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地方新聞が指摘する新生球団ktウィズの問題

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2015年3月28日に開幕したKBOリーグは10球団1リーグ144試合体制(計720試合+ポストシーズン)の時代を迎えることとなった。 KBOリーグは長らく8球団体制が維持されてきたが、2013年にNCダイノスが1軍に参入し9球団体制となり、今年からは10球団目のktウィズが1軍に参入した。 1軍参入初年度は7位、2年目は3位となったNCと比べ、ktは5月18日現在、40試合を消化して勝率勝率.175、首位トゥサンベアーズと17ゲーム差、9位のLGツインズとも10.5ゲーム差があり、苦戦している状況が見て取れる。 4月終了の25試合消化時点で得失点差はマイナス92と明らかに戦力の劣っていたktはロッテジャイアンツとのトレードに踏み切った。高卒2年目の投手パク・セウン、捕手アン・ジュンヨルら兵役を終えていない若手有望株4人をロッテに譲る代わりに捕手チャン・ソンウ、外野手ハ・ジュノら野手4人、投手1人を獲得してチームの雰囲気を一変させることを試みた。打線が強化され得点パターンが増え、それ以前より善戦が目立つようになったものの、勝率を急上昇させるには至っておらず1試合1試合総力戦の状況がいまだに続いている。あまりにも低い勝率のktに対して、韓国のメディアやファンは「オフのFA選手や外国人選手の獲得に投資が足りなかったのではないか」と批判し、あるいは「高卒2年目の将来のエース候補を放出したのは未来を売ったことになるのではないか」という疑問も投げ掛けている。これらの批判内容を全て否定することは難しい。特に外国人の投手は痛い問題となっている。しかしこれらの批判が全て的を射ているとも言い切れない、というよりもktの力だけでただちに解決するというのには無理があるようにも感じる(詳細は末尾に)。勝率や補強などの目に付きやすい部分で批判するのは簡単なことであるが、選手の能力を大きく見誤った外国人補強以外はkt単独ではどうしようもない部分がある。そのような中でktの本拠地であるスウォン(水原)の地方紙はスポーツ紙や大手新聞とは異なった観点から問題を指摘することが多い。今年4月29日の京畿新聞では、選手層が薄いあまり本来であれば2軍で多くの打席に立たせたい高卒2年目の野手を1軍に置き続けざるを得ないチョ・ボミョン監督の苦悩を伝える。 http://www.kgnews.co.kr/news/articleView.html?idxno=414933 記事にあるようにネクセンが高卒2年目のキム・ハソンを1軍で経験を積ませ伸ばす方法を採ることができるのは、中堅やベテランの選手がしっかりしているからである。ktのプロ2年目の外野手キム・ミニョクはこの記事が書かれる少し前、中堅やベテランの選手が打率1割台や2割台前半と苦しむ中で2割台後半の打率を維持していた。ところがこの記事が書かれた頃には、他の選手がチャンスを作れないためか出塁しようと無理に当てにいくバッティングが増え、持ち前の選球眼の良さを活かせず凡打が目立つようになってきていた。同じくスウォン地域の地方紙である京仁日報も若手の身を削っての奮闘に報いるためベテランが奮起すべきとの内容を記事にしている。 http://www.kyeongin.com/?mod=news&act=articleView&idxno=963267 この他に京畿日報が2軍への設備投資に関して問題提起をしている。 ktの1軍本拠地であるスウォンktウィズパークは設備改修を経てしっかりと整備された球場となった。(→参考:室井昌也氏ブログhttp://www.plus-blog.sportsnavi.com/muroi/article/1429)一方で2軍は専用球場を所有しておらず、水捌けの悪く室内練習施設もあまり整っていないソンギュングァン(成均館)大のスウォンキャンパスのグラウンドを借りている状態である。京畿日報は「約束を守らないkt、未来を守れない2軍」というタイトルの記事で予算不足等の理由から遅々として進まない2軍施設建設の現状を伝える。 http://www.kyeonggi.com/news/articleView.html?idxno=955440 ソンギュングァン大との契約は今年で切れるため、2軍のトレーニング及び2軍ホーム試合開催のために代替地を用意しなければならない。ところが専用球場や2軍施設の整備のパートナーである京畿道ヨジュ(驪州)市側が再三呼びかけてもkt側は予算を理由に議論を進めずにいる。ネクセンヒーローズやNCがファソン市やコヤン市といった地方自治体と友好関係を築き、限られた予算で施設を整備したり、あるいは既存施設を活用したりする中、ktはそれができていない状況である。記事によると、2016年までに選手宿泊施設等を含む一連の施設を完成させる予定であったが、まだ着工されていない状況であるという。この記事だけからは現状を正確に把握することができないが、kt側がこの事業に消極的であり用地買収などの手続きの進展も芳しくなかったことは昨年4月の京仁日報の記事でも既に指摘されていた。 http://www.kyeongin.com/?mod=news&act=articleView&idxno=850001 戦力面で他球団に大きく後れを取るktにハングリー精神は必要かもしれないが、本当に空腹状態では出すことの出来る力すら発揮することができない。 FA補強のような不確実な事象への投資を控えるのは仕方ない部分もあるが、選手育成にかける費用が無駄にならないことは4連覇中のサムソンライオンズがそれを証明している。ktは大型補強という投資ができないからこそ、育成のために適切な投資を行い、きちんとした管理の下で有望株を成長させていくことを願いたい。また、ある部分に関しては大手メディアやスポーツ新聞以上に地元新聞の方が注意深く観察しているように思う。批判的内容も見られるがそれは地元新生球団を応援する気持ちゆえであろう。その気持ちに応えるためにも、地元スウォン、あるいは2軍施設を誘致したヨジュなど地元を大事にして地域と共に発展していって欲しい。最後になったが、このktの惨状に関しては勿論、球団の努力が不足している部分もあるが、単純にいち球団の問題ではなくリーグ全体で共有されるべき問題でもあるように思う。球団数増加でリーグ全体の選手層が薄くなることが見込まれる中、既存球団はアマチュアを含めた韓国球界のために最大限の努力をしてきたのか。勿論、各球団は縁故地域を中心にアマチュアへの助力を惜しまなかった。だが一方で申告選手(現在の育成選手)等を利用した若手選手の囲い込みが行われてこなかったとは言い難いように思う。勝利を一番に考えるのは当然であるが、リーグ全体で選手の需給バランスが崩れることを想定していたからこその行動でもあろう。各球団の立場として、NCに2年遅れて成立したktの問題を理解することはできても、だからといって積極的にktの力になることは当然できないであろう。だからこそ、それぞれの球団を応援するファンにはktを「韓国球界のお荷物」扱いするのではなく、その成長と韓国球界全体の発展を温かく見守って欲しいと思う。☆参考①:4月終了時点順位表☆参考②:5月17日の試合終了時点順位表

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