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パク・ピョンホはイ・スンヨプを超えられるか

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 2013年9月15日、ウラディミール・バレンティンが王貞治のNPBシーズン本塁打記録を超えた日、もうひとつの本塁打記録も塗り替えられた。 シーズン56本塁打。2003年にイ・スンヨプが達成したKBOシーズン本塁打記録であり、達成当時のアジア球界記録である。王貞治の壁に苦しんだバレンティンは、その壁を越えた次の打席であっさりとイ・スンヨプの記録まで塗り替えてしまった。 バレンティンのシーズン60本塁打は韓国球界にも影響が無い訳ではなかった。 今シーズンからKBOでは外国人枠が拡大し、昨年は1人も在籍していなかった外国人打者を9球団全てが1人ずつ獲得した。球団数の増加に伴うリーグのレベル低下を防ぐ目的で、外国人枠の拡大は以前から検討されていた。また近年各球団が獲得する外国人選手が投手(特に先発投手)に偏っていたことから、拡大して3枠(NCは4枠)としたうち1枠は野手とされたが、このような意見も2013年開幕前既に提起されていた。 しかし、外国人枠の拡大、そして2011年以来の外国人打者の復活は興行面でもプラスになるという見解がメディアから出されている。それには、所属チームが下位に沈みながらもバレンティンが本塁打記録更新で日本球界を盛り上げたということが意識されている。 KBOの観客動員は2012年が715万6157名(532試合)、2013年が644万1855名(576試合)となっており、NCの参入により試合数が増えたにもかかわらず、観客数は10%減少していた。外国人枠拡大の背景には、外国人打者を迎え本塁打が増えることによって、それを楽しみに球場を訪れる観客が増加することも期待されていたと見るのである。 2014年、本塁打増加という部分だけを切り取るとKBOの目論見は成功した。現在韓国球界はリーグ防御率5.28と、空前の打高投低時代を迎えている。6月7日の試合が終了した時点でリーグのHR/9は1.00。雑な計算をすると1試合に1チームが1本のペースで本塁打を打っており、ここ10年で2番目に高い数字である。巨砲型の外国人選手を補強したチームもあったため、打高投低を語る上で外国人選手の影響を無視することはできない。だがそれを差し引いてもリーグ全体で打者優位の状況になっている。そしてなにより注目すべきは、特にハイペースで本塁打を放っている選手の存在である。 ホームランを最も量産しているのは外国人選手ではない。2年連続本塁打・打点王のパク・ピョンホである。一昨年31本、昨年37本の本塁打を記録したネクセンの主砲は今シーズンここまで54試合を消化して25本塁打という驚異的なペースを維持している。5月だけでも14本塁打と好調であったが、ここ2試合連続でマルチホームランを放つなどさらに勢いを増してきている。 昨シーズンと今シーズン、KBOの1チーム当たりシーズン試合数は128である。すなわちパク・ピョンホが54試合25本の今のペースを維持したなら、単純計算でシーズン59本を少し上回ることとなる。そして今日8日の試合で本塁打が出たらシーズン60本ペースとなる。まだシーズンの半分も終わっていないので、現時点でそこまで注目される状況には無いが、シーズン後半までペースが衰えず、もしイ・スンヨプの記録の更新が現実味を帯びてきたなら、木洞(モクトン)野球場に足を運ぶネクセンファンが増えるかもしれない。 今シーズン、パク・ピョンホの本塁打25本のうち18本までがホームの木洞野球場で生まれている(追記:現在ホームの試合数の方が4試合多いがそれでもホームに強いことには変わりない)。木洞野球場に行けばパク・ピョンホの本塁打を見ることができる可能性が高いというのは、ネクセンファンにとっては嬉しい傾向であろう(パク・ピョンホの木洞野球場での本塁打は去年が37本中22本、一昨年が31本中12本なので、今年は例年より木洞野球場の比率が高い。同じチームのカン・ジョンホも17本中13本が木洞野球場であり、似た傾向が見られる)。 一方で観客動員と関連して気になることがある。1試合当たりの平均所要時間が昨年よりも延びている点である。リーグ打率.289でリーグ防御率が5.28では必然的にそうなる。さらに守備の時間が長いと、バックを守る野手の集中力も段々と低下して悪循環が起こっているように思う。確かに本塁打の魅力はあるが、打高投低も度が過ぎれば間延びした試合が増えて観客動員に悪影響を与えかねない。 パク・ピョンホがイ・スンヨプのKBOシーズン本塁打記録56を上回ることができるのか、また本塁打増加が観客動員にプラスとなるのか、シーズンが終わって見ないことにはわからない。シーズンはまだ先が長い。どのような結末を迎えるかじっくりと見守っていきたい。

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