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Channel: 野球:海外/独立リーグ
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ベネズエラウィンターリーグ

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(エスタディオ・アルフォンゾ・カラスケル/プエルト・ラ・クルス) 「冬のプロ野球」、ラテンアメリカやオーストラリアのウィンターリーグは、現在佳境に入っている。中南米では、各リーグのチャンピオンシップのあと、その覇者が集う国際シリーズが2月に待っている。コロンビア、ニカラグア、パナマ、メキシコ・ベラクルスの4リーグは、「セリエ・ラティーノアメリカーナ(ラテンアメリカン・シリーズ)」を、ドミニカ、ベネズエラ、プエルトリコ、メキシカン・パシフィックの4大リーグは、「セリエ・デル・カリベ(カリビアン・シリーズ)」を行なう。今年は、前者はコロンビアのモンテリアで、後者はベネズエラのマルガリータ島で開催される。 一時期は、ドミニカが常勝国として君臨していたが、近年はメキシコ、ベネズエラ勢の健闘が著しいカリビアン・シリーズ。今回から2回に分けて、今年の開催国であるベネズエラのウィンターリーグを紹介します。南米といえば、サッカーの本場として知られているが、ことこの国に関しては国際試合での活躍は耳にすることがない。それもそのはず、ここでは野球の人気がサッカーのそれを圧倒しているのだ。古くはA. ガララーガ、O. ビスケル、近年では2012年にア・リーグ三冠王に輝いたM.カブレラなどメジャーリーグにも多くの選手を輩出している。また日本球界でも、阪急ブレーブス黄金時代のセカンド、R. マルカーノに始まり、R. ペタジーニ、それに今年も西武で現役を続行する、外国人選手で初めて2000本安打を達成したA. ラミレスなどそうそうたる顔ぶれが名を連ねる。昨シーズン、シーズン本塁打記録の55本(王、ローズとのタイ記録)をW. バレンティンに破られたA.カブレラもこの国出身である。彼は来日して西武で主力打者として活躍した後も、母国のウィンターリーグに参加し続け、日本球界最後の所属となったソフトバンクを2012年シーズン限りで退団後も、ラグアイラ・ティブロネスでプレー、カラカス・レオーネスとの対戦の第1打席でホームランを放つと、ダイヤモンドを一周した後、ユニフォームを脱ぎ捨て、相手方の捕手をつとめていた息子、ラモンに手渡した。ここで彼は引退を表明するという感動的なかたちで現役に幕を下ろした。個人的には、監督とは話ができていたのだろうか、などと余計なことも考えてしまうのだが(そりゃそうだろう、試合の序盤で突然主力打者が試合に引っ込むどころか、チームから去ってしまうって言うのだから)、そのあたりはいかにも自由奔放な彼らしい。さらに彼らしいのは、この冬のシーズンも「引退」を撤回してラグアイラに復帰。まあ、このあたりは、ラテンアメリカのウィンターリーグでは珍しいことではないのだが、その後がすごい。前年にはすっかり出っ張っていた腹も引っ込み、全盛時の力強いボディラインに戻ったカブレラは、打ちに打ちまくり、なんと三冠王に輝いたのだ。それも、シーズンホームラン記録20本を破る21本まで打って。私がベネズエラを訪ねたのは、まだ彼が西武に在籍していた2001年のことだった。当時は、もう現役メジャーの参加は少なくなってきていたとは言え、ミゲル・カイロ(現レッズ)のメジャー組も参加していいたし、NPBでプレーしていたR. ペレス、C. プリート(元オリックス)らもプレーしていた。しかし、この年、ベネズエラ球界の話題をさらっていたのはアラグア・ティグレスのR. サンブラーノだった。夏はメキシカンリーグでプレーしていた彼もまた、シーズンホームラン記録の20本に挑戦した。結局、彼は19本で臨んだシーズン最終戦で「最後の1本」を放つことができず、19本に終わったのだが、その試合を対戦相手としてネット裏で眺めていたカブレラが今シーズンこの壁を乗り越えたかたちとなった。 治安の悪さが語られることの多いこの国だが、野球観戦に関してはあまり心配ない。一番の人気スポーツだけに、ナイターの試合後も町の中心(セントロ)までの交通機関は整のっている。 気をつけなければならないのは、習慣として試合途中から客を入れなくなることだ。チケットの販売は4回か5回までで、この後はスタンドに空席があってもゲートはクローズされることが多いので注意。ベネズエラリーグの概要 現在のベネズエラリーグは1945年に始まり、現在8チームで構成されている。レギュラーシーズンは10月から12月末までで、かつては東西2地区制で60試合のペナントレースを争い、各地区上位2チームと、残りのうちの最高勝率チームの計5チームが1月のラウンドロビン(総当たり)プレーオフに出場していたが、現在では、地区制はなくなり計63試合の公式戦で上位5チームがプレーオフに進出する。 プレーオフは各チーム15試合。決勝リーグとも言えるこのラウンドの上位2チームが、カリビアン・シリーズへの切符を手にするため、チャンピオンシップを争う。(エスタディオ・ホセ・ペレス・コルメナレス/マラカイ)

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