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Channel: 野球:海外/独立リーグ
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ヨーロッパの「高校野球」の挑戦

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U18の世界野球選手権。日本代表の編成のイメージなどもあって、高校野球の世界一決定戦的な目線で見ている人も多いかもしれない。でも細かい点を指摘すれば、「高校野球」をやっている国は結構少ない。野球に限らない話なのですが、「学校」という単位。要するに部活動としてスポーツをやっているのは主にアジアや北米が中心だったりする。ヨーロッパなどはサッカーなどでご存知のように、学生の世代もクラブチームでプレーするしくみになっている。高校野球が存在する主な国は日本、韓国、台湾、アメリカ、カナダくらいだったりする。フィリピンや中南米、中国にもあった気がするけど。他の参加国は、高校世代の野球選手であるのは間違いないけど「高校野球」の選手ではなかったりするんですよね。今大会のヨーロッパ勢は2枠ということに。招待制になったこと、今回はキューバがしれっと参加していることもあって、昨年の3枠から1つ減っています。その2枠に選ばれているのは、昨年の大会の結果に基づいてイタリアとチェコ。実はこの世代でMLBと契約した選手の数で言えば、現時点で言えば2人いたドイツや、3人くらいいた気がするオランダの方が魅力的だったかもしれない。ちなみに、イタリアは2人、チェコは0人。もちろん、前回大会がそうであったように大会後に契約する選手は何人かいるでしょうけどね。実は、今夏はU18欧州選手権も7月にプラハで開催されていたりする。世界選手権は招待制なので、今回はユーロの結果は特に出場には関係なかったのですが、見事にイタリア優勝、チェコ準優勝(ちなみにオランダは準決勝でイタリアに敗れ3位、ドイツは5位)という結果になっているので、文句のつけようがない。イタリア代表は、前回大会の世代はそこそこ「当たり年」だったように思える。既にカブスと契約を交わし、ルーキーリーグでプレーしていたAlberto Mineo(カブス傘下)を正捕手に据えて、ピッチャーでは後にレッズと契約する、Davide Anselmi(レッズ傘下)、SSにブレーブスと契約することになるMatteo Mercuri(ブレーブス傘下)、そしてU15の世界大会にも出場し、飛び級で参戦したMarten Gasparini (ロイヤルズと契約)をセンターにと、MLBのチームと契約する選手を4人をセンターラインに擁したイタリア代表は、同じ欧州勢のチェコ戦以外全敗したものの、この大会で準優勝するカナダに9回までリードを奪うなど、それなりに存在感は見せてくれた印象。今回はそんな前回大会を超えるような戦いを見せて、「当たり年」と言われる世代が当たりではなく、イタリアの高校世代のスタンダードであることを証明する戦いにしたいところ。今回も、それが期待できそうなメンバーは揃っていると思います。投の中心は、前回大会にも出場した前述のAnselmiが現役プロ野球選手として出場。18歳以下なら早生まれでも、プロと契約していても別に問題がないのがこの大会ですからね。その気になれば日本だってプロ野球でプレーしている18歳の早生まれの選手も呼ぶことが出来ます。ただAnselmiはルーキーリーグでは3試合に登板で1.1イニングしか記録していない。2失点していて防御率は6.75。プロの壁に完全にぶつかってます。とはいえ、前回大会はカナダ戦に好投。プロとしてしか得られない経験値もあるでしょうし、そういった成長の部分を見せてくれるピッチングに期待したいですね。彼と並ぶもう一人のエース格がU18ユーロでは決勝で先発するなどこの世代で中心的な役割を果たしているSamuel Silvestri(ボローニャ・アスレチックス)。イタリアリーグの下の二軍チームやアマチュア最高峰のセリエAのチームが混在するIBL2-セリエAに普段は軸足を置いてプレーしており、外国人選手や成人選手が中心のこのリーグで防御率はリーグ5位の1.45、三振は37イニングで60奪三振と圧倒的な数字を残しています。彼もAnselmiのように大会後に渡米の話が待っているかもしれません。 Lorenzo Gradali(クロッセータ)もIBL2-セリエAで防御率8位の1.68、三振も69イニングで89奪三振を記録していて、この3人が先発の基本線になってくると思われます。他には、イタリアリーグでピッチャーとして一番出場機会を既に得ているMatteo Spada(パルマ)あたりが、ここでは挙げておきたい名前でしょうか。打の中心はなんといっても前述のGasparini。前回大会は15歳で出場。今年に入って、カンザスシティ・ロイヤルズと欧州出身選手史上最高額の130万ドルで契約した、ヨーロッパ野球史上最高の素材です。