この国際野球ニュースはfacebookにリアルタイムで掲載されています。●アジア選手権のパキスタン代表監督に日本人の色川冬馬氏が就任(5月31日)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201505/20150531_14002.html
以下、本文からの引用。>野球の前イラン代表監督で仙台市出身の色川冬馬さん(26)が、パキスタン代表監督に就任する。契約期間は9月に台湾で行われるアジア選手権終了まで。色川さんは「目標はアジア4強。ハードルは高いが全力を尽くす」と燃えている。 色川さんは聖和学園高で主に外野手としてプレーした。仙台大で情報戦略を学びながら、米大リーグ入りを目指し独立リーグやメキシコ、プエルトリコのリーグなどに挑戦。2013年に現役を退いた。その後、知人のつてで同年秋にイラン入り。14年秋からイラン代表監督を務めていた。 イラン代表を率いて挑んだ2月の西アジアカップで銀メダルを獲得。16年間国際大会でわずか1勝だった同国を準優勝に導いた手腕が評価された。同大会後、パキスタン連盟会長から「(野球先進国の)日本人だからお願いするのではない。君の指導が欲しい」と説得され、「心を動かされた」(色川さん)という。 パキスタン代表の目標は、強豪国の日本や韓国、台湾、中国に割って入ること。当面は打倒中国を掲げる。「粗削りだが140キロを投げる投手や、本塁打を打てる打者がいる。守備も含め、やれることはたくさんある」と意欲を示す。 色川さんがイランからパキスタンに移るのは、西アジアの野球レベル向上のためでもある。パキスタンがアジア選手権で4強に入れば、次大会の予選は免除され、西アジアの代表枠が空く。予選の西アジアカップで2位に入ったイランは、次回の本戦出場へ道が大きく開けることになる。 8月上旬にパキスタンに渡り、国内リーグを視察して選手を選考、代表合宿に入る予定だ。「西アジアの野球を取り巻く環境は厳しいが、わくわくすることが好きだから」と新たな挑戦に胸を躍らせている。(引用ここまで)台湾で9月に行われるアジア選手権を目指して、イラン代表監督だった色川冬馬氏を招聘したようです。西アジアカップでの評判も非常に高かったので、引く手あまただったのではないでしょうか。決してイランから「乗り換えた」というわけではなく、イランの国際大会がしばらくないこと、そして本文にもあるようにイラン代表の「椅子」を空けるためという側面もあるようです。まあ、アジア選手権の出場枠なんかは都合よく理由は後付けでコロコロ変わってしまうのですが・・。目標は「打倒」中国らしい。知ってる人は知っていると思いますが、中国は世界大会規模だと弱小国ですが、アジア全体で言うとかなりの強豪です。中国代表が国際大会に参加し始めた1980年代以降、一度もアジア3強相手以外ではアジアで負けたことはないはずです。いわゆるアジア第二グループの国々にとって大きな大きな壁の一つ。レベル的には高校野球の2回戦くらいと大学野球くらい違います。 昨年の仁川アジア大会でもパキスタンは中国を倒しての準決勝進出を目指していましたよね。「距離感」を本当に理解して言っているのか、とも思ってしまいましたが実際の試合では終盤まで接戦で食らいつき善戦しました。この経験は大きいかもしれない。パキスタンの野球は打者はスイングがシャープで、投手も130キロクラスも何人かいますね。現在のアジアでの位置づけは中国、フィリピンに続く6番目。代表の大半が警官や軍人。身体能力が高く、職業柄規律もしっかりしている一方、十代後半に野球を始めた人が多く、指導者も独学なので非常に荒削り。動きもクリケット式の独特なもので、野球のセオリーやルールも深く理解していないイメージです。以前からポテンシャルは非常に高い国と言われており、この短期間で動きが我流のパキスタンの選手にどうのように日本式の野球を落とし込んでいくか。そこが焦点になってくるのではないでしょうか。パキスタンも長らく維持している「西アジア最強」からさらにもうワンステップ進めるチャンス。また、中国だけでなくフィリピンも現状では実績ではパキスタンより格上なので、そこも注目したいところですね。●欧州のクラブ王者を決める戦いが開幕(8日)
http://www.mister-baseball.com/european-cup-rotterdam-finals-day-june-7-2015-eurocup2015/
