時期の問題の話 WBCという大会は、とにかく継続して歴史と権威を積み上げていくこと。これが唯一無二の発展の道だと考えられてきた。実際、今大会が盛り上がりを見せたのも、過去3大会の延長線上にあるのは間違いない。一方、WBCがどれだけ歴史や権威を積み重ねることが出来ても、今の開催時期では限界があることを感じさせられたのも今大会だったように思う。特に日本代表がそうであったように、先発投手の出場は依然としてハードルが高い。たとえWBC自体のステータスがさらに引き上げられて、メジャーリーグのエース級がこぞって参加するようになったところで、シーズン以降の戦いにリスクを負うこと自体は変わらないわけで、果たしてそれはいいことなのだろうかと考えさせられる。また、開幕ロースターを争う立場の選手が参加しにくい時期であることも無視できない部分だろう。日本だけでなく、いや日本以上に、特に中南米勢あたりはWBCよりシーズンを優先した選手に対する誹謗中傷が激しかったと聞く。国のために戦うか、チームや自分のキャリアを優先するか。この究極の判断を迫られる状況は選手にとってかなり酷なように思う。チームの立場に立ってみても同じだ。WBCに多くの選手を送り出したチームを「WBCに理解のあるチーム」という風に表現されることも多いが、プロとしてチームの利益だけを考えれば「理解のないチーム」の方がある意味正しい選択をしていると言えると思う。「理解のあるチーム」が損をするという矛盾した状況のままでは限界があるのではないか。ただ、シーズン中にまるまる開催することも現実性に乏しい。やはり現実的なソリューションとしては現地のメディアからアイデアが出ているように、春と夏に分断して開催することになってくる。個人的には1次ラウンドまでは三月の下旬に世界各国で開催して、二次より先を一週間アメリカで夏にコンパクトに開催する形を推したい。熱気自体も分断されてしまうデメリットは決して小さくないことは十分理解しているが、それ以上のメリットがあるように思う。・出場するリスクが少なく、各国ベストメンバーによるベストパフォーマンスが期待できる・アメリカの場合は他の主要なスポーツのイベントとタイミングが被らない・メジャーリーガーで主に構成されるチームも、極東開催の1次ラウンドにも参加しやすい。・1次ラウンドの結果が出た後に二次ラウンドの開催地が決められる。一括開催時のように、二次ラウンドの開催地が○○だから△△が勝ちやすいような組み合わせにする、といった配慮もいらなくなる(※同じアメリカ国内でも、この開催地は○○系が多い、といった要素はかなり組み合わせに影響を与えてきている)おそらく、MLBが現行の162試合から減らすようなことはないだろう。問題はこのための日程をどうやってこじあけるか。そこに賛同を得られるか否かになってくる。もしかしたら2年にまたがって3月に開催する、なんて可能性もあるのかもしれないし、前年の秋に1次ラウンドまで開催するというアイデアも現地メディアからは出ていた。オリンピックではシーズン中断を頑なに拒み続けてきたMLBだが、WBCはアメリカの中でやる自分たちが主催する大会。前者は彼らの利益と支配の範囲外のイベントであって、WBCとは別問題ではないかと思う。 MLBも予備登録制度の導入やカーショーやバンガーナーといった大物投手に対してもトーリGMを中心に色んな働きかけをしたようだし、どうすればこういった選手が参加しやすくなるかを検討した痕はかなり感じられる。それだけに、彼らが実は一番今の時期の開催に限界を感じているのではないだろうか。マンフレッドコミッショナーも、WBCを今のままでいいとは思っていないことはかなり伝わってきた。今大会の盛り上がりも、何か大会の形をドラスティックに変える上で後押ししてくれる部分はあると思う。ネゴシエーターとして知られるコミッショナーが色んなステークホルダーを説得しどういった解決策を見つけ出すか、期待してみる価値はあるのではないだろうか。⑥「強化試合」の話侍ジャパンに関しては、あの準決勝のアメリカ戦のことについてたくさんの論評がされている。でも、あのたった1試合にイメージが引っ張られすぎるのもどうなんだろう・・。