KBOリーグ10球団の戦力確認第4弾です。今回は昨年6位に終わりポストシーズン進出を逃したトゥサンベアーズです。<ポジション別戦力構成> ※<>はバックアップ捕:ヤン・ウィジ<チェ・ジェフン、キム・ウンミン>一:キム・ジェファン or オ・ジェイル<オ・ジェウォン、オ・ジャンフン、ユ・ミンサン、ラッツ>二:オ・ジェウォン<ホ・ギョンミン、コ・ヨンミン、チェ・ジュファン、ヤン・ジョンミン>三:ラッツ<チェ・ジュファン、ホ・ギョンミン、オ・ジェウォン、ヤン・ジョンミン、キム・ジニョン>遊:キム・ジェホ<ホ・ギョンミン、ヤン・ジョンミン、リュ・ジヒョク>左:キム・ヒョンス<チャン・ミンソク、パク・コヌ、チョン・ジノ、チョン・スビン、キム・ジニョン>中:チョン・スビン<パク・コヌ、チョン・ジノ、チャン・ミンソク>右:ミン・ビョンホン<チャン・ミンソク、チョン・ジノ、パク・コヌ、キム・ジニョン>指:ホン・ソンフン<2014年守備位置別打撃成績>※選手がどの守備位置でも同じ打撃成績を残すものと仮定して計算<野手総評>
2014年はリーグ屈指の外野陣を構築できた一方で内野手は全体的に打力不足であった。またベテランのイ・ジョンウクとソン・シホンがFA移籍したためそれまでのバックアップの選手がスタメン起用されるようになりレギュラー野手の若返りに成功した一方で、バックアップの選手層がやや薄くなった。主力に20代の選手が多い中、指名打者ホン・ソンフンはチーム最多の20HRを放ちベテランの意地を見せた。今季イ・ウォンソクを尚武入隊で欠く三塁手にはラッツを獲得して穴埋めを図っているが、そのため一塁手に韓国人選手を起用する必要が出た。一塁手レギュラー候補筆頭はキム・ジェファン。昨季までは捕手登録であったが守備に問題があり一塁手転向となった。打力には期待できるため守備の負担が軽減されることによってポテンシャルを発揮したい。昨季一塁手バックアップや左の代打として起用されたオ・ジェイルは不振に苦しんだ。2013年に.429だった代打打率は昨年.000と役割を全うできなかった。さらに示範競技でも結果を出せず悲願のレギュラー奪取のチャンスを一旦逃してしまった。反対に示範競技で好調だったのがオ・ジャンフン。とは言えシーズンでは少ないチャンスの中で結果が求められる。また試合終盤には二塁手レギュラーのオ・ジェウォンが一塁守備に就くことも考えられる。二塁手はオ・ジェウォン、三塁手は新外国人ラッツ、遊撃手はキム・ジェホがレギュラーとなる。オ・ジェウォンは昨季キャリアハイの成績を残し、順調に行けば今オフにFA資格を取得する見込みである。怪我人が出るなどで中軸を任せる場合には長打力に欠けるが、駿足を活かしてかき回し自身の役割を全うすることが求められる。ユーティリティー性が高いので、試合終盤には一塁や三塁などを守る可能性もある。4番などクリーンナップを任されるであろうラッツは実力面ではなく体力面が一番の懸念材料。怪我なくシーズンを送りたい。遊撃手キム・ジェホは移籍したソン・シホンの穴を埋め113試合で先発出場した。現状では長打力不足など打撃面で頼りなさがあるが、オフには増量を試みて課題克服に取り組んだ。内野バックアップは主にホ・ギョンミンとチェ・ジュファンが務めると見られる。ホ・ギョンミンは遊撃手、二塁手、三塁手として活用できるので、二塁手オ・ジェウォンが試合後半一塁手に移った場合、あるいは三塁手ラッツの体調に不安がある場合にも出場機会があろう。ユーティリティー内野手としてチャンスを得ながら打撃を向上させ、遊撃手レギュラーの座を狙いたい。チェ・ジュファンは三塁と二塁を守ることができるので、ラッツが欠場する場合にスタメン起用されるよう、まずは途中出場からアピールしたい。この他守備位置は二塁に限定されるがコ・ヨンミンも控えている。春季キャンプは腰痛で離脱してしまったが、今季こそ再起を誓う。外野は左翼手キム・ヒョンス、右翼手ミン・ビョンホン、中堅手チョン・スビンと確固たるレギュラーを持つ。開幕時点ではミン・ビョンホンを1番打者、チョン・スビンを2番打者に据えると見られる。長打力を兼ね備えたミン・ビョンホンと昨季3割30盗塁を達成したチョン・スビンのコンビで初回からチャンスを作り、キム・ヒョンスがホームに迎え入れたい。