前回大会はMercuriがいたこともあって、本職のSSではなくCFでの出場でしたが、欧州選手権ではSSでプレー。この大会でもそうなると思います。まあ向こうのスカウト内野手より外野手の方が向いているって考えてるみたいですけどね。ユーロも6試合6失策でしたし。ジャマイカの血も流れていることもあって、身体能力が高くすべてのツールの評価が高い選手。打者としてはコンタクトヒッタータイプだと思います。契約はしましたが渡米するのは高校卒業して18歳になってからになるので、ここでの経験も貴重な財産にして欲しいですね。前回大会はなかなか打ててませんでしたから。他には、ユーロで.409 1本塁打を記録したAlnel Joel Valera (Pianorese)や、IBL2-セリエAで3割をマークしイタリアリーグのトップチームでのデビューを果たしているLorenzo Fabbri(リミニ)、サンディエゴの高校でプレーしているGiovanni Garbella あたりの名前が挙げられます。他にも2人、イタリアリーグトップチームでの出場経験のある選手が野手では代表入り。「高校野球」の国と違って既に大人に交じってレベルの高い野球を経験できているのがイタリアのこの世代の有利な点でしょうか。マイナーリーグに輸出するまでの過程としても、魅力的なシステムかもしれません。試合数が多くないのが課題ですが・・・。結果も重要ですが、イタリアの選手たちにとってこういった世界の野球に触れることも貴重な機会。レベルも当然違いますが、「質」も全然違う野球を経験できるチャンスは少ない。特にアジアのチームはメジャー式の欧州では経験できない野球スタイルですし、高校世代ながら育成というより勝つことに軸足を置いた完成度の高い「高校野球」はいい経験になるんじゃないでしょうか。今回日本と違うグループなのが非常に残念ですが。最後に日本と当たるチェコの話もちょっと。正直言うと、イタリアのようなパーソナルなデータはほとんどないのですが・・・。 U18代表のチームとしての活動は結構長い。今年地元プラハで開催されたU18欧州選手権だけでなく、7月上旬には同じくプラハで開催されたプラハベースボールウイークという招待制の国際大会でもU18代表として参戦。欧州の成人のナショナルチームなどと対戦してチームとしての経験値も増やしていますね。チェコは下の世代の底上げには余念がない国で、欧州の大会では結果を残し、世界大会にも積極的に出場してくる感じ。先日まで行われていたリトルリーグワールドシリーズにチェコのチームが出場していたのも記憶に新しい。中心選手として名前を挙げるなら、4番でショートを務めるAdam Hajtmar(ドラッシブルノ)になるかと。チェコの国内リーグで圧倒的な強さを誇るドラッシ・ブルノで既に主力としてプレーしている選手ですね。ドラッシは欧州のカップ戦ではイタリアやオランダのプロやセミプロのチームを倒すような実力のあるチームでして、日本で言うと大学や社会人のチームと遜色ないレベルにあると思います。そこでこの年齢で出番を得ているわけですから、そうとう期待値は高いかと。成人のナショナルチームに入ってくることはもちろん、MLBのスカウトがターゲットに置いている選手の一人なんじゃないでしょうか。ピッチャーに関してはそこまでたいしたのはいないと思います。僕が把握できてないだけなのかもしれませんが笑ただ、120キロ-130キロぐらいでボールをかなりうごかしてくるのがチェコのピッチャーの特徴。ハードシンカーを多投してくるピッチャーもちょいちょいますね。外人特有の歩幅の狭いフォームやインステップ気味のフォームで動かしてきますし、サイドのピッチャーも伝統的に生み出しているイメージ。守備力がアレなので少なくともある程度点は取れると思いますが、ただでさえ木製バットに不慣れな日本の選手たちにとっては、日本じゃ経験できないタイプも多いチェコのピッチャーは結構ストレスの溜まる相手かもしれません。負けることはないでしょうが、実力差ほどの点差は開かないかもしれない。余談ですが、なんとなくU18チェコ代表のロースターを眺めていたら打撃コーチにパベル・ブドスキーの名前が。昨年引退した元チェコ代表&ドラッシブルノの巨漢の4番打者です。ロイヤルズとマイナー契約していたころはピッチャーだったんですが・・。このブログをよく読んでくれてるような人はご存知だと思いますが、ブドスキーといえば2007年の北京五輪プレ大会で大場翔太からホームランを打った男ですね。あの試合も坂本勇人や前田大和がチェコのピッチャーを打ちあぐねて延長までもつれてしまった試合でした。あんな試合にはならないといいね(笑)おそらく、高校野球のオールスターが出場する高校日本代表のニュースは大会が始まれば結構報道されることも多いと思います。そっちも夢があって結構楽しみなんですが、ヨーロッパの「高校野球」にもふと目を向けてみてはいかがでしょうか。欧州野球のレベルアップを直に感じることが出来るんじゃないかと思います。

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