例えば、あの試合の先発がロアークを引っ張ってこずにレイズの剛腕アーチャーのままだったら、普通にそれはそれでパワーピッチングでねじ伏せられていたような気がする。実際、パワーピッチャータイプのイスラエルの先発ゼイドを侍ジャパンは彼が降板するまでまでとらえきれていない。仮にそうだった場合、日本はパワーピッチャーに弱い的な論調が広がっていたのだろうか。勝ってしまった試合はどうしても悪かった部分の印象が薄れて有耶無耶になってしまうものだが、準決勝の敗戦に限らない検証が必要となってくるはずだ。それは置いておいて、実際に日本がアメリカの球威と動きを兼ね備えた速球をとらえられなかったことが敗因の一つであることは間違いない。この課題をどう克服すべきか、色んな議論が交わされていると思うが、個人的には「強化試合」をもっと有効に生かせるのではないかという提案をしたい。そもそも「強化試合」というのはどういう位置付けのものなのだろうか。主催する側の都合としては、侍ジャパンはどうやら春と秋に試合をやることが前提で固定のスポンサーの契約が成り立っているらしい。そういった主催側の大人の都合はいいとして、現場サイドはどうだったんだろう。 WBCを直前に控えた昨秋の試合はともかく、それ以外の特に春の強化試合。強化試合の意義や目的を選手や監督といった方々が口にする機会もそれなりにあったのだが、「日の丸を付ける誇り」的なことだったりとかフワッとしたものが多く、テクニカルな意味での強化試合の意義や意味を語る人はほとんどなかったように思う。もちろん、選手個々でそれなりにテーマを持っていることもあったのかもしれないが、基本的に主催する側も、現場も、見る側も、誰も強化試合を「強化」試合とは思ってなかったのかもしれない。アメリカ代表のピッチャークラスのボールを体験する機会は確かになかなかないが、強化試合だってそれを疑似体験するのには十分なチャンスである。例えば、二次ラウンド初戦のオランダ戦を思い出してみよう。先発のバンデンハークをノックアウトした侍ジャパンだが、実は二番手以降は思うように捕えきれていない。三番手に登板したシャーロン・マルティスの好投が大きかったように思う。マルティスはあの時点では所属チームが決まっていなかった。つまり、今年がWBCの開催年ではなく、オランダ代表が強化試合として来日していても登板していた可能性が高い。マルティスは150キロ近い重い癖球で日本の打者を詰まらせる投球であの熱戦を演出。さらにファンミルも153キロのツーシームを連発していたし、延長10回に青木を併殺に打ち取ったストイフバーゲンも常時140キロ後半のツーシームが持ち味の投手。この二人の所属もオランダのクラブチームである。日本戦に限らず、WBCを通じて高い投手力を見せていたオーストラリアも、所属先が決まっていない選手も多かった。要するに三月の強化試合で十分練習台になれる国は思いのほか多いのではないか。メキシコもメキシカンリーグ主体の投手陣が強化試合で日本を苦しめたことは記憶に新しい。秋に話を広げると、メジャー球を使うメジャーリーガーと対戦できた日米野球なんかは絶好の機会だったはずだ。春の強化試合も相手の守りだけでもメジャー球を使うというアイデアもあっていい。動くボールという視点で考えるのは一例であり、もっと「強化試合」を「強化する試合」としての意識を持って工夫をすればいくらでも生かしようがあるように思う。せっかく試合をする以上単なる「興行」で済ませてしまうのはもったいないし、スポーツというものは興行っぽくしないことが一番の興行になる。誰もがあの強化試合を「強化試合」としてとらえられるようになることが、色んな意味で必要となってくるのではないだろうか。⑦チーム別寸評最後に、国別の感想を書いてこの記事を締めたいと思います。・韓国韓国野球の失墜、的な記事もかなり多く出回っているものの、深刻にとらえすぎなくてもいいんじゃないかと。接戦で競り負けたイスラエル戦の1試合が全てだったという話。メジャーリーグに行く選手も出てきたし、国内プロ野球の年俸も随分あがっているし、おそらく今回のWBCの結果もプロ野球の盛り上がりには影響しないはず。むしろ選手の不祥事の多さの方が人気に影響しないか心配だったりする。とりあえず秋のアジアプロ野球CSで世代交代を加速させたい。