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【BCリーグ・4】2014年8月23日/富山サンダーバーズ vs 石川ミリオンスターズ/県営富山野球場(富山県富山市)

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富山サンダーバーズの試合を3ヶ月ぶりに見に来た。この日は夏の甲子園が休養日なので、家にいてもすることがなかったからだ。 5月にも来た県営球場だが、外壁が作業足場で覆われていて驚いた。改修工事中のようだ。試合会場を間違えたか?と一瞬思ったが、ちゃんとやっていた。またこの日は浴衣や甚平を着ていると入場料が500円になるとのことで(通常は1200円)、私は甚平姿で来場した。普段はこれで外出することがないので、何だか落ち着かない。そしてスタンドを見て驚愕した。浴衣姿の観客なんて全然いないじゃないか!試合が始まってからざっと数えてみたのだが、甚平も浴衣も各4、5人ずつ。合計で10人もいなかった。球団の広報不足か、それとも球団の財務状況を考えてあえて定価で入る優しいお客さんばかりなのか。どちらにしても律儀に甚平を着て来た自分がおバカさんみたいだ。試合開始前にCheerty’s(チアティーズ)によるパフォーマンス。この日は浴衣をモチーフにした特別衣装だ(マスコットのライティーも含めて)。うちわを振ってのダンスを披露していた。しかし、スタンドよりもグラウンドのほうに浴衣姿が多いとはどういうことだ?両チームの選手たちがグラウンドに整列。サンダーバーズのチームカラーは緑なのだが、この日は青いユニフォームだった。背中の選手名が漢字で書かれている。このバージョンは初めて見た。何種類あるのだろう?そして試合が始まってからわかったが、このユニフォームの色は対戦相手の石川ミリオンスターズと被っていて見分けにくい。そこは配慮してくれよ。ホームベースのところでサンダーバーズの吉岡雄二監督とミリオンスターズの森慎二監督(元・西武ライオンズ)が握手を交わし(写真左端)、選手は一度ベンチに引き揚げる。チアティーズと観客からも拍手が送られる。ここまでの成績は、サンダーバーズが9勝10敗1分で2位、ミリオンスターズが8勝8敗2分で1位。わずか0.5ゲーム差だ。後期はサンダーバーズがずっと1位だったのだが、前日の直接対決をミリオンスターズが9-1で制して順位が入れ替わったばかり。この試合も首位争いの天王山だ。定刻の14時に試合開始。サンダーバーズの先発はエースの高塩将樹投手。私が見た5月3日の群馬戦ではラミレス選手やカラバイヨ選手と対戦していたが、あいかわらず球が速い。140km/h台後半のストレートで打者に立ち向かっていた。1回表のミリオンスターズは無得点。 1回裏のサンダーバーズの攻撃。先頭の野原選手(元・阪神タイガース)がヒットで出塁し、盗塁と暴投で3塁に進む(写真)。3番の大上戸選手(6番)はダブルプレーに倒れたが、その間に野原選手が生還。サンダーバーズが幸先よく1点を先制した。 2回表も高塩投手が好投した。すると2回裏もサンダーバーズは6番の佐々木選手が四球で出塁(写真)。1アウト1塁としてミリオンスターズ先発の山中投手に揺さぶりをかける。山中投手はコントロールが定まらず、ノーヒットで2アウト1、3塁のピンチを背負う。打席には9番の佐伯選手(写真)。ここで見事にヒットを放ち、サンダーバーズがまた1点を追加した。この後さらに2アウト満塁と攻めたが、この回は1点止まり。 3回も高塩投手が快調にゼロ行進を続ける一方で、山中投手は不調なまま。2アウトからヒットと四球でランナーを溜めてまたしても2アウト満塁(写真)。スタンドからも「そのピッチャーあっぷあっぷだぞーー!」、「鈴木ぃーー、ボールよく見ろよーー!押し出しでいいぞーー!」とヤジが飛ぶ。プロのスポーツ興行においてプレーに関するヤジは全然ありだと私は思う。それも含めてのスタンド生観戦だろう。プレー以外の中傷は控えるべきだが。鈴木選手はボールをよく見て粘ったものの凡退(写真)。追加点は奪えなかった。2回、3回とサンダーバーズは2アウト満塁のチャンスを活かせない。せっかく相手ピッチャーが機会をくれているというのに。この拙攻が後半に響かなければいいのだが。 4回表も高塩投手がマウンドに上がり、無失点。ここまで散発3安打と絶好調だ。先発ピッチャーがいいと安心して見ていられる。ちなみにこの日の天気はくもり時々晴れ。気温は30℃を超えているが、耐えられないほどではない。時々球場の上空を飛行機が飛んでいく(写真上)。 