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今年初開催のユーロ予選Cを振り返る

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 ヨーロッパ各国のシニアの代表チームが集う2014年最初の国際大会は、スロベニアの首都リュブリアナを舞台に行われました。昨年から3段階に改組されたヨーロッパ選手権、その一番下のレベルにあたるヨーロッパ選手権予選Cラウンドが、5日間にわたってジェジツァとゴロベッツの2つのスタジアムで開催されたのです。 8チームが参加した今回の予選は、ハンガリー、アイルランド、ノルウェー、ルーマニアによるグループA、フィンランド、イスラエル、ラトビア、スロベニアによるグループBに分かれ、1次リーグと順位決定戦をそれぞれ実施。グループAのアイルランドとグループBのイスラエルは、1次リーグを無敗で突破することに成功したものの、アイルランドは決勝ラウンドでスロベニアとルーマニアに敗れ4位でフィニッシュ。一方のイスラエルは最後まで全チームを圧倒。アイルランドを破った両国もあっさり倒して、見事優勝を果たしました。 イスラエルの実力はスロベニアとの決勝でも存分に発揮されることに。この試合では打線が早々と14得点を挙げる一方、投げては先発アロン・レイクマンが被安打1、9奪三振という見事な投球で完封勝利。14-0というコールド勝ちでタイトルを手にしました。しかし、大一番で完璧な仕事を果たしたレイクマンも大会最優秀投手賞獲得には至らず。代わって栄誉に預かったのは、計13イニングを投げて被安打6、自責点0、1四球、20奪三振という支配的な投球を見せたチームメイトのディーン・クレマーでした。イスラエルはこの2人以外にも、9イニングを投げて無失点、被安打6、10奪三振のシュロモ・リペッツも控え、この3本柱の存在は最後まで相手打線にとって脅威であり続けました。 一方、打撃でもイスラエルのメンバーが見事な働き。MVPに選ばれたサイモン・ローゼンバウムは、打率こそ大会7位(それでも.529の高率ですが)だったものの、4本塁打、長打率1.294、10得点、22塁打はいずれも全選手中トップ。また10打点(大会2位)に3盗塁も記録し、そのバットは大いに火を噴きました。もっとも、攻撃面ではイスラエル以外の国々にも優れた成績を残した選手が多数。タイン・マルロット(スロベニア)は打率.636で首位打者となり、出塁率.733もトップ。4位タイの5盗塁を記録しました。マイケル・フェラート(アイルランド)は打率.533で5位タイ、出塁率.682、長打率1.067、2本塁打はいずれも全体2位。ダン・パナイテスク(ルーマニア)は二塁打4本(こちらも大会トップ)を含む11安打で最多安打獲得。セルジオ・フェルナンデス(フィンランド)が9盗塁で盗塁王に輝いています。 また、アイルランドはフェラートとともに攻撃を引っ張ったナサニエル・アングリンが、12打点で打点王。このアングリンとクリスタップス・アルディンス(ラトビア)、ペルテッリ・サルメンペーラ(フィンランド)が、それぞれ8四球でタイトルを分け合っています。普段はアメリカのスティーブンス科学技術大(NCAA3部)を率いているアルディンスは、今大会では監督としての指揮に加えて投手・野手双方で出場し、文字通り八面六臂の活躍。打者としては5試合に出て4打数3安打、8四球、3死球、2盗塁。投手としては11イニングを投げて自責点0、7奪三振でわずか10人しか出塁を許さず、そのプレーぶりには大きなインパクトがありました。 今回のユーロ予選Cに、唯一のWBC出場国として参加したイスラエル。前述のリペッツやレイクマンを除き、ユダヤ系アメリカ人のマイナーリーガーで大半を固めた当時とは異なり、今回は純正イスラエル人プレーヤー主体で臨むこととなりましたが、それでも残した数字はまさに大正義のひとこと。チーム全体で打率.309、出塁率.450、長打率.509、53得点、9本塁打、20死球はいずれもトップの数字で、ディフェンス面もチーム防御率1.05、奪三振率11.5、被打率.140、守備率.973はそれぞれチームランキング1位。23盗塁も2位タイで、このスカッドを数字で上回ったのはラトビアの45四球、ルーマニアの26盗塁、ハンガリーの11二塁打の3部門だけでした。 今大会では振り返ってみると、事前に予期されていたよりは優れたパフォーマンスが目立ちました。新しいトーナメントではたいていの場合、チームごとの戦力格差が非常に目立つもの。もちろん、今大会でもそうした傾向が見られたのは事実ではあります。