・台湾台湾プロ野球選抜がうっかり日本に勝ってしまったことにより、台湾のお家騒動が日本でも広まってしまった。WBCではオランダや韓国と善戦しただけに、やはり足並みが揃っていなかったことが悔やまれる印象が残ったが、大会後に代表チームはCPBLが主権を握ることが決定し、事態はとりあえず収束の方向に向かいそうだ。出来ることならWBC前にやってほしかったけど。とはいえ国内の足並みが揃っていた地元開催のプレミア12も惨敗だったし、過度な期待は禁物である。国内だけでなく、米マイナー組の投手を揃えるリクルーティングにも代表を司るCPBLには期待。・オランダ豪華メンバーが揃った打線が機能するのは当然のこと。想像以上にピッチャーが粘ったことが好成績に繋がった。まさかバンデンハークが一番頼りにならないとは・・。ジャージェンスやマルティス、ファンミル、ストイフバーゲンがかつてのボールを同じようなタイミングで取り戻すという奇跡の代表だった。また、「オランダ連合」としての方向性も見えてきた。オランダ本国は投手を中心に、捕手あたりも育成できるようになれば、オランダ領組とバランスがとれて常に強さが維持できるはず。持ちつ持たれつの関係を加速させたい。・イスラエル今大会最も話題をさらったチーム。イスラエルでも多少話題にはなったようだが、野球の地位が上がるほどの影響を与えたとは言い難い。救いなのはイスラエルの野球は「ゼロ」ではないということ。ゼロには何を掛け合わせてもゼロにしかならないわけで。イスラエルの野球人口は5000人「しか」いないと報じられているが、5000人「も」いるのだ。1度の国際大会の躍進では大きな影響を与えられないが、粘り強く続けていけば20年後くらいには変化が出ているかもしれない。イタリア系アメリカ人を軸に欧州で結果を残してきたイタリアが近年マエストリや元メジャーリーガーのアレックス・リディを輩出するようになった好例もある。ユダヤ系企業の資金的なバックアップもあったりなど、のびしろを感じる要素は十分にある。・キューバ今回のキューバ代表は、ついに亡命組が参戦するのでは?と噂されていた。正直に言うと僕も結構それを期待していた。結局それは実現しなかったし、今回のキューバ代表は期待値で言えば史上もっとも低かった。しかしながら、このチームなりの魅力と意地を見せてくれたのではないかと思う。日本との開幕戦は何度も好守でくらいつき、二次ラウンドの日本戦はこの国の打者の層はなんて厚いんだと感嘆させられた。デスパイネだけのチームでは決してなかったように思う。一方、二次ラウンドは結局全敗するなど、現実を改めて突き付けられた大会だったと思う。これまで代表に多くの関心を払ってきた国民も、失望と言うより、もはや期待もされなくなってきつつあると聞くと寂しい。亡命組が解禁されるかどうかは分からない。ただ、今回改めてキューバ野球の層の厚さを見せつけられただけに、このまま落日していくだけなのは悲しすぎる。どうにか打開策がほしい。・オーストラリア投手力の下馬評はそこそこあったものの、予想以上に質と量を兼ね備えた投手陣が印象的だった。日本戦に投げた投手だけでなく、他の二試合に登板した投手のレベルも総じて高く、ここに加えてメンバーに入っていない選手の中にもマイナーの有望な投手が結構いたりと、少し未来は明るい。ただ、メンバー的にも組み合わせ的にも今回が初の二次ラウンド進出最大のチャンスだっただけに、あのデスパイネに許した痛恨の一球が悔やまれる。打線もタレントがいないなりに得点を奪える形をどうにか作りたかった。・中国前回大会と違い「振れる」選手を揃えているだけに、打線はそこそこやれるのではないかと思っていたら大違い。それを大会前に強調していた私は面目丸つぶれである。ただ、オーストラリアとの決戦が敗色濃厚になってからある傾向が浮き彫りになる。オーストラリアのリリーバー、バンスティーンゼルが150キロ級の速球ばかりを単調に投げ込み始めると、結構中国打線はとらえ始める。思えば前回も課題となっていたのだが、この人たちは変化球を全く打てないのだ。本格派のいないキューバの軟投派投手には手も足も出なかったあたりがかなり示唆的である。彼らは「ストレート7、スライダー3」みたいな意識の持ち方をして両方についていくようなことが出来ない。