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Channel: 野球:海外/独立リーグ
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ヨーロッパ野球を探る3―ホルヘ・バルボア(元高知ファイティングドッグス)が語るスペイン野球

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欧州野球紹介の第3回目はスペインリーグ。かつて大帝国として、広大な植民地をもっていた歴史もあって、野球の中南米カリブ地域の旧植民地からの移民が多く、国内リーグにもラテンアメリカにルーツをもつ選手が多数プレーしている。かつては、ダニエル・リオス(元東京ヤクルト)のような選手も出している(但し、リオスはアメリカ育ち)。 昨シーズンは、四国アイランドリーグプラスの高知に、リーグ初のスペイン人選手が入団した。ホルヘ・バルボア。残念ながら、成績の方は、24試合に登板して勝ち星なしの3敗、防御率5.63というもので、シーズン終了後退団したが、彼へのインタビューからスペイン野球を感じ取ってみたい。―野球を始めたきっかけを教えてください。「9歳の時、野球をやってる友人に誘われて始めたんです。ちょうど、バルセロナ五輪が行われて、スタジアムも建設されたんです。そこで、いろんなカテゴリーのチームがあり、そのひとつから誘いを受けたんですよ」―とうことは、オリンピックが野球を始めるきっかけだったんですか?「その通りです。やはり、オリンピック前は野球の施設も貧弱なものしかなかったですから。五輪の時に球場も建てられたし、それまでテレビ中継もなかったのが、オリンピックでは中継もされましたから」―しかし、スペインと言えば、サッカーでしすよね。どうして野球だったんでしょう?「そうですね。ともに集団競技なんですが、サッカーとは違い、野球には個人の対戦がありますから。そこに魅力を感じたんです」―ここからはスペインの野球についてお聞きしたいと思います。スペインのリーグはどういうものなんでしょうか」「全国規模のリーグが2部構成になっています。トップの1部は10チームのリーグです。サッカーと同じように、1部と2部の入れ替え戦もあります。2部リーグはチーム数がよく変更になるんで、詳しいことはわかりませんが、15チームくらいが参加しています。リーグ戦は2月から8月に行われ、9月から11月は各州のリーグが行われます。試合は土日の週2試合で、ホーム・アウェイ18試合ずつ、計36試合こなしています。1部リーグの上位2チームが、翌年のヨーロッパカップに出場できます。リーグはもちろんアマチュアリーグで、スペイン人選手に関しては全員仕事をもっています。まあ、試合に出れば、それにより収入もありますが。球団は、スポーツクラブが運営していて、野球チームも、いろんなカテゴリーに分かれています。低いレベルからは、参加者から月謝を納めるので、そこから収入がありますし、ソシオからの年会費も大切な収入源です。あとは公的機関からも支援があってと、いろんなお金がチームの収入源になっています外国人選手も何人かいて、要するに助っ人ですね。彼らはプロ契約で給料をもらっています」―プレーレベルはどの程度でしょうか?例えば、所属していたバルセロナと高知ファイティングドッグスと比べたら、どうですか?「そうですね。やっぱりファイティングドッグスの方が、才能が豊かでレベルの高い選手は多いと思います。むこうは、エラーが多いんです。若い選手が多いですから」―スペインリーグにも、外国人の助っ人がいるということでしたが、彼らのレベルは高かったのでしょうか?「そうですね。アイランドリーグでプレーしている外国人とそんなに変わらないと思います。ただ違うのは、スペインに来る選手は、キャリアの終盤、つまり力が落ちてきたところで来る選手が多いです。それに比べて、アイランドリーグに来る外国人選手はこれからの選手が多いですね」―今回、高知ファイティングドッグスに入団したわけですけど、その理由は?「日本人のエージェントにアイランドリーグが行うウィンターリーグを紹介してもらったんです。やはり、プロ選手としてプレーできるチャンスが目の前に現れたので。アマチュアとしてはずっとやって来ましたが、プロという機会が与えられたので、日本行きを決めました。前年(2013年)のアイランドリーグの実施したトライアウトリーグに参加して、オファーがあったので、受けました」―日本のトップ・プロ、NPBではかつてスペイン人選手として、ダニエル・リオス投手(元ヤクルト)が活躍しましたが、彼の情報などは入ってますか?「知らないです。彼のことを耳にして日本に来たわけではないです」―実際に日本の独立リーグに参加してみて、手ごたえはありますか?「もちろんです。シーズンが始まってひと月くらい経ちますが(インタビューは昨年5月に実施)、十分に通用すると思います」―日本とスペインで野球の違いはありますか。「やっぱり日々の練習のリズムが違いますね(通訳注:とくに昨年の高知FDは練習時間が長かった)。スペインだと、練習は2,3時間で終わるんですが、日本ではちょっと長いなと感じました。ただ、それがいい悪いではなく、日本は違うやり方なんだと思います。だた、最初はなかなかなじめませんでしたけど。あとは、マウンドがちょっと違いますね。それに、ラテンプレイヤーは、スウィングが下から出てくる選手が多いので、低めには滅法強いけど、高めに投げれば打ち取れていました。でも、日本の選手はレベルスウィングなので、高めには対応してくるんです。これまでそういうタイプの選手には対戦したことがなかったので、そういう部分は対応していかなければなりません」―ヨーロッパには、イタリアにプロリーグがありますが、そちらでプレーしようとは思わなかったのですか?「いや、実際2008年にリミニでプレーしましたよ(当時はまだセミプロのセリエA)。現在のプロリーグ、IBLでは、前回のWBCのスペイン代表にもなったレミヒオ・レアル、リカルド・エルナンデスなんかが、プレーしましたが、エルナンデスとは去年(2013年)に一緒にプレーしましたね。レアルとは同じ町出身なんですよ」―代表メンバーには選ばれたことはあるんですか?「はい、2013年、最近の大会でメンバー入りしました。その時は、ヨーロッパカップには出場しましたが、フロリダで行われたWBCの予選には行けませんでした。私は、当時、プロではなかったので、そんなに長期間仕事を休むわけにはいかなかったのです」―現在の野球スペイン代表は、そのほとんどが外国生まれの選手で構成されていますが…「そうですね。それが今のスペインの野球の現実ですね。そうは言っても、僕も、スペイン生まれのスペイン人なんですけど、黒人の血が入ってるので、外国人と思われるんですよ(笑)。祖母がキューバ人なんです」―お仕事ですが、大学職員だったそうで。そんないい職をを投げうって、今回アイランドリーグに挑戦したわけですけど、リスクではなかったですか?待遇良かったのではないでしょうか?「プロとしての可能性がある限りはやってみようと思ったんです。それに、大学の職員という職は、スペインではそんなに安定したものではないんです。スペインの経済危機の関係もあって、大学に行く人じたい減っているんです。ちょうどその職の契約も、1月まででした。あと2か月延長という話もあったんですけどね。だから、とくに仕事を辞めることが、今回プロとしてプレーする足枷にはなりませでした」―最後に将来のビジョンについてお聞かせください。「やはり次のステップは、NPBです。その先は、そのくらい先になるかはわかりませんが、メジャーリーグというのも念頭にはあります。でも、自分としては日本のNPBで成功したい気持ちは強いです」(高知ファイティングドッグスでは、24試合0勝3敗防御率5.63という成績を残した)

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