四国アイランドリーグplusでは7月5日に後期が開幕した。徳島(鳴門オロナミンC)では前期優勝の徳島インディゴソックスが福岡ソフトバンクホークス3軍を迎えて、ソフトバンク杯定期交流戦で開幕戦。 香川(レクザム)では前期二位に終わった香川オリーブガイナーズが愛媛マンダリンパイレーツを迎えての開幕戦となった。 さて実際に野球観戦をしたことがある方なら、「あの興奮」は味わったことがあるに違いない。 外野席に居て、自分の座席の方にホームランボールが近づいてくる…。あるいは、ファイルボールでさえ自分の席の方に飛んでくるのを見ると「捕ってやろう!」と意気込んでもくるものである。ファウルボールが転々と転がっていくと、元気の良い少年たちがボールを拾おうとして追いかけていくのも、球場にておなじみの光景だ。 香川での開幕戦で行われた球場イベントが選手によるホームラン競争。そして競争中には外野席も解放され、外野席に陣取るファンは「ホームランボールのキャッチ競争?」も体験することができた。ホームラン競争に「出場」したのは香川OGの2選手。一人目は前期8本のホームランを放って目下、ホームラン・ランキング1位の中本翔太選手。 ただ奇しくもこの日はライト方向からレフト方向にかけて風が吹いている状況。10スイング中の10回目の1本をなんとかスタンドに運ぶに留まった。その「1本」を外野席にた男性ファンが見事にキャッチ!周りからの歓声も浴びていた。この瞬間、ヒーローはグラウンドに居た中本選手よりは外野席に居たファンの方だったかも? 中本選手をはじめとしてアイランドリーガーには「個人スポンサー」がつく例がある。注目される選手であったり、長くアイランドリーグでプレーする選手などには各地各職種のスポンサーがついて、ユニフォームにその商標が貼り付けられたり、試合前整列時や打席に立つ際の選手名アナウンス時にその協賛企業名も紹介される。 そんなスポンサーや球場にやってくるファンの期待を背負って後期開幕戦の「試合前イベント」に登場した中本選手。前期本塁打数トップとはいえ、アイランドリーグ1年目。こういうイベントではやはり試合時とは異なる緊張感もあったようではあったが、「風も逆風で条件は悪かったが、それよりスイングの調子をなんとかしたかった。」と試合前に見つけた課題解決に向けてやや反省を含む弁を述べていた。 10スイング中1本塁打に終わった中本選手に続いて打席に表れたのは大原淳也選手。 大原選手は香川OGを経て一時はN.P.B.球団(横浜DeNAベイスターズ)に在籍した期間もあり、現在はまた香川OGのユニフォームでグラウンドに立っている。1スイング目からいきなりのスタンドイン!結果として3本の「ホームラン」でこのホームラン競争は大原選手に軍配が上がった。 大原選手にもコメントを聞こうと「経験の差が出ましたか?」と話を振ってみたところ、ちょうど近くにいた伊藤秀範投手コーチによる「練習の差が出たんだよ。特打の効果だ。」との分析をいただけた。 特打(とくうち、またはとくだ)とは試合日などに他の選手より早めにグラウンドに訪れたり、試合後などにも居残りをして時間をかけて行う特別な打撃練習を指して言う「専門用語」。 経験もあり練習でもその成果を見せつけてくれるセンパイがいるといのは心強いことである。 この試合の結果としては香川OGは愛媛MP投手陣に抑えられて0-12の大敗。ホームラン競争に登場した2選手の「記録に残る(公式戦での)ホームラン」は不発に終わってしまった…。球場に訪れた香川OGファンにはストレスも残る試合になったのは残念であった。 しかしこの日は「ファン参加」のイベントも用意されていた。 「選手と勝負」イベントで、事前に選ばれていたファンが「盗塁」にチャレンジ!?
社会人野球の経験者から野球少年、そして「未来の野球選手」といった面々がアイランドリーガーの投手とプライドと意地を…いやそこまではないにしても「塁をかけての勝負」を見せてくれた。 いわゆる「経験者」が塁上にいる時には牽制球も投げてくるし、キャッチャーもナイスな送球を見せつけて盗塁を許さない。独立リーグとはいえ、プロの意地を見せつけてくれた。 まだ小さなお子さんも「盗塁にチャレンジ」!保護者(幼稚園の先生だそうだ)の「引率」はあったものの…こういう場面ではプロの意地と言うよりは「夢」を感じさせてくれるプロならではの配慮もあって、球場は大いに盛り上がったのであった! 四国アイランドリーグplusの試合会場ではボールボーイとして地域の少年野球団の子たちがグラウンドでお手伝いしている風景もよく見られる。 またこの日、ホームラン競争の際に外野で(ホームランになり損ねた)ボールを追いかけていたのも、そういう地域の野球少年たちである。 N.P.B.のような華やかさには欠けると言わざるを得ない独立リーグではあるが、そこではプロの妙技を身近に感じることができる。プロのすごさをも実感できる空間がある。 10年目のアイランドリーグ、いろんなファンに愛されてます!
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