ストレート10でマン振りあるのみ。結果、速球と曲がり球のきわめて原始的なコンビネーションでメロメロである。ちなみに、北京五輪を控えて積極的に強化が行われていた時代はそんなことはなかった。五輪競技から外れ、海外遠征の機会が減り、アジアシリーズもなくなってしまったことも要因の一つだろう。国内の大きな大会を控えているということで、投手の足並みがまったく揃わなかったことを考えると、投手陣は結構頑張った。強化試合を含めて、試合が完全に崩壊したのはオーストラリア戦だけ。まあ、そのオーストラリア戦が最も重要だったのだけど・・。おそらく、中国は次回から予選に回る。課題は投手の足並みを揃えることと、変化球への対応力。今の中国は実力の近いチームと戦う予選の方が得るものも多いのではないかとも思ったりする。・アメリカイメージ的にはパワーやスピードのような表面的なものを好みそうなのに、実はどのカテゴリーでもチーム作りが合理的だったりするのがアメリカ代表。ちょっとサッカーのイタリア代表のようなところがある。とにかく層が厚いので、選ぶ側の色を出したメンバーを集めやすいのが大きな特徴である。老将ラソーダに率いられ、後にツインズで守備専ショートとして活躍したアダム・エバレットや堅守の一塁手として知られたミンケイビッチらを擁して戦ったシドニー五輪のアメリカ代表は、最強キューバの連続金メダルを阻止したことで知られるが、個人的にはそれを彷彿とさせるチームだったと感じた。・ドミニカ 7番にベルトレーのいる反則級の打線と、各球団のクローザー・セットアッパーが名を連ねるドミニカは、間違いなくロースターの時点では最強だった。1次ラウンドでは劣勢のアメリカ戦を二本のホームランでひっくり返すなど横綱らしい戦いを見せるも、二次ラウンドでプエルトリコとアメリカに敗戦したまさかの二次ランド敗退に終わった。チャンスでもフライをどんどん打ちあげるなど、とにかく拙攻が目立ち、選手個人もみな劣勢を跳ね返そうと力みまくる。 9イニングもあればそういったスタイルでも2-3本はホームランが出るのでそれなりに得点にはなるものの、打線の豪華さほど効率的に得点に繋げることができなかった。ドミニカ打線の面々は、例えばメジャーリーグの1球団に4-5人いればファンは相当心強いだろうが、9人全員がドミニカ人だと意外と淡白な打線になってしまうことを思い知らされたような気がする。野球って難しい。ピッチャーに関しては、投手個人個人はみなエゲつないボールを投げているものの、ほとんど右のパワーピッチャーにタイプが偏っているのもちょっと考えものかもしれない。・コロンビア初出場。グッドルーザーだった国の一つ。アメリカとは延長まで渡り合い、ドミニカにはあわやサヨナラ勝ちという瞬間まであった。メジャーリーガーが近年急速に増えてきたことでも知られ、選手たちは母国の野球の地位をさらに上げたいとモチベーションも高かった。カナダから勝利したことで次回大会の予選を回避することを確実としたことは、これ以上ない置き土産になるはず。・カナダメジャーリーガーの数や実績からすると、フルメンバーが揃えばいいところまで行ってもおかしくないはずが、今回はいつも以上にメンバーが揃わない。事情はアメリカに似ているところもあるが、アメリカのような圧倒的選手層もない。選手もわざわざ1次ラウンドで敗退するために参戦するのもなあ、、ということでこれまでの大会では出ていたような選手も欠場するなど負の連鎖が生まれつつある。悲願の1次ラウンド突破どころか、次回予選スタートが濃厚となってしまったが、この流れを断ち切るのはいつになることやら。・プエルトリコリンドーア、コレアを始めとした若いスター選手が徐々に台頭するなど、充実の戦力と見られてはいたものの、今大会もここまで躍進するとは予想できなかった。とくに不安視されていた投手陣は、プロスペクト系の投手やベテランが上手く組み合わさり、それをモリーナがリードすることによってむしろ強みになっていた。決勝では大敗してしまったが、言うまでもなく二大会連続準優勝は立派な成績。・ベネズエラ最も期待を裏切った国の一つ。優勝候補と目されていたが、けが人続出、ボーンヘッド、拙守で終始ちぐはぐ感は否めず。 1次ラウンドはかろうじて生き残ったプレーオフでイタリアに辛勝し勝ち抜け。