バックアップとしてはチャン・ミンソク、パク・コヌ、尚武から復帰のチョン・ジノらが想定される。粒ぞろいではあるが現時点でレギュラーを脅かすところまで来ていない。今オフにキム・ヒョンスがFA資格を取得する見込みであり、チョン・スビンに兵役義務が残っているため今後を考えるとバックアップの選手の奮起が必要である。パク・コヌは2軍では十分に数字を残しているので同期入団のチョン・スビンにこれ以上差をつけられないよう頑張りたい。チョン・スビンの高校の先輩にあたるチョン・ジノは昨季フューチャーズ南部リーグで打率2位、打点1位、盗塁2位の好成績を収めたので今季は1軍戦力となりたい。この他、キム・ジニョンが外野両翼と三塁手をこなすことができる。捕手は自身初のゴールデングラブを受賞したヤン・ウィジがレギュラーとなる。昨季は打撃で好成績を残しながらも腰痛や指の怪我で欠場が多かった。バックアップには守備に定評のあるチェ・ジェフンが控えているので巧く活用して負担を減らすことができる。指名打者は基本的にホン・ソンフンを起用するものと見られる。守備に就けないベテランではあるが、チャムシル球場を本拠地としながら20HRを打てる長打力はチームには不可欠。複数のポジションを守れる内野手が多く、外野手もそれなりの選手がバックアップにいるためレギュラー選手を休養させやすいので、主力が故障で守備に就けなくなるか、自身が極度の不振に陥らない限りはほぼ固定しておいて問題ないであろう。全体的に見ると、レギュラーに20代後半の選手が多く、体力と経験のバランスが取れていることが強みではなかろうか。→参考:2014年1軍打撃成績<2015年投手陣の展望>先発ローテーション濃厚:ニッパート(右)、チャン・ウォンジュン(左)、マヤ(右)、ユ・ヒグァン(左)先発ローテーション候補及びロングリリーフ要員:イ・ヒョンスン(左/左手中指骨折で復帰は5月以降)、チン・ヤゴプ(左)勝ち継投候補:ユン・ミョンジュン(右)、キム・ガンニュル(右)、ハム・ドクチュ(左)その他の主な投手:オ・ヒョンテク(右/救援)、チャン・ミニク(左/救援)、イ・ジェウ(右)、ピョン・ジンス(右)、イ・ヒョノ(左)、ノ・ギョンウン(右/あご骨折でリハビリ中)、キム・ミョンソン(右)、イ・ウォンジェ(右)、キム・スワン、ナム・ギョンホ(右)、チェ・ジソン(右)<投手総評>オフにFAのチャン・ウォンジュンを獲得し、両外国人投手の残留に成功した。ローテーションピッチャーを4人確保できた一方で、イ・ヨンチャンとホン・サンサムが入隊したため中継ぎ投手のやりくりが厳しくなる。先発4番手までは右腕ニッパート、左腕チャン・ウォンジュン、右腕マヤ、左腕ユ・ヒグァンと左右のバランス良く揃えることができた。当初は4年連続開幕投手を務めたニッパートが今年も開幕戦で先発する予定だったが、骨盤の痛みで回避することとなった。そして代わりに3戦目に先発すると見られていたマヤが開幕投手に繰り上がった。ニッパートは2013年こそ途中離脱で規定投球回に達さなかったが、韓国デビュー以来4年連続で2桁勝利を記録している。コンディションさえ問題無ければ一定の勝利とイニング消化を見込むことができるのでシーズン序盤は無理することなく過ごしたい。安定感のあるニッパートに対して昨季途中加入のマヤは好不調の波が激しい。エースとしての役割を期待するのは酷なので、できるだけ長いイニングを投げて救援陣の負担軽減に貢献することが求められる。ロッテから移籍してきたチャン・ウォンジュンはこれまで大きな故障歴がないのが一番の強み。100球を超える投球を問題なくこなしイニング消化能力に長けるため、救援陣に不安のあるトゥサンにとっては貴重な戦力になり得る。しかし先発陣の大黒柱となるには若干物足りない部分もある。ニッパートなど他の投手がエースとして矢面に立てばチャン・ウォンジュンもある程度成績を残すのではないか。ユ・ヒグァンは昨年韓国人投手でリーグ最多イニングを投げた。球速は遅いが代名詞のスローカーブの他にスライダー、シンカーを駆使する。右打者に対してはシンカーが効果を発揮しているが昨季は左打者との対戦成績が悪かったため、対左打者用にオフはフォーク習得に励んだ。先発5番手は昨季救援投手として活躍したイ・ヒョンスンが有力視されていた。2009年には170イニングを投げ13勝を上げた左腕はシーズンに向け順調に調整してきたが、示範競技で打球が左手中指を直撃し骨折、開幕は絶望となってしまった。