4回裏は先頭の9番の佐伯選手がアウトになったが、1番の野原選手と2番の岡野選手が連続してデッドボールをくらう。山中投手のコントロールがいよいよひどくなってきた。岡野選手は当たり所が悪かったのか、しばらく立ち上がれず(写真)。1塁側スタンドからも「うちの岡ちゃんに何すんがよーー!!(富山弁)」と激しくヤジが飛んでいた。ノーヒットで得た1アウト1、2塁のチャンスで打席には3番の大上戸選手。1回は併殺打だったが、ここでは見事にタイムリー2ベースヒットを放ち、野原選手が3塁から生還した(写真)。これで3-0だ。ここでミリオンスターズは先発の山中投手をあきらめて、2番手の南投手に交代(写真)。山中投手は制球が定まらず、5安打に7四死球が絡んでの3失点。しかもまだ1アウト2、3塁のピンチだ。ミリオンスターズはここが踏ん張り所である。 1塁側スタンドでは応援団がトランペットで『こきりこ節』を演奏し、ファンがタオルを振り回して選手を後押しする。野球っぽい雰囲気になってきた。代わった南投手は4番のニック選手を打ち取ったが、続く5番の板倉選手(写真)にセンター前に弾き返されて2失点。5-0とサンダーバーズがリードを広げた。これはもろに先発投手の差である。高塩投手は5回表に1点を失ったが、5回を終えて5-1とサンダーバーズがなおもリード。グラウンド整備の時間にはまたチアティーズが登場してダンスを披露していた。浴衣姿を見ていると、過ぎていく夏が惜しく感じられる。 6回裏のサンダーバーズの攻撃を前に、ミリオンスターズはピッチャー交代。3番手の上條投手が投球練習を行う。サンダーバーズの選手たちが一斉にタイミングを合わせて素振りを始めた(写真手前)。その上條投手を攻めてサンダーバーズが2アウト満塁のチャンスを迎える。タイムを取ったミリオンスターズの選手たちがマウンドに集まる中、打席には7番の生島選手(写真)。しかしここでも追加点は奪えず。まだ勝ってはいるものの、ビッグチャンスを逃してばかりだ。この拙攻はもやもやするなあ。 7回表のミリオンスターズの攻撃では、判定をめぐって森慎二監督(34番)が抗議する場面も。ファーストの大上戸選手が捕球した際にベースから足が離れていた、ということでベンチからすごい勢いで飛び出してきた。 1塁の塁審を相手に、抗議は3分ほど続いた。これはある意味「恒例行事」らしく、1塁側スタンドの観客も「また森監督だよ」と笑っていた。「もう勘弁してやれよーー」とヤジも飛んだ。観客も一連の流れを楽しんでいるようだった。 3塁側のミリオンスターズの選手やファンも「早く終わらないかなあ」みたいな感じで待っている。結局、森監督の抗議は通らず、判定は覆らなかった。しかしこの抗議に奮起したのか、ミリオンスターズが連打で1点を返した。さらに1アウト2、3塁の場面から3番の島袋選手のゴロで3塁ランナーが生還(写真)。ミリオンスターズが2点を返して5-3と2点差に迫った。なおも2アウト3塁で打席には4番のドテル選手。高塩投手はここが踏ん張り所だ。切り抜けてくれ!スタンドでは浴衣コスチューム姿のチアティーズも戦況を見守っていた(写真手前の6人)。座っていると普通のお客さんと区別がつかない。ところが、高塩投手が2球ほど投げたところで球審が試合を止めた。「えっ、何?」、「高塩がボークしたのか?」とスタンドの観客が困惑する中、審判4人が集まる。高塩投手(写真奥)もきょとんとする中、球審がマイクのところに行って説明を始めた。「1塁塁審の○○が体調不良となったため、大事を取って退場し、今から3人制審判で試合を行います」スタンドの観客から「ええぇぇっーー!!」と驚きの声が上がった。私もびっくりした。そもそも「3人制審判」を知らなかったせいもあるが。こんなことあるのかよ。確かに気温は30℃を超えていたが、まさか審判が退場してしまうとは。BCリーグは夏場でもデーゲームが多いから、選手や観客も注意しないと。ナイターにすると費用や集客や設備などいろいろ問題があるのだろうけど。ちなみに観客の一部からは「さっき森監督が抗議したからだ」との声も漏れていたが、たぶん関係ないと思う。そんなアクシデントもありつつ、7回表は高塩投手が2失点に抑えて切り抜けた。するとその裏にサンダーバーズがまたしてもチャンス。この回から代わった迫留投手を攻めて1アウト2塁で打席には1番の野原選手(写真)。応援団が盛り上がり、チアティーズも応援グッズを鳴らす。ちなみに3人制審判ではランナー2塁の場合、塁審は3塁と2塁にいて、1塁の近くは無人になる(写真)。盗塁や牽制の判定をするためだ。バッターが打つと、2塁にいた塁審が1塁近くまで移動して判定を行っていた。