二次ラウンドは全敗に終わった。二塁が本職のオドーアがサードで怪しい守備を連発し、その翌日に場当たり的に同じく二塁本職のアルデューベに三塁を守らせた采配は、日本の監督がやってたらそうとう叩かれてたはず。・メキシコ期待を裏切った国パート2。ブルペンにメジャーリーガーを並べる強力な布陣と、1次ラウンドのホームアドバンテージからダークホースと目されていた。ただ、打球が飛びまくる1次ラウンドの開催地エスタディオ・チャロスは高地で打球が飛びまくる魔境。少々の投手力の違いは無力化され、いかに殴り勝つかが問われる展開になってしまう戦いが中心だったが、投手力の高さが売りだったホームのメキシコが一番その特徴に割を食ってしまったのは皮肉としか言いようがない。失点率のいざこざにによる敗退は気の毒だが、元はと言えば初戦のイタリア戦を落とさなければ良い話。・イタリアイタリア系を中心とした今回のメンバーは投手力よりは打力が売りのチーム。ほとんど投手力の違いが無力化される戦いにおいて、メキシコと対照的に最も得をしたチームだったのかもしれない。初戦のメキシコ戦では9回に登場したメキシコのクローザーロベルト・オズーナから怒涛の攻撃で4点差を大逆転。結果的にこの1勝のおかげで次回大会も予選回避が濃厚となった。○おわりに今回は特にWBCを通じて世界の野球の面白さに目覚めた人も多かったのではないでしょうか 4年後を楽しみにしたい!と言いたいところですが、他にも色んな国際大会がこの4年の間には控えている。もちろん、それらの国際大会はメジャーリーガーも出なければ、プロ選手が出ない大会も多い。おそらく、WBCと同じものを求める人には全く楽しめない代物なのですが、それぞれの大会にはそれぞれにWBCとは違う、楽しみ方やツボがあるんですよね。それを自分なりに伝えていきながら、一緒に次のWBCまでの色んな国際大会や世界の野球を楽しむ人を増やしていける4年間にしたいと思います。今後ともよろしくお願いいたしますね。

ヨーロッパリーグ結果速報(3月31~4月2日)

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スペインリーグ(第3節) ベースボール・ナヴァ―ラ1-12C.B.サンボイベースボール・ナヴァ―ラ4-16C.B.サンボイバレンシア・アストロズ10-2サンイナジオ・ビルバオバレンシア・アストロズ11-1サンイナジオ・ビルバオ C.B.ビラデカンス0-16ベースボール・バルセロナ C.B.ビラデカンス4-8ベースボール・バルセロナプエルトクルーズ・マーリンズ7-4C.D.パンプローナプエルトクルーズ・マーリンズ13-2C.D.パンプローナ スペインリーグは第3節までを終え、全チームが1勝以上をマークしている状況に。マーリンズはパンプローナ相手に2試合続けて快勝し、開幕からの連勝を6に伸ばしました。1回戦では、先発ヨルフランク・ロペスが8回4失点ながら17三振を奪う力投で3勝目をマーク。第2戦ではヤンカルロ・フランコとヘスス・ウスタリスが揃って4打点を挙げる大爆発ぶりで、パンプローナ投手陣を一蹴しています。 ライバルのサンボイもナヴァーラをスイープ、ここまで全勝としているものの試合数の差で2位に。それでも2試合連続での2桁得点はその打線の破壊力を大いに示したものでした。アストロズとバルセロナもそれぞれビルバオとビラデカンスに連勝、今節では全カードがスイープという結果に終わっています。ソース:http://www.mister-baseball.com/results-spanish-division-de-honor-april-12-2017/ フランスリーグ(第1節) ルーアン・ハスキーズ11-1サンランベール・ダックス(7回コールド) ルーアン・ハスキーズ17-2サンランベール・ダックス(5回コールド) セナート・テンプライアーズ7-2パリ大学クラブセナート・テンプライアーズ10-0パリ大学クラブモンペリエ・バラクーダーズ4-2サヴィニー・ライオンズモンペリエ・バラクーダーズ4-7サヴィニー・ライオンズモンティニー・クーガーズ6-0クレアモント・アルヴェーヌスモンティニー・クーガーズ3-2クレアモント・アルヴェーヌス いよいよ開幕したフランスリーグでは、8試合中7試合でホームチームが勝利。