クラブ欧州ナンバーワンを決めるヨーロピアンカップ(野球の欧州CL)の1次リーグが先週から行われてしましたが、日曜日に行われた最終日の結果、ボローニャ(イタリア)とネプチューンズ(オランダ)が8月に行われる決勝進出を決めました。6チームずつ二つのグループに分かれていましたがそれぞれを振り返ってみます。パリで行われていたAグループはサンマリノ(イタリア)、ボローニャ(イタリア)、ソーリンゲン(ドイツ)、アムステルダム(オランダ)、ブレスト(ベラルーシ)、パリ大学クラブ(フランス)という組み合わせ。総当りをやった後に、1位と2位でグループの決勝戦をやるという方式でした。グループ決勝はアムステルダム対ボローニャという組み合わせ。ここ数年はイタリアのクラブがオランダより優位に立っており、イタリア勢同士の決勝もあるのかなと思っていたのですがそうはなりませんでした。決勝は1-2でボローニャの辛勝。アムスの先発ヘイステック(欧州選抜で来日していたWBCオランダ代表)はよく投げたのですが・・・。総当りでは大きな番狂わせはなし。ロッテルダムで行われていたグループBはセナート(フランス)、ドラシ・ブルノ(チェコ)、リミニ(イタリア)、ヘイデンヘイム(ドイツ)、ネプチューンズ(オランダ)、KNTU(ウクライナ)という組み合わせ。欧州一リッチなクラブチームとも言えるリミニが決勝進出が濃厚で、残り一枠をドラシとネプチューンズで争うのかな・・という見立てだったのですが、リミニは最後の2試合でドラシとネプチューンズに連敗し敗退というまさかの結末。決勝はドラシ対ネプチューンズという形になりました。試合はネプチューンズが終盤に試合を決め、8-2で勝利。侍ジャパン戦でも好投したマークウェル(オランダ代表)が勝ち投手。欧州ナンバーワンを決める決勝はイタリア勢対オランダ勢という欧州野球の両雄対決。イタリア勢は現在この大会を6連覇中です。クラブチームになると、外国人選手(特に投手)に強力な選手を揃えるイタリア勢が有利になってくるようです。決勝戦は8月におそらく3試合制で行われるものと見られます。イタリア勢の天下が今年も続くのかそれとも・・・。●元スペインリーガーがメジャー昇格(9日)
http://www.mister-baseball.com/sant-boi-san-marino-hurler-junior-guerra-reaches-big-leagues/
昨年イタリアリーグの強豪、サンマリノでプレーしたベネズエラ出身のJunior Guerra(ホワイトソックス)がメジャー昇格を果たしたようです。この選手、イタリアだけでなく、2010年にはスペインリーグのサントボイでもプレーしていた選手ですね。スペインには中南米出身でMLB傘下では十分なキャリアを積めずに流れ着いた選手が多いんですよね。侍ジャパンと対戦した欧州選抜のオスカー・アングロ(ベネズエラ出身のスペイン代表)に代表されるように、日本の独立リーグのチームが獲れば面白い掘り出し物、結構いるんじゃないでしょうか。第二のカラバイヨやデニングは、思われているよりも幅広いところにいる可能性があるかと。それにしても、こういった選手を逃さないMLBのスカウト体制も流石ですね。●中国野球リーグが開幕(13日)
http://www.ibaf.org/en/news/2015/06/06/china-pro-baseball-league-opens-2015-season/70e77c47-a6c3-4428-8d72-ddec77baa17f
中国野球リーグ2015、無事先週から開幕しております。1部は天津ライオンズ、北京タイガース、広東レオパーズ、江蘇ペガサス、上海イーグルス、四川ドラゴンズの全6チーム。レギュラーシーズンは20試合ということらしい。昨年復活した中国野球リーグは大きく様変わりしています。前にも書きましたが、中国の野球選手は「公務員」として国から得られる給与で生活しています。プロ野球や独立リーグのように入場料やスポンサー収入といった「野球」で得た収入で賄っているわけではありません。その形で成り立ってしまっていた以上、基本的に中国の野球リーグは「興行」としての意識が非常に希薄でした。特にお客さんを呼ばなければいけないという必要性がなかったわけです。「見るスポーツ」として野球の裾野を広げようという意識は少なく、特にリーグ戦は選手が実力を磨くために存在する内向きのものだったという印象です。成績すら開示されていませんでした。いつどこでやっているのかも分かりづらかった。中国がもうワンステップ次に進むためにはピラミッドの頂点を強化する北京五輪前のようなやり方では限界が見えており、中国リーグが今回のチケットの有料化など「興行化」「商業化」の路線を進み始めたことはピラミッドの底辺を広げなくてはならないという現在の中国野球の課題とマッチする取り組みですよね。リーグ戦に関してはやはり昨年も中国シリーズに進出した北京、天津が優勝候補と言えるでしょうか。天津は今のところ主力を使わずに戦っているようですが・・。広東は世代交代がスムーズに進んでおらず、6年前に全国運動会(国体)を制覇した力は残っていませんね。江蘇は数年前に誕生したMLBアカデミーがちょくちょく人材輩出源になっており、面白い若手が徐々に出てきているようです。上海も野球の強豪校からルートを確保しているようなので、若い選手が出てきています。四川はこの面子の中じゃ落ちますかね・・。7月にはユニバーシアード(韓国)で日本と同グループですがリーグでプレーしている選手が中国代表の大半を占めています。9月にはアジア選手権(台湾)もありますよね。すぐに成果は出ないかもしれませんが、停滞が続いていた中国野球の逆襲が始まる年になるのかもしれません。●パンアメリカン競技大会のカナダ代表が発表(18日)
