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日韓プロ野球公認球の反発係数検査方法を比較する

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 先日、韓国プロ野球統一球導入問題について扱ったが、反発係数等の検査方法が日本と同じなのかどうかに関して疑問を持つ人もいたのではないかと思う。そこで両国の反発係数検査方法を確認して比較してみよう。<日本>反発係数の基準:0.4134~0.4374(~2013年)→0.4034~0.4234(2014年)→0.4134を目標値(2015年~)検査場所:日本車両検査協会事前保管:温度22度、湿度60%の保管庫に48時間以上(2014年基準)対象選択:各球場から12球ずつ抽出(2014年4月後半からは納品前検査に変更)検査方法:特注のピッチングマシンから秒速30~70メートルまでの6段階の速度で約2メートル先の鋼鉄製の壁にぶつけ、跳ね返ってくる速度を計測。反発係数は秒速75メートルで発射して跳ね返った際の数値が基準となっているが、機械では秒速70メートルまでの球速しか出せないためコンピュータで計算して数値を出す(参考記事の一番上の日経新聞の記事に写真あり)。☆参考記事日経新聞記事 http://www.nikkei.com/article/DGXNASFK16022_W4A410C1000000/ 日刊スポーツ記事 http://www.nikkansports.com/baseball/news/f-bb-tp0-20140416-1286265.html 産経新聞記事 http://www.sankei.com/sports/news/140416/spo1404160033-n1.html <韓国>反発係数の基準:0.4134~0.4374 検査場所:韓国スポーツ開発院(国民体育振興公団傘下)(※1)対象選択:各球場から12球ずつ抽出(KBA使用球やメーカーのボールを検査する場合も12球ずつ)事前保管:温度23度、湿度50%の保管庫に3日(2014年基準)検査方法:2004年(※1)に国民体育振興公団が米国ASTM(米国材料試験協会)の諮問を受けて作った装置を利用。装置のパイプにボールを入れ高圧ガスでボールを金属板に向けて発射し跳ね返ってくる速度を計測。低速から高速まで6段階(2014年5月のキム・ユジョン記者の記事)あるいは秒速20、30、40、50、60、70、75、80メートルの速度(2014年10月のパク・トンヒ記者の記事)で順に衝突させ、12個のボールを秒速75メートルで衝突させた際の数値を基準として平均を求めて合否を決める(各参考記事に写真あり)。なお検査結果は昨年初めて公表され、今年は現時点で4月と6月の計2回公表された。☆参考記事パク・トンヒ記者 http://sports.news.naver.com/sports/index.nhn?category=general&ctg=news&mod=read&office_id=295&article_id=0000001265 キム・ユジョン記者 http://sports.news.naver.com/sports/index.nhn?category=kbo&ctg=news&mod=read&office_id=456&article_id=0000000443 スポーツ東亜 http://sports.news.naver.com/sports/index.nhn?category=kbo&ctg=news&mod=read&office_id=382&article_id=0000124137 <比較> 韓国の公認球の反発係数は、かつて日本車両検査協会に持ち込んで検査していたこともあり、基本的には日本と同様の手順を踏んで検査を行っている。また反発係数の基準も当初は日韓で同じであった。韓国は反発係数の基準、検査方法ともにアメリカ式ではなく日本式で行ってきたことが分かる。若干異なる点としては検査直前の保管が挙げられる。日本の方が湿度で10%高く、韓国の方が温度で1度高い。また2014年の記事によると韓国では秒速75メートルでの発射を実際に行うことができるが、日本では秒速75メートルでの発射ができないため実測値ではなく計算値となっていることにも注意が必要である。 検査方法はほぼ一緒と見て良いが、日本で検査した場合と韓国で検査した場合とで必ずしも数値が一致するとは限らない。パク・トンヒ記者によると2010年に国民体育振興公団に検査を任せた際には日本車両検査協会の測定値とほぼ同じであったとするが、2011年に国民体育振興公団に依頼して検査したところ、日本の統一球(ミズノ社)は日本で検査した場合よりも反発係数の値が大きかった(※2)。 日本と韓国では保管の温度と湿度が異なるのでその影響も想定されるが、日本の統一球をどのような形で入手して持ち込んだのか詳細が書いていないため、韓国に持ち込む以前の段階でボールの品質が変化していた恐れもあり、日韓で日本の統一球の検査結果が異なった原因が検査方法の微妙な違いにあるのか、検査する装置にあるのか、あるいは日本から持ち込んだボールの質的変化にあるのか定かではない。前2つの原因であれば検査での何らかの違いが反発係数の測定値に影響したこととなり、後者であれば検査自体ではなく持ち込んだボールの問題ということになる。 以上、検査の基本手順は同じであるが、日韓の公認球の反発係数を単純比較して良いかどうかの結論を出すことは難しいと言える。日本の場合においても、日本車両検査協会と同じ機械で行ったミズノ社の自社検査の結果と同協会の検査結果には誤差が生じており(参考記事のスポニチの記事)、ちょっとした検査環境の違いが検査結果に影響を及ぼすのかもしれない。☆参考記事スポーツソウル http://sports.news.naver.com/sports/index.nhn?category=baseball&ctg=news&mod=read&office_id=073&article_id=0002108718 スポニチ記事 http://www.sponichi.co.jp/baseball/news/2014/04/17/kiji/K20140417007989810.html ※1 パク・トンヒ記者によると、2007~2009年は韓国の生活環境試験研究院及び日本車両検査協会で検査していたが、2010年頃に国民体育振興公団傘下のスポーツ用品検査所が施設を整え、科学的、体系的な検査が国内でできるようになったとする。一方キム・ユジョン記者は、国民体育振興公団は2007年からKBOの要請を受けて反発係数を検査していると伝える。 一旦過去のニュース記事を調べてみたところ、2007年に生活環境試験研究院及び日本車両検査協会で検査したこと、2009年に生活環境試験研究院及び体育科学研究院(国民体育振興公団傘下)で検査していたことが確認された。この他、1999年にはイ・スンヨプが37試合で20本塁打を達成したことから、公認球を日本車両検査協会に持ち込んで検査している。☆参考記事 2007年記事 http://sports.news.naver.com/sports/index.nhn?category=kbo&ctg=news&mod=read&office_id=109&article_id=0000062156 2009年記事 http://sports.news.naver.com/sports/index.nhn?category=kbo&ctg=news&mod=read&office_id=001&article_id=0002460434 1999年記事 http://sports.news.naver.com/sports/index.nhn?category=sports_general&ctg=news&mod=read&office_id=001&article_id=0004513809 ※2 NPBは2011年の反発係数の検査結果を4回分公表したが、順に0.411、0.411、0.408(違反)、0.405(違反)であった。しかし韓国の体育科学研究院(国民体育振興公団)で検査した時には0.4258と日本の検査結果よりも大きな値が出て、韓国の公認球の平均値(三社のうち最少が0.4138、最大が0.4254)すら上回った。なお韓国では2014年及び2015年の公認球反発係数はスポーツソウルの記事に載っている2011年の検査結果より高くなっている。◎2007~2014年のKBO公認球反発係数推移はパク・トンヒ記者の記事の中に表があります。また2015年の公認球検査結果は過去記事韓国プロ野球統一球導入問題の後ろの方に載せています。なお2013年まではKBOが検査結果の詳細を公表していなかったため、パク・トンヒ記者は2013年以前のデータを各メーカー等に問い合わせて作成したようです。自社検査の結果である可能性もあり、必ずしもKBOの検査結果であるとは限りません。

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