唯一ホームチームに土をつけたのは、バラクーダ―ズとの2連戦の2試合目で勝利を飾ったライオンズでした。テンプライアーズはパリ大学クラブを2試合ともに快勝で退けています。 今季からは2チームが新たに1部昇格を決めたフランスリーグですが、その滑り出しは対照的なものとなりました。ダックスはディフェンディングチャンピオンであるハスキーズの前に力の差を見せつけられ、2試合とも2桁失点でコールドでの惨敗。一方のクーガーズは、アルヴェーヌスに連勝を収めました。2回戦では日本人ナックルボーラーの佐野川亮投手が、アルヴェーヌスの先発投手としてマウンドへ。8回を投げて被安打6の3失点と試合は作りましたが、味方の援護がなく惜しくも敗戦投手となっています。ソース:[http://www.mister-baseball.com/results-french-division-april-1-2-2017/ ](http://www.mister-baseball.com/results-french-division-april-1-2-2017/ )ドイツリーグ(第1節) 3月31日南地区ハイデンハイム・ハイデコッフェ4-0ハー・ディサイプルズ 4月1日北地区ゾーリンゲン・アリゲーターズ8-1ドーレン・ワイルドファーマーズゾーリンゲン・アリゲーターズ5-6ドーレン・ワイルドファーマーズ南地区バッド=ハンブルグ・ホーネッツ3-10ザールルイ・ホーネッツバッド=ハンブルグ・ホーネッツ17-16ザールルイ・ホーネッツシュツットガルト・レッズ1-11マインツ・アスレチックスシュツットガルト・レッズ4-1マインツ・アスレチックスハー・ディサイプルズ2-3ハイデンハイム・ハイデコッフェマンハイム・トルネードス15-5レーゲンスブルグ・レギオネーレ 4月2日北地区ドルトムント・ワンダラーズ7-1ケルン・カージナルスドルトムント・ワンダラーズ10-13ケルン・カージナルス南地区マンハイム・トルネードス11-1レーゲンスブルグ・レギオネーレ ドイツリーグ第1節では、トルネードスとハイデコッフェが揃ってスイープをマークしました。昨オフに9人もの新戦力を迎え入れたトルネードスは、レギオネーレ相手に2戦連続2桁得点で快勝。フェルナンド・エスカーラとトーマス・デウォルフの両名が本塁打を放ち、選手兼任監督のファン・フランシスコ・マルティンも1回戦で2三塁打、3得点、4打点と大活躍を見せています。一方のハイデコッフェは、ショーン・ラリーが1回戦で本塁打、2回戦でも決勝の2点適時二塁打を放つ活躍を見せ、ディサイプルズを下しました。 同じ南地区ではアスレチックス‐レッズ、及び「同一ニックネーム対決」となったB.ホーネッツ‐S.ホーネッツの両カードが星を分け合う結果に。衝撃的だったのはバッド=ハンブルグ‐ザールルイの2回戦でした。初回に大量12失点を喫したバッド=ハンブルグでしたが、そこから打線が奮起し最終的にはなんと17-16で大逆転勝ち。こういうことが起きるから野球ってつくづく恐ろしい…。ソース:http://www.mister-baseball.com/results-german-baseballbundesliga-march-31-april-2-2017/ チェコリーグ(第1節) 3月31日ドラッシ・ブルノ8-0オリンピア・ブランスコプラハ・イーグルス4-0トレビシ・ニュークリアーズオストラヴァ・アローズ6-5スコカニ・オロモウツ 4月1日スコカニ・オロモウツ4-2オストラヴァ・アローズテクニカ・ブルノ7-8フロッシ・ブルノテンポ・タイタンズ3-4コトラーカ・プラハトレビシ・ニュークリアーズ10-19プラハ・イーグルスオリンピア・ブランスコ1-12ドラッシ・ブルノ 4月2日フロッシ・ブルノ5-4テクニカ・ブルノテンポ・タイタンズ2-0コトラーカ・プラハ 今年から新たにニュークリアーズとブランスコの2球団が加わり、10球団体制となったチェコリーグ。第1節ではフロッシ、ドラッシ、イーグルスの3球団が2勝をそれぞれ手にしました。ドラッシはブランスコに2試合でわずか1得点しか許さない完勝ぶり。フロッシはテクニカとのブルノダービーを、ともに激しい鍔迫り合いの末1点差勝利で物にしています。イーグルスは新参入のニュークリアーズをスイープ。ただ、開幕戦こそ完封したものの2回戦は10失点と投手陣が不安を露呈する形となりました。その他2カードは1勝1敗で星を分け合っています。ソース:http://www.mister-baseball.com/results-czech-extraleague-march-31-april-2-2017/