http://press.olympic.ca/canadian-mens-baseball-team-nominated-for-toronto-2015
7月にトロントで開催されるパンアメリカ(南北アメリカ)競技大会のカナダ代表が発表されたようです。
AA-AAA級でプレーする中堅・ベテランの選手はほぼ満遍なく入っている印象ですね。アダム・ローウェンやジェフ・フランシス、ピート・オーアなどMLBでバリバリプレーしてた期間もあるベテランも多く名を連ねています。あとは元ヤクルトのクリス・ラルーだとか、去年韓国のハンファにいたアンドリュー・アルバースだとか。WBC(2013)やWBC予選(2012)のメンバーが大半。今回のパンアメリカン大会はMLBの40人ロースター外という制限がかかっています。今年11月に行われるプレミア12もてっきり五輪やワールドカップ同様25枠外かと思ってたのですが、どうやら40枠外っぽいんですよね。カナダはほとんどプレミア12と今回のメンバーが共通するはずですね。アメリカやキューバにも言えることですが、プレミア12を占う大会にもなるはずです。地元のカナダは実はディフェンディングチャンピオンだったりします。前回はキューバや同じくマイナーで編成されたアメリカを上回っての優勝でした。プレミア12でもあまりマークされそうにない国なんですが、結構ダークホースになりうるんじゃないかなー、と。若い選手はあまり詳しくないのですが、聞いたところによると今年マイナーで既に14HRを記録しているタイラー・オニール(マリナーズ傘下/OF)や地元ブルージェイズの傘下でプレーするシェーン・ドーソン(LHP)はそれなりのプロスペクトらしいです。
Shane Dawson(TOR)
https://t.co/bYIOKPYc2x
ソリッドなLHPプロスペクト。小柄でスタッフも平凡だが、スライダー&カーブをコマンド良く扱う。PGショーケースのデータから40ポンド体重がアップし、球速も82マイルから80マイル後半へとアップ— NPB Prospect Watch (@NPB_Prs_Watch) 2015, 6月 18
Tyler O'Neil(SEA)
https://t.co/CNkMMP78zH
カナダメンバーではベストプロスペクト。小柄もムキムキなフレームでBrett Lawrie(OAK)と比べられる。元々CもアスレチックでOFとしても大丈夫との評価。パワーも◎だがアプローチが粗い— NPB Prospect Watch (@NPB_Prs_Watch) 2015, 6月 18
●藤川球児凱旋試合でブルキナファソ出身のサンホ・ラシィナが奮闘(21日)私は高知県民なのでフィーバーぶりを直に体験しているのですが、本当に凄いです。反動がちょっと怖いくらい。県民性も考えると(笑)で、ここで僕がしたい話は藤川投手の話ではなく、この試合にサードでスタメン出場したブルキナファソ出身のサンホ・ラシィナ選手の話。ラシィナは選手登録されていないのでこういう非公式の試合でしか見ることができません。今年は四国銀行との3月の練習試合で最後にセカンドの守備に就いてたのを確認していましたが、今日はしっかりと何度か守備機会を確認できました。今日はサードの守備に就いていたのですがしっかりと無難に捌いていました。スローイングも含めて違和感なし。
17歳でこのくらい守れたら将来が楽しみです。公式戦でも使える水準に達しているのではないでしょうか。さて、今日の試合は蒋智賢と林哲瑄というアメリカ帰りの台湾代表コンビが台湾に戻っているので欠場。おそらくはこのまま退団し、この後行われる台湾プロ野球のドラフトを経て母国に籍を移すことになるのではないでしょうか。寂しさはありますが、NPBに同じ外野手のデニング(ヤクルト)やペレス(阪神)が独立リーグから移籍したことが一つの彼らに対する答えだったんじゃないかなと。台湾の場合アマチュアから直接MLBへ挑戦している選手が多く、国内のプロ野球へいく場合はシーズン中に行われるドラフト会議を待つ必要があります。台湾出身の元マイナーリーガーが日本の独立リーグでプレーしながらNPBから声がかかるのを待ちつつ、ドラフトを経て台湾に戻る、というケースは今後も出てくるのではないでしょうか。これもまた、一つの独立リーグのあり方なんじゃないかなー、と。●プレミア12、メジャー組は不参加へ(22日)