野原選手は倒れたが、ランナーの鈴木選手が盗塁を決めて2アウト3塁。チャンスはまだ続く。応援も一段と盛り上がる。すると迫留投手がワイルドピッチ。そのスキに鈴木選手がヘッドスライディングでホームを陥れる(写真)。サンダーバーズが貴重な1点を追加した。これで6-3だ。なおも迫留投手の投球は乱れたままで、ノーヒットでランナーを2人出してしまう。ここでミリオンスターズはまたピッチャー交代。5番手の中川投手が登板した(写真)。必要以上にいろいろな投手が登場している。森監督にとって誤算続きだろうな、いろいろな面で。ランナー1、2塁の場面では塁審は1塁と2塁にいて3塁が無人。レフト線のファール・フェアの判定は球審が行っていた。試合を見ているだけで何かと勉強になるなあ。 7回裏はそれ以上追加点を奪えず、6-3のまま試合は8回へ。ここで3塁側スタンドまで散策して1塁側を眺めた。客足がよくない。半額キャンペーンをしてもこの人出だ。入場者数は607人と発表された。集客の悪さはサンダーバーズにとって成績以上に課題だと私は思う。2014年の平均観客数は561人とリーグ最下位。新潟(平均1161人)や石川(同1144人)の半分以下というのは問題だろう。富山より人口が少ない福井でも平均803人なのだから、改善の余地はあるはずだ。やはりプロのスポーツ興行はスタンドを観客でいっぱいにしてこそプロだと思うのだが。 8回表にサンダーバーズは好投の高塩投手に代えて2番手に佐藤投手をマウンドに送り、ミリオンスターズを無得点に抑える。 8回裏の攻撃では代走の柿本選手が盗塁を決める(写真)などして2アウト1、2塁と果敢に攻めたが、ここでも追加点は奪えず。この試合のサンダーバーズの残塁は16になった。勝っているとは言え、見ていてもどかしくなってくる展開だ。 9回表にはクローザーの大竹投手が登板。ヒットを3本打たれて1アウト満塁のピンチを背負ったものの、なんとか0点に抑えて試合を終えた。6-3でサンダーバーズの勝利。私はサンダーバーズがミリオンスターズに勝つところを初めて見た。両チームの選手たちが整列。チアティーズも出て来た。観客から拍手が送られる。これでサンダーバーズは10勝10敗1分で勝率を5割に戻し、首位を奪還した。一方のミリオンスターズは8勝9敗2分となり、わずか1日で首位陥落。熾烈な優勝争いはこの後も続きそうだ。ミリオンスターズの選手たちがベンチ前で円陣を組む中、BCリーグ恒例のエール交換が行われた。1塁側のサンダーバーズの応援団が「ミリオンスターズ!」とコールし、3塁側のミリオンスターズの応援団が「サンダーバーズ!」と手拍子で返す(写真)。この試合のMVPの表彰とヒーローインタビューが行われた。3安打2打点の活躍を見せた板倉選手である(MVPの赤いボードを持つ)。ライティーとチアティーズに挟まれ、観客からも拍手を送られていた。最終結果のスコアボード。勝ちはしたが、ミリオンスターズの投手陣の自滅に助けられたところがある。あのつたない攻めでは接戦になったときに苦労しそうだ。先発の高塩投手の好投にも救われた。もっとも、この試合で一番印象に残ったのは塁審の退場だったけれども。球場の外では選手とチアティーズによる観客のお見送りが行われていた。足場と作業シートに覆われた球場が気になるが。きれいに改修された球場でもまた観戦したいな、と思った。この試合で勝利を挙げた高塩将樹投手は、2014年シーズン通算で20試合に先発して10勝(4敗)、137投球回、127奪三振、防御率2.69と、いずれもチームトップの成績をおさめた。10月のNPBドラフト会議で候補に挙がったものの指名されず、2014年10月をもって現役を引退した。これだけの投手でもNPBから声がかからないとは、BCリーグからNPBへの門は狭い。ところが2015年2月、高塩投手は一転して現役復帰を希望してBCリーグに戻ってきた。臨時分配ドラフトが行われた結果、2015年から新規参入する福島ホープスへの入団が決まった。高塩投手にはぜひ福島ホープスで活躍してもらい、NPBを目指してほしい。そしてできれば、その前に富山県で行われる富山-福島戦で投げてほしい。2015年は2試合しかそのチャンスがないので、難しいかもしれないが……。また、ミリオンスターズの森慎二監督は2014年10月で退団し、2015年から古巣の埼玉西武ライオンズの2軍投手コーチに就任した。【次回予告】 2014年に見たサンダーバーズの試合をもうひとつ。この試合もいろいろと大変だった。

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