ヨーロッパ球界関連情報

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(1)パダーボーン・アンタッチャブルズが監督を解任 ドイツ・ブンデスリーガ北地区に所属するパダーボーン・アンタッチャブルズが、シーズン開幕直前にシュテファン・フェシュティグ監督兼GMを解任していたことがわかりました。 球団は今回の解任について、チーム内のストラクチャー変更とマンネリ化の防止をその理由として挙げています。現役時代には自らもアンタッチャブルズでプレーしていたフェシュティグ氏は、過去9年にわたってチームの指揮を執っていました。なお、後任の監督にはドイツ代表のジェンドリック・スピアー内野手が(選手兼任で?)就くことが決定。GMの座は当分空位となるようです。ソース:http://www.mister-baseball.com/untouchables-paderborn-part-ways-headcoach/ (2)レッズがショーン・ザラガーを解雇、リトアニア人右腕はAAA級でシーズンスタート アルバ出身プレーヤーのショーン・ザラガー捕手(28)が、所属するレッズから解雇されたことが明らかになりました。 ザラガーは2008年から2016年までの8年間、ブルワーズとドジャースの傘下でプレー。ドジャース時代にはメジャー昇格も果たしたものの、試合出場はありませんでした。この冬にレッズとマイナー契約を結んだばかりで、スプリングトレーニングでアピールしようとしていたものの、残念ながら生き残りに失敗してしまった模様です。 一方、リトアニア出身のドヴィダス・ネベラウスカス投手(24)は、所属するパイレーツで40人ロースター入り。シーズンはAAA級インディアナポリスで迎えることとなりました。最速150km/h超の速球を武器とする剛腕は、一軍昇格を果たせばその瞬間にリトアニア史上初の大リーガーとして、球界の歴史にその名を刻むこととなります。過去にもAAA級まで昇格しながら、一軍デビューを果たせずじまいとなってしまった選手は少なからずいますが、ネベラウスカスの命運やいかに。ソース一覧 http://www.mister-baseball.com/cincinnati-reds-release-shawn-zarraga/ http://www.mister-baseball.com/dovydas-neverauskas-starts-season-triplea/ (3)カリアン・サムスが独立リーグ球団と再契約 オランダ代表のカリアン・サムス外野手(30)が、所属するCanAmリーグのケベック・キャピタルズと再契約したことがわかりました。 サムスは今年がキャピタルズのシーズン3年目。これまで世界中の様々な球団に所属してきましたが、今回は比較的長い在籍年数となります。昨年はシーズンで打率.277、出塁率.372、長打率.504、12本塁打という成績。昨年のヨーロッパ選手権、今春のWBCにもオランダ代表として出場しています。 なお、キャピタルズには過去4シーズンにわたってドイツ・ブンデスリーガのハイデンハイム・ハイデコッフェでプレーした、ジェームズ・マクオーウェン投手も在籍。欧州つながりでの共闘が、カナダの地で実現することになります。ソース:http://www.mister-baseball.com/kalian-sams-resigns-quebec/ (4)イギリス野球殿堂入りした名審判が死去 過去30年以上にわたってイギリス球界を審判としての立場で支え続け、2011年にはイギリス野球殿堂入りも果たしたテッド・ジェラルド氏が、去る3月18日に闘病の末死去したことがわかりました。