トップピッチャーが登板していない時の試合の荒れ具合(9イニング当たり平均で6.5四球、2.2死球と2.1暴投)、長打力不足(平均打率.255に対して長打率.334)、そして許す盗塁の多さ(1試合当たり1チーム平均3.6盗塁、かつ成功率83%)というスタッツからそうしたことが読み取れます。また、全8チームが少なくとも1試合はエラー絡みの試合を経験したのも揺るがない事実ですが、大会全体で守備率.929は予想されていたほどは悪くありませんでした。半数近いチームは、複数の試合で非常に光るプレーぶりを見せていたのも見逃せません。 イスラエルは来年、ヨーロッパ選手権Bに戦いの舞台を移します。今大会での活躍を見る限り、その準備は既に整っていると言えるでしょう。昨年のユーロBでは、6戦全勝のイギリス(世界24位)と5勝1敗のロシア(同34位)が勝ち抜いて今年のユーロA(本大会)へと駒を勧めました。ラウンド決勝ではそれぞれオーストリア(4勝2敗、同43位)とウクライナ(3勝3敗、同44位)を破っています。イスラエルに続くCレベルの国々のうち、スロベニア(61位)、アイルランド(60位)、ルーマニア(64位)はまだイスラエルと同格とは言えないものの、それほど遠く離されているわけではありません。 今回の開催国だったスロベニアは、上述の爆発ぶりを見せたマルロットに加え、イタリア・セリエAでプレーするヤコブ・トロベック(打率.545、出塁率.650、長打率.727、2盗塁)というもう1人の打線の核となる存在がいます。また投手陣も、ロク・クチェック(防御率2.08、被打率.146、13投球回、12奪三振)、ボー・スタルク(6投球回、7奪三振、防御率3.00、被打率.190)、アンドレイ・ビジャック(5投球回、防御率3.60)の3人がまずまずの投球を披露。前年度のユーロBで5戦全敗となりCレベルに落ちたものの、そのプレーには今後も期待が持てます。 同じく5戦全敗でCレベルに回ったアイルランドも、大会の締めくくりは後味が悪かったとはいえ、秘めたポテンシャルは確かに見せつけました。打線のコアとして働いたフェラートとアングリンは、ともに打率.533を残し破壊力と打席での我慢強さを発揮。アングリンは投手としても13イニングを投げて防御率2.77、13奪三振と活躍し、ダニエル・ウッドバーン(10投球回、防御率2.70)、ジェイミー・キューバス(9投球回、防御率4.00、6奪三振)とともに投手陣の柱として役割を果たしました。 この両国同様、ルーマニアにも投打両面で目を引く活躍ぶりを見せた選手がいました。リビウ・トクは打率.538を記録、アンドリアン・プレダも打率.500、出塁率.632、長打率.500と爆発。上述のパナイテスクは二刀流プレーヤーとして活躍し、打っては打率.500、出塁率.542、長打率.682、6盗塁。投げては6イニングを投げて5奪三振、自責点2という成績でした。また、9イニングを投げて11奪三振、3安打、1四球で無失点で2勝0敗のセルジウ・スサヌ、9回1/3を投げて1勝0敗、防御率1.93、WHIP1.18、10奪三振のエデュアルド・ピルヴも見逃せない存在です。 最後に今大会のサプライズチームを挙げるとするならば、盗塁王フェルナンデスを輩出したフィンランド(3勝2敗、世界69位)でしょう。今回はランキングで上位にあたるハンガリー(同65位)相手に番狂わせを起こしたほか、ラトビア(同71位)とノルウェー(75位)にも勝って計3勝。打席では32三振を喫するものの、それを上回る34四球を選ぶなど忍耐強さを見せつけ、打率.239という高いとは言えないチーム打率には現れない粘りを見せました。また、投手陣ではセバスチャン・ニーマークとティモ・リーリが柱に。チーム防御率5.75、被打率.285とお世辞にも協力とは言えないスタッフの中で奮闘を見せました。ニーマークは打率.545、出塁率.643、長打率.545と打者としても目を引く活躍を見せています。 ユーロCは幕を閉じたものの、ヨーロッパの代表戦はまだ続きます。来月はチェコとドイツにて、いよいよトップクラスのチームが顔を揃えるユーロ本大会が開幕。大会V3を狙うイタリアとその阻止に全力を挙げる様相のオランダを筆頭に、WBCに出場を果たした国々も参加して火花を散らします。戦いの舞台はいざ西へ。さぁ、今度はどの国が大陸最高峰を制するのでしょうか? ソース:http://www.mister-baseball.com/israel-dominates-clevel-european-championship/

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