http://www.cna.com.tw/news/aspt/201506220342-1.aspx
プレミア12のスケジュールが本日発表されましたが、日本と共催する台湾の現地記事。
MLB選手の出場について、台湾の国際野球の窓口になっている中華民国野球協会(台湾のアマチュア野球連盟)の林宗成秘書長によれば「25人ロースターはほぼ不可能、40人ロースターか、40人ロースター外の選手の出場が可能か否かだ。現在、WBSCとMLBが話し合いを行っており、2週間以内にも決定するだろう」とのことです。以前お伝えしたベネズエラの現地記事だと「40人ロースター外」とのことでしたが、まだ制限が25人ロースターにとどまる可能性はあるようですね。どのみちメジャーリーガーが出ないことは明らかですが・・。ちなみに、オリンピックやワールドカップは25人ロースター外でした。
NPB側はメジャーリーガーの出場の可否については「まだMLB側の態度が決まっていないと」答えていますね。彼らの立場を考えると、そう答えるのが精一杯なんじゃないかな、と思います。ただ、いつかは分かってしまうことなんですよね・・。
MLBの選手が出るか出ないかは、MLBの外側の人間にはコントロールしようがないことなので、仕方ない。ただ、メジャーが出ないなりにこの大会をより本物の大会に育てていこう、という意気込みが見えてくるかというと、決してそうとは思えない。特にウインターリーグと時期がバッティングする国がプエルトリコ、ベネズエラ、メキシコ、ドミニカと4ヶ国もあります。WLサイドと主催者側はプレミア12について協議した形跡は現地記事を読む限りはなく、シーズンを中断したり、選手がチームを抜け出してプレミア12に参加することはなさそうです。選手を「引き抜く」形になってもそれはそれで大事になると思いますが・・。どのみちメジャーリーガーの出ないマイナーリーガーの集団なら、WLの選手が参加しようがしまいが一緒と思う人も多いかもしれませんが、そんなことはないと思うのは自分のような海外野球オタクだけなんですかね・・。「非メジャーのベストメンバー」で編成されるのなら、カリブ勢はメジャーリーガーいなくてもそれはそれでそれなりに魅力的なチームになると思います。後のスター選手を多く生み出したオリンピックやワールドカップのアメリカ代表のように。逆に、想定されているようにWLでプレーする場所のないような水準の選手が集まる感じになるとすれば、侍ジャパンのトップチームならどのチームにも大勝して欲しいくらいのクオリティですね。日本の組み合わせにカリブ勢が多く組み込まれているのも、察するにそういうことなんでしょう。この大会は特にとにかく興行面の成功が一番大事です。そこが優先されてしまうことは十分に理解できることです。ただ、この大会をより「本物」に近づけていくことも意識の片隅には持っておいて欲しいところですね。●パキスタン野球連盟会長のインタビュー(26日)
http://nation.com.pk/sports/05-Mar-2015/baseball-progressing-rapidly-in-pakistan-fbp-chief
パキスタン野球連盟の会長のインタビューが現地の新聞に載ってました。>next target which was to beat mighty China in the Asian Baseball Championship in September this year in Chinese Taipei
>“If we carve out victory against China, we will jump into top four in Asia and thus qualify for the Baseball World Cup.”と、9月のアジア選手権で中国を倒すことにしか眼中にない感じです。フィリピンも一応格上なのですが、どうせ目標にするなら中国がちょうどいいのでしょうね。このインタビューには出てきませんが、イラン代表の監督を務めていた日本人の色川冬馬さんをアジア選手権に招聘することが決まっております。それについては以前(http://www.plus-blog.sportsnavi.com/sekainokakyu/article/557)にも書きましたが。ところで、最後の部分が気になるなあ。中国に勝ったらWBC(予選?)に出られるかのように言ってるけど、根拠はあるのかな。今回は新しい国が呼ばれることはないように思いますが、前回のWBC予選に出ているタイよりはパキスタンの方が最近の成績を考えても妥当なのかな、というのも事実です。
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