享年78歳でした。 1939年1月10日(蛇足ながら、この日は管理人の誕生日のちょうど49年前でもあります)、南アフリカ・ピーターマリッツバーグで生まれたジェラルド氏は、40歳の時にイギリスに移住。審判として13回のリーグ優勝決定戦を裁き、国際大会での試合出場経験も100試合を超えています。自らが審判としてのキャリアを積むだけでなく、新しい人材のリクルートや教育にも非常に熱心なことでも知られました。 1990年代半ばに負った怪我により、審判としてのキャリアは短縮を余儀なくされてしまったものの、それでもイギリス野球へのコミットメントに傾ける情熱は衰えず。1996年にハルで開催されたヨーロッパ選手権予選や、数々の国内リーグ戦でテクニカルコミッショナーを務めました。 こうした数々の功績が評価され、イギリス野球連盟(BBF)とイギリスアマチュア野球審判協会双方(ABUA-GB)で名誉会員に。ABUA-GBは彼の名前を冠したテッド・ジェラルド・トロフィーを、その年最も優れた活躍を見せた審判に対する表彰として2003年から毎年授与しています。 1956年から7シーズンにわたり、南アのダーバン・ユナイテッドでプロサッカー選手としてもキャリアを積み、イギリスにわたってからもウォーチェスターシャーにあるイギリスサッカー協会支部で、野球関係の活動と並行して働いていたというジェラルド氏。まさにその生涯をスポーツに捧げた人と言えると思います。ジェラルド氏のご冥福を心からお祈りいたします。ソース:http://www.mister-baseball.com/british-hall-fame-member-ted-gerrardthesingh-passes/

パレスチナに女子野球が誕生したという話

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パレスチナに初の女子野球=テニスボールでも士気十分(時事通信) https://t.co/s87WTbRXtP— 世界の野球 (@sekainoyakyu) 2017年4月10日こんなニュースが。アジアにおいて、アジア野球連盟には未加盟だけど、野球をやっている団体はある・・という国は意外とあったりします。ブータンとかバングラディッシュもそれに該当するでしょうか。同好会のような段階で、国際大会とかを意識するところには至っていない・・といった感じだと想像されます。一応アジア野球連盟には加盟しているけど、国際大会には顔を出さないような国もこんな感じなんでしょうね。ベトナムのように、国の事情や仕組みの問題で野球連盟が作れず、アジア野球連盟に入れない国もあったりしますが・・。アジア野球連盟は、実はアラビア半島側が空白地帯だったりします。スリランカが優勝を飾った先月の西アジアカップ。そこに参加していたイラン、パキスタンはイスラム圏ではありますが、アラビア半島の国ではありませんものね。数年前に加盟し、西アジアカップにも出場したイラクは初めてイランより西側のアラビア半島側に属する加盟国となりました。ちなみにパレスチナと複雑な関係にあるイスラエルは地理的にはアラビア半島側にありますが、サッカーと同様に欧州の野球連盟に所属しています。 WBSC(世界野球ソフトボール連盟)に広げると、実はヨルダンにソフトボールの連盟がありますよね。さて、記事の内容ですが、イスラムの中でも保守的で女性がスポーツをやりづらい文化の国では、新しくて未知なスポーツである野球は逆に入りやすいのもかもしれません。西アジアだとパキスタンにも女子野球があるようなので、交流とかも出来そうですよね。インドや香港のように、野球が根付いている国と比べると男女の野球の規模の差が小さい国もたまにあったりしますが、男子より女子の方が野球が発達している、という国は聞いたことありません。パレスチナは「男女逆転」となる始めての国になったりして。こちらがアラビア半島。パレスチナはイスラエルの内陸にあります。(※国際野球ニュースのカテゴリーに含まれている記事はfacebookにも掲載されている内容のものです。)
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