代わりに先発5番手を任されそうなのが警察から復帰した左腕チン・ヤゴプ。昨年は2軍で防御率6.43と低迷したが、示範競技では2試合に登板し防御率1.35だった。だが示範競技でも昨年同様に四球を連発しており、やはり不安である。万が一、チン・ヤゴプで先発5番手の目処が着かなかった場合にイ・ヒョンスン復帰までの穴埋めをするとすればピョン・ジンスあたりだろうか。ノ・ギョンウンが大乱調だった昨年も先発5番手には苦しんでおり、当時救援起用されていたイ・ヒョンスンやオ・ヒョンテクが先発登板をすることもあった。144試合体制になり先発5番手の役割が大きくなると見込まれるので、できるだけ早く先発5番手を固定できるようにしたい。イ・ヨンチャンの尚武入隊によって不在となったクローザーにはノ・ギョンウンが予定されていた。ところが春季キャンプであごに打球を受け骨折したため、ユン・ミョンジュンが候補に挙がった。そのユン・ミョンジュンも昨年の登板過多で肩の調子があまり良くなく不安視されていたが、示範競技後半戦には間に合い3試合で好投した。ユン・ミョンジュン以外に勝ち継投が期待されているのが150km/hオーバーの速球を持つキム・ガンニュル。ユン・ミョンジュンと巧く役割分担をし、肩に不安のある彼に負担を掛けないことが求められる。また、高卒3年目の左腕ハム・ドクチュに期待が集まっており、勝ち継投の候補となっている。この他、サイドスローのオ・ヒョンテクや長身左腕のチャン・ミニク、ベテラン右腕イ・ジェウも中継ぎ投手として活用される見込み。中継ぎ左腕の候補には尚武から復帰したイ・ヒョノもいる。ピョン・ジンスも救援登板が基本になるとは見られるが、先発5番手に不安を抱えるチーム事情なのでロングリリーフの役回りになるかもしれない。肘の手術後公益勤務を経ての復帰を目指すイ・ウォンジェもまずはロングリリーフからチャンスをうかがう。ノ・ギョンウンは復帰時のチーム投手事情に応じて役割が変わるのではなかろうか。新人投手では示範競技でナム・ギョンホが登板した。またチェ・ジソンは高校時代に球速が140km/h台後半を記録したことがある。彼らは高卒ルーキーなのでまず2軍で経験を積むものと見られる。参考:2014年1軍投手成績☆備考<選手異動>(主要選手のみ/新人ドラフト指名選手は除く)退団・入隊 退団カントゥ(内野手)ユン・ドギョン(捕手/ktへ) 引退キム・ドンジュ(内野手) 移籍チョン・デヒョン(投手/特別指名でktへ)チョン・ジェフン(投手/FAの補償選手としてロッテへ) 入隊イ・ヨンチャン(投手/尚武へ)ホン・サンサム(投手/警察へ)イ・ウォンソク(内野手/尚武へ)イ・ソンゴン(内野手/警察へ)入団・復帰 FA入団チャン・ウォンジュン(投手左投 2014年27試合27先発155回 4.59/ロッテから) 新外国人ラッツ(内野手右投右打/NPB楽天から) 除隊チン・ヤゴプ(投手左投 2014年2軍199.1回 6.43/警察から)イ・ヒョノ(投手左投 2014年25.1回 4.62/尚武から)チョ・スンス(投手右投/公益勤務からの復帰)イ・ウォンジェ(投手右投/公益勤務からの復帰)ユ・ミンサン(内野手右投左打 2014年2軍306打数.350/警察から)リュ・ジヒョク(内野手右投左打 2014年2軍78打数.218/尚武から)チョン・ジノ(外野手右投左打 2014年2軍320打数.341/尚武から)<2014年基本オーダー>ミン・ビョンホン(右)オ・ジェウォン(二)キム・ヒョンス(左)カントゥ(一)ホン・ソンフン(指)ヤン・ウィジ(捕)イ・ウォンソク(三)キム・ジェホ(遊)チョン・スビン(中)○守備位置と打順それぞれで最も先発出場が多かった選手を選び当てはめた○三塁手のように先発出場選手が流動的な守備位置があり、出場選手によっては打順も全体的に変更となる<2015年オーダーに向けての変更点及び備考>○カントゥ(一)が退団、ラッツ(三/一)が入団○イ・ウォンソク(三)が尚武入隊○捕手キム・ジェファンが一塁手にコンバート○チョン・ジノ(外)、ユ・ミンサン(内